ウズベキスタンの鉄道チケット(主に寝台列車)
インスタ映え最強の名所の数々と溢れ出す異国情緒を引っ提げて近年観光地として知名度人気度爆上げ中のウズベキスタン。CISらしい昔ながらの寝台列車も未だ現役であるものの高速車両も導入され、なかなか鉄道が便利な国だと思います。がしかしちょっと躓きポイントもあるようで。後述の謎のチケット解放停止事件に遭い情報を求めてネットの海を徘徊した間に集まった知恵を置いておこうと思います。
出典書くのはめんどくさいので割愛。
ウズベキスタンの鉄道チケットの買い方
なんとオンラインで買えます!ヨーロッパでも(特に国際列車は)オンラインで発券はおろか予約すらできない国もあるのに(ブルガリア、お前のことだぞ)、ウズベキスタン鉄道の公式サイトでポチポチするだけで買えるのです!しかも英語版に切り替えてもサクサク動くし、列車を検索するときに地名をキリル文字やウズベク語じゃなく英語で入力しても問題なし!ちなみにアプリもあり、こちらもサクサク。え〇ねっと(もう10年近く使ってないけど、改良されたのかな……?)のように母語なのに何回使ってもピンとこないわけのわからん事態にもなっておらず、シンプルで分かりやすい。素晴らしい!やるじゃんウズベキスタン!
事前購入したほうがいい?
ワシは出発前に宿と移動手段は確保しておきたい派なのでいつも注文解放直後に鬼の即予約ですが、普段は現地手配派でもウズベキスタン(というか中央アジア全般)は早めに予約しといた方がよさそうです。特に気候のいい春秋のハイシーズンは。鉄道系のスレッドやコミュニティでは「当日でもチケット買えると思うよ」というセリフを見かけることが多いのですが、ウズベキスタンは「なるべく早く予約しておけ」をよく見かけたので。特にアフラシヤブ(Afrasiyab)。
最大何日前から購入可能?
最大で45-60日前から購入可能な場合が多いようです。60日前から買えるのはほぼほぼ寝台列車など昔ながらの車両の列車たちだけのように見受けられました。アフラシヤブ(Afrasiyab)、シャーク(Sharq)、ナザフ(Nasaf)あたりは最大45日前らしいです。しかし「よくあるトラブル②」で挙げるケースのようにかなり直前にならないと買えない場合もあります。目当ての列車が何日前解放なのかを知るには、現在の日付から何日先まで同じ列車番号の便の席か売られているかを見るという極めてアナログな方法になります。まあこうやって当てをつけても「謎のチケット解放停止事件」みたいなことも起こりますが……。
ちなみにアフラシヤブ(の特にいい席)は一般開放前に政府や旅行代理店に優先して配られる場合が多いらしいです。この場合予約解放の時点でもう残席が少ないという事態になります。けれども「やっぱいーらない」とか「お客さん集まらなかった」とかで一般市場に戻ってくることも少なくないらしいので、あきらめないで。あと普通にキャンセルする人も出るしね。
キャンセル・返金できる?
キャンセルできます。そしてよっぽど直前でない限り返金もされるようです。発車より24時間以上前なら15,000 UZS、24時間未満6時間以上なら15,000 UZS + チケット代金の50パーセントが取られますが、残りは返金されるようです。6時間切るとペナルティがチケット代金の100パーセントになるので返金なしということに。15,000と聞くと大金に見えますが、単位はウズベキスタン・スム。今のレートだと170円ほどみたいなのでご安心を。アプリやサイトでログインしてチケットを見に行くとキャンセル用のボタンがあるので、そこからできるんだと思います。すぐに着金というわけではない場合もあるみたいですが。
引き換えは必要?
ネットでできるのは予約だけで、現地の駅で発券しなければ列車に乗れないという場合もあります。が、ご安心を。決済後に発行されるPDFで大丈夫です。ワシは印刷していきましたが、スマホでQRコード見せて乗ってる人もいました。
謎のチケット解放停止事件
ということで路線検索・時刻検索もかねて検索した結果ワシのお目当ての列車はどれも60日前解放らしかったので、10月9日に乗る1本目のXデーは8月10日。1週間前くらいから毎日サイトを見てはチケット解放が進んでいることを確認。そして来た8月10日。ちょっと早起きをしてベッドの中からアプリを開く。解放されていない…。まあまだ解放時刻になっていないのかなと夜まで1時間おきくらいに様子を見るがしかし解放されない。当日をカウントに含めるか含めないかのズレもありそうだし諦めて寝たものの、翌朝になってもお目当ての列車はグレーアウトのまま。
解放担当者が休暇中か?いやいや、そういうのって自動化されてるだろ…まさか全部エージェントに抑えられた?!だとしてもプラツカルトまで全部1ベッドも残ってないのはありえないだろ!とか考えながら数日待つも、ワシのお目当ての列車以外も10月9日以降何も解放されない。リセラーのサイトを見てもどこも列車は出てくるけど買えない。なぜ………?
