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寝台夜行列車125Фサマルカンド→ヒヴァ


【概要】

ウズベキスタンの夜行列車125Ф(126*ФА)です。始発はアンディジャン駅。タシケントやサマルカンド、ブハラといった有名都市を経由し、終点はヒヴァ。数年前までウルゲンチ止まりだったものの、観光需要に合わせてか鉄道が延伸されたようです。リュクス(中欧でいうSchlafwagenに当たる)はなく、クーペ(Liegewagen)とプラツカルト(3等の解放寝台車)のみ。ボスフォラス急行のときと同様、クーペのベッドを4台買って1室占拠しました。今回はサマルカンドから途中乗車。2024年10月09日22時56分発車、翌日9時00分到着、走行時間10時間04分、走行距離約700kmです。1室=ベッド4台分で合計58.84英ポンド。予約方法についてはこちらを。

サマルカンド→ヒヴァの経路
もうちょっと引いた図だとここ…って得られる情報に大差がない……カザフスタンでかい

ズームしたりともっとしっかり見たい方はこちらの地図へ。

【サマルカンド駅】

カザフスタンもそうなのですが、駅が遠い!空港かな?という位置にある。そして駅構内に入る前に金属探知機でのセキュリティチェックがあり、切符がないと入れない(切符売り場は駅横の別の事務所)という前情報も。立地だけじゃなく色々空港じゃないかと。ただし前情報とは違い切符を見せなくても入れました。

見てくれも空港っぽいかも?かなり新しそうな駅舎。

駅はいたってシンプルで、長方形の長い辺の片方が出入り口、反対側の辺には線路。割と遅い時間でしたが、トイレと売店と土産屋が営業してました。ミニマムですが、ダンジョン化するよりいいかと。

お土産屋さんのネコ

ちなみに電光掲示板と思しきものはあったものの機能しておらず。列車が来てもどこかわからなかったらどうしようかと最初心配したものの、すぐに問題ないことが判明しました。なぜなら、そもそもそんなに列車が来ないから。近い時刻に2本同じ行先のが来ると混乱しますが、アナウンスがあろうと地元の人たちも大混乱だったので、こういう場合は駅員さんに聞けば大丈夫。駅員さんも慣れてる。言葉通じなくてもチケット見せれば大丈夫。

【まさかの】

運よく駅舎からすぐのホームに列車が来てくれました。線路挟んだ先のホームの場合、ホームの両端にある薄っすら舗装された箇所から線路を渡るか、駅構内の地下通路からアクセスすることになります。線路をまたぐか、階段を歩くか、いずれにしてもお年寄りや大きい荷物を抱えた人には優しくありません。そのせいか、ウズベキスタン鉄道の作業着なりジャケットなりを着たポーターさんのような人たちが荷台を引きながら出現します。そのうちの一人が荷物を運んでくれるとのことだったのでお願いすることに。
ワシの車両まで一緒に行き、チケットを見せて車掌さんのヨシを貰うと、ポーターさんが荷物を抱えてワシのコンパートメントまでついてきてくれました。ありがたい!お礼を言ってチップを渡す。タクシー代や飯代に照らし合わせても少なすぎるということはない額。がしかし、その5倍を請求してくる。どう考えてもあり得ない額。物価水準の高い国からの観光客から多めにとることには反対ではないけれど、到底あり得ない額。しかしこれ以上は出さないといっても引かない。じりじりと窓の方に追い詰めるように寄ってきて、コンパートメントのドアは空いているとはいえちょっと身の危険を感じた。「ドウシテ?ドウシテそんなに高い?ドウシテ?XXX(要求された金額)?!1個のニモツで?!」とロシア語(しょぼしょぼ)で大声を出す。他の客が集まってくる。そういう相場なら他の人たちもそういうもんだよという反応するだろうしポーター側も普通に要求し続けると思うのですよ。ですがそそくさと去っていった。普通に交渉という雰囲気ではなく確実に不当な圧でしたし、ウズベキスタンの通貨に不慣れだったりまだ物価帯がわかっていないと払ってしまいそうである。
ともあれ、ひと悶着あったものの無事乗車。

【いざ乗車】

いかにも旧ソ寝台といった感

豪華客車(デビュー当時)だったプリエテニア号程のゴージャス感はないものの、落ち着いたレトロ感がじわじわと旅情緒を引き立てます。古いものの手入れや掃除はきちんとされているようでした。

この色、このフリル、この模様パターン………おばあちゃん家だ!
ベッドメイクは自分でやる方式
たまにビシィッっとキメてるオジサマがいるのだけど、やはり兵役の賜物なのかしら

寝心地は固め。というか、マットレスが薄めなのでプリンッとパツパツしたベッドを微妙に中和しているといった感じ。固めベッド好きな人ならちょうどいいしっかり感。枕はふかふか。毛布は上の棚かどこかにあったんでしょうけど、温かかったのでそのまま就寝。

【車内設備】

さて、車内ツアーと行きますか。

建付けが悪くなっていたようで、ドア枠を外側へ押しドアは内側へ引いてやらないとカチンとハマらなかった

コンパートメントは中からはロック可能。外からは鍵かけれません。一人の場合は貴重品は常に持ち歩きましょう。この車両はコンセントなしでした(廊下には多分ある)。

手前角にイボイボがあるのは、スクワットトイレとしても使えるようになのか…?

もちろんおトイレもレトロ!ペダルを踏んでお外にポイしましょう!街に入るとトイレ使えません。30分停車とかざらにあるので、水分補給とトイレのご利用は計画的に。ビジュアル的には慣れるまでちょっと二の足を踏んでしまいそうですが、お湯塩素らしきものをかけてガッツリお清めしているので衛生面でヤバいということはないと思います。トイペ?最初は見かけた気がしたけれど気づいたらなかったです。

旧ソ名物、車内給湯機。上に乗っているのは、ウズベキスタンでは宿でも飯屋でもバザールでもどこに行っても見かけるカップ。

旧ソ圏の寝台列車のいいところは、給湯器が設置されていて無限にお茶とカップ麺が用意できること。ネットの情報だと、車掌さんに頼めばティーバッグを売ってもらったりティーカップを借りたりできるようです。まあそういうサービスって提供が保障されているものではないので持参をお勧めします(それか駅やホームの売店で補給)。

下段ベッドからのゴロン時の景色

ちなみに、中欧(ÖBBやCD)の寝台列車より揺れっぷりが元気だった気がします。原因は線路なのか列車なのか分かりませんが、ガタンゴトンを全身で感じる旅になります。起きていると揺れを強く感じますし実際本読んだりしようとすると困る場面もあるのですが、不思議と寝るのにはちょうどいいんですよね。ゆりかご…?

【到着】

今回は乗車時間が短かったのもあり、起きてリネンを剥がして荷物をまとめていたらすぐにヒヴァ到着。

ウズベキスタンの西のほうって砂漠のイメージありますが、さすがオアシス。
数年前の鉄道延伸に伴って建てられただけあってピッカピカ
ウズベキスタンカラーな機関車。ノリのいい運転士さんでした。

まさかの高額チップ要求というイベントが発生しましたが、乗り逃したり間違った列車に乗ったりせずそのうえグッスリ寝られて、ウズベキスタンの列車旅もいいスタートを切れました!運賃もお手頃価格ですし寝ている間に移動できるので、タシケントやサマルカンドとヒヴァを移動する際にはおススメです。

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