寝台夜行列車068Цアスタナ→セメイ
【概要】
カザフスタンの寝台列車068Цです。始発はアスタナ-ヌルルィ・ジョル(Acтана-Нұрлы жол)駅。パブロダル、セメイを経由し、終点はオスケメン。この列車の予約クラスはリュクス(中欧でいうSchlafwagenに当たる)、クペー(Liegewagen)と座席(ベッドではなく椅子)の3種類。いつも通り、リュクスのベッドを2台買って1室占拠しました。。今回は始発のアスタナからセメイまで乗車。2024年10月21日18時25分発車、翌日06時36分到着、走行時間12時間11分、走行距離約825kmです。1室=ベッド2台分で合計41146テンゲ。予約方法についてはこちらを。
詳しい経路はこちらの地図を。
【アスタナ-ヌルルィ・ジョル駅】
アルマトイからの列車で到着したアスタナ-1駅とは別の駅です。中央アジアあるある、空港みたいな立地です。駅舎の中も空港っぽい。これまでの駅とは打って変わって近未来的な印象を受けるデザインで、中は多種多様な店やカフェ、レストラン、バーが軒を連ねるEinkaufsbahnhofスタイルです(ドイツの主要駅でよく見かける、モールと駅が合体したみたいなやつ)。実際、立体駐車場でタクシーから降ろされ中に入ったものの、最初に目に飛び込んできたのはモールそのもので、警備員さんに「ココ、駅デスカ?」と確認したという。
写真は(たしか)3階と4階で、ホームはエスカレーターを降りた先にあります。ちょっとわかりにくいですが、それぞれ3と4と書かれた水色の柱型電光掲示板のところに、3番線と4番線へつながるエスカレーターがあります。
トイレとATMは、コンコースから両側に伸びる廊下の先に、ちょっと隠れるように配置されています。お店や飲食店が多いうえに座れる場所もたくさんあったので、ゆっくり待つことができると思います。
【いざ乗車】
電光掲示板に発車番線が表示されアナウンスが流れると、乗客が一斉に立ち上がり民族大移動の開始です。始発駅だと発車まで30分ほど時間がある場合が多いのも助かります。他の駅と大きく違うのは、ホームへとつながるエスカレーターの乗り口にも掲示板があって、自分の列車か確認できること。カザフ語、ロシア語、英語対応。外国人旅行者にも優しい設計ですね。
エスカレーターを降りた先にもトップ画のような表示がある。なんだか空港の搭乗口っぽいですよね。
【車内設備】
さて、毎回恒例の車内ツアーです。冒頭でリュクスといいましたが、この列車には普通のリュクスとシャワー付きのリュクスがあり、いつもはレトロ車両ばかりだから折角だしと、シャワー付きの方にしました。つまり、この列車で一番ランクの高い待遇。乗ってみたい人は、チケット購入時の車両一覧でTalgo grant PMR with showerと書かれている車両を選びましょう。
乗車時は座席モード。発車後、車掌さんが通り過ぎたタイミングでカギを開けてベッドを展開してくれました。
毛布を剥がすとすでにシーツが敷かれたマットレスが登場。乗客がやるのは枕と毛布カバーのみ。
これまでのレトロ車両では連結部の足元は、2-3枚の板が一応重なってはいるものの脇の隙間から線路見えるわ重なってる部分もめちゃくちゃスライドしまくるわでスリル満点だったのですが、なにこの安心感。
【まさかの、列車で"ととのった"】
シャワー浴びる必要はなかったものの、せっかくなので利用。水の勢いもよく、これはいけそうということで服を脱ぐ。暖房ガンガンなので車内はぬくぬく。シャワー室は狭いものの、お湯浴びには十分。……一向にお湯が出ない。反対側にレバーを回してみるものの、一向に温かくならない。水が切れるよりはと思い切って水浴び開始。あれ、ナニコレキモチイイ。もしかしてちょっと待てばお湯が来るかもと一回止めてみる。温かい空気が心地よい。ん、この感覚どこかでやった覚えがあるぞ。ブダペストの温泉だ。サウナと水風呂のアレ。
その後お湯を期待して水浴びを繰り返すものの、"ととのう"ばかりでお湯は来ず。諦めて終了。もしかしたらもうちょっと走ってから浴びたらお湯の準備ができていたかも……?
【食堂車】
さて、がっつり整ったことですし、今度は食堂車です。なんとすぐ隣の車両。
第一印象:たっけぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!!いやまあドイツの物価と比べれば断然安いんだけど、街中の物価を知ってしまうとね…。しかもカード払い不可、現金のみ。多めに持ってきておいてよかった。カザフスタンのビールとのことで、コイツを注文。
「ととのった」あとのビールは最高ですね。列車でこの気分が味わえるなんて想像すらしていなかったので、変にテンションがあがる。でも明日の朝は早いので、もう一杯飲んだら早々にベッドに戻って寝落ちしました。
【夜明けの平原、そして到着】
一晩ぐっすり寝て、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。朝の5時半。定刻ならセメイまであと1時間。カーテンをちょい開けして外を見ると、ちょうど夜明けのころだったようで、やうやう白くなりゆく雲の切れ間と、まだ暗がりに覆われた平原が見えた。
少々恐ろしい気もするような、それにしても美しいなあと眺めていると、北の方に光の粒の連なりが現れた。どうやら同じくセメイに向かっている列車のようだったが、重い雲のせいで地平線が曖昧になっているのもあって、本当にこの世の列車なのか少しばかり不安になる。見とれていたらあれよあれよと夜が明け、人類の支配領域に突入した。
無事到着。最高ランクの待遇なのに乗車時間が短かったことは心残りですが、ととのったり恐ろ美しい夜明けの平原が見れたりと、とてもよい列車経験になりました。次の列車は今回の旅のメインディッシュ・寝台列車で3泊4日になります。