ネットで検索するとはやり、なぜチケット解放が止まったのかという質問や投稿が停止後数日以内ですでに何件も。公式に問い合わせた人もいたが回答はもらえなかったようで。ワシもTelegramとメールで問い合わせたが返事はナシ。ウズ鉄公式のウェブサイトやSNSアカウントをチェックするも何も情報はなく。やきもきが止まらなくて頑張ってロシア語で検索しても何もなし。SNSでは「ウズベキスタン鉄道のチケット解放のタイミングはマジで謎でロジックなどない」なんてコメントまで。
鉄道ファンたちが上げていた可能性は、チケットのブロック開放(毎日一日分ずつ解放するのではなく、1週間単位などでのまとめての解放。でも10月7日分までは毎日一日ずつ買えるマックスの日付が伸びていたのでなさそうかなと)や工事などによる臨時のダイヤ改正でした。いずれにせよ公式で買えないならリセラーでも買えない、つまり誰も買えないのだからチェックしつつ待つのみ(でも現地窓口でも発券できないという書き込みは見当たらなかったので、もし窓口販売はしていたならそこでどんどん席が埋まるじゃないかーとやきもきしたという)。
ぇえ?買える?
そうやって振られ続けること約3週間。アプリやサイトで検索しては落胆することに慣れていたある金曜日の午後、ゆで卵を冷やしながらアプリを開くと10月9日の夜行寝台がクリックできるようになっていた。何度か日付を間違えて検索して「買える!」ってぬか喜びしたことがあるのでどうせまたそのパターンかと思いきや、なんと日付は合っている。列車番号も発着地も正しい。キッチンで間抜けな変な声出しましたよ。もちろんパソコンにダッシュ。よかった、ゆで卵茹で上がってた後で(さもないと忘れて大惨事だったよきっと)。
動揺して完全に平常心を失っていた。落ち着けワシ、日付と発着地を間違うな、と言い聞かせる。変な汗をかきながら確認し購入するも支払いがいつまでも完了しない。しかしアプリから入るとサクッと決済からの発券。なぜか決済が英国ポンド建てなのが謎だけれど。10月12日の2本目も同じく購入。ちなみにそれぞれ、126Фのサマルカンド→ヒヴァと056Жのヒヴァ→タシケントです。
おそらく受付停止の原因はダイヤ変更だったようです。サマルカンド→ヒヴァは発車が1時間前倒しの到着が1時間後ろ倒しになり、ヒヴァ→タシケントも少々所要時間が伸びていました。この変更が確定するまでチケットを売れなかったんでしょうね。鉄道ファンの読み通りでした。
よくあるトラブル①決済方法
発着地と日付を入れるというおなじみの方式で検索後、列車と席を選んで個人情報を入力して先に進むと、決済画面が現れます。カード番号を入れる欄に直行したくなりますが、デフォルトで選択されている決済方式はウズベキスタン国内(発行のカード)限定のもの。そのままだと海外クレカはほぼ間違いなく弾かれます。入力欄の上に2つアイコンが出ていると思います。2つ目(右側)に、サイトならVisaやMaestroなどのロゴたちが、アプリならStripeとあると思います。そっちを選びましょう。前述のとおりサイトではいつまでも支払いが終わりませんでしたが、アプリでStripeからはアッサリ完了しました。ネットでも同様のコメントを見るので、アプリのほうが確実そうです。
ちなみに今年春に一時期Stripe決済が選べなかった時期があったそうです。2週間くらい?で復活したようでしたが、そういうこともあり得ると頭の隅に入れときましょう。
どうしても公式で買えない場合はリセラーサイトを利用するかエージェントに依頼という手が残っています。tickets.kzや12Goなどは鉄道系や旅行系のスレやフォーラムで見る限りきちんとしたサイトのようですし、西側諸国のカードでもちゃんと決済して発券できた実績があるみたい。自分で使ったことないからあくまでも伝聞だけど。
よくあるトラブル②一部路線・区間は直前開放
A-B-C-Dと駅が並ぶ路線を走る列車(便)Т42があったとして、同じТ42なのにA-B、A-C,、A-D、B-D、C-Dなら(例えば)45日前から買えるのにB-Cだけは乗車日2週間前からしか買えないという場合が存在するようです。有名なのがヒヴァ-ブハラ。ヒヴァ-ブハラ-ナヴォイと並んでいて、ヒヴァ-ナヴォイならもっと前から買えるのにという状態。理由はわかりません。鉄道側は長距離客を優先したいというのが一番ありえそうな理由な気がします。列車に観光客を取られたくないタクシー業界からの圧力(もしくは彼らへの忖度、よく言えば配慮)なのかとか冗談交じりに言っている人もいますが。 この場合もチケット解放まで待てばいい話なのですが、日程に余裕がなかったりでどうしても特定の便を取りたい場合や同行者と別便や離れた席は避けたいという場合は困るかと思います。2週間前まで待ってるうちに、ヒヴァ-ナヴォイのように早めに解放される発着地組み合わせで乗る人たちに席を取られちゃうかもしれないですし。 抜け道は、B-C区間のために、A-CやB-Dなどの早めに解放される発着地組み合わせで買って、途中下車するというもの。この方法の注意点は、出発地は実際に乗る駅と同じにすること。ヒヴァ-ブハラ-ナヴォイの例だと、ヒヴァ→ブハラのためにヒヴァ→ナヴォイを買ってブハラで下車はありだけど、ヒヴァ←ブハラのためにヒヴァ←ナヴォイを買ってブハラで乗車はやめた方がいいということ。理由は1つあって、チケットがないと駅に入れないことと、車掌権限で席が再販売される可能性があるから。ヒヴァ←ナヴォイのチケットだとブハラ駅で入場が拒否される可能性があるのと、買った席はブハラまでノーショー状態なので車掌権限で売られて誰かの手に渡ってしまうかもということ。
(ちなみに、旅の間、駅への入場時点でチケットを確認されたことはほぼなかったような気がします。金属探知機でのチェックはありましたが、チケットを見せることなく駅舎に入れました。)
絶対抑えたい移動のチケットがなかなか解放されないとき
アフラシヤブは現地の人にも観光客にも人気でそもそも競争率が高いのに優先供給や特定区間の直前開放なんて課題もあって、移動手段の確保に困ってしまう場合があると思います(というか、そういう人をネットでよく見かける)。ナザフやシャークは割と取りやすいそうですが、これもない!という場合もあるかもしれません。そういうときは、行先が同じ寝台のプラツカルト(3等の解放寝台)を予備に押さえて本命チケットを待つのが安全策です。寝台といっても区間と便によっては終始昼じゃんて場合があるのです。プラツカルトは安いですし、足を延ばしてゆっくりできると考えると昼行便としても優秀だと思います。そして、第一希望の便が予約できたら予備にとって置いたプラツカルトのチケットはキャンセル&返金すればOKなのです。
もしかしたら使えるかもしれない手
簡潔に言うとロシア鉄道のサイト。ロシア鉄道のサイトでならチケットが解放されているという場合があるらしいです。制裁が始まって以来サイトを開けすらできない状態ですが、なんとか貫通できる、もしくは制裁に参加していない国にいる場合は抜け道になってくれるかもしれません。もちろんウズ鉄公式から直で買うより割高にはなりますが。
ワシは引っかかったトラブル 同一名義での一括複数予約は不可
いつも通り一コンパートメントをボッチ占領すべく、クシェットなら4台、リュクスなら2台ベッドを買う作戦でした。チケットが解放されたら秒で買えるようにとあらかじめ同一列車の別日程で試験的に支払い前まで進んでみたのですが、同一名義で1度に複数ベッドの購入はできませんでした。先に進もうとするとエラー表示で怒られます。みんなどうしているのかとググった結果、家族などの名前や身分証番号を使って購入し検札時に予定が変わって来れなくなったとか言ったとか言えばいいじゃんとかって人もいましたが、そんな名義貸しを頼むことなんてできないし、テキトーに入力するにしても、実際本人がその場にいないと車掌権限でその席を再販売する可能性もあると聞きボツ。他に思い付いたのは、名前は同じのまま微妙に違うパスポート番号で買うこと。例えば、パスポート番号がAB123456ならAB123456X, AB123456Y, AB123456Zを2台目以降のベッドの乗客として入力するという手。これなら車掌さんにも伝わるだろうとは思うけれど、結局その番号の身分証を持ってる人は乗車していないからそのベッド売りますねといわれるとアウト。ちなみにウズベキスタン鉄道のチケットは記載された名義に縛られてるタイプです。譲渡できないのです。入力ミスなどの場合も変更はできず一旦そのチケットをキャンセルして買いなおす方式らしい。ということで、名義縛りがきついようなので全ベッド完全に自分名義にしたい。結果、4回なり2回なり購入手続きを繰り返すということになりました。別決済なら全く同じ個人情報でも問題なし。解放直後に間髪入れずにやれば、ターゲットのコンパートメント内のベッドのうち一部だけを他者に予約されてしまうということもないと思います。
まとめ
いろいろと難所はあるものの、現地に着く前から移動手段を確保できるのは助かりますね。タシケント、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァなどの有名観光地はきちんとカバーされているので、鉄道ファンじゃなくても移動手段として有力候補になるかと思います。
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