見出し画像

パソコンが苦手な方へ 〜 その1 苦手の原因を探る

パソコンが苦手だなーという方は、入門(基本用語や基本操作など)以前でつまずいているのかも知れません。
 そんなとき、入門前、または後でもコンピュータのいくつかの特徴を知ると、ニガテ意識が少し和らぐかもしれません、というお話です。

なぜパソコンが苦手なのか?

まずは苦手な理由を少し掘り下げてみましょう。

その前に、

我が校のパソコン入門講座には、パソコンはまったく初めてではないけれど、ちょっと苦手で…という方が多くいらっしゃいます。

それで、講座も最初の頃には生徒さん同士で、私も苦手、私も苦手、と意気投合するのですが、実際には苦手な部分やつまずきポイントがそれぞれ違うので、お互いに話が噛み合ってないように見受けられます。

苦手は一括りにはできないのです。


それからもう一つ、

パソコンはパーソナルなコンピュータです。

これは、自分の目的のためにコンピュータを使うことの他に、自らが使いやすいように、ときに苦手な操作や難しい操作を避けるために、パソコン側をカスタマイズして使えることを意味します。

※ただし、このようにパソコンを使いやすいようにカスタマイズすることは、個人個人の状況によりますので、一般の多人数向けの講座やビデオのみの講座では難しいのです。

ですから、まずは人それぞれの苦手な部分に向き合い、その後それぞれに合った対処方法を考えてみましょう。


さて、パソコンが苦手な理由を聞くと、およそ次のようなことになります。

1. 何だか得体の知れないモノで怖いから
2. 操作を失敗して上司や同僚によく怒られたから
3. 習い始めの頃に先生や家族に知識の無さや操作を笑われたから

では、ひとつずつ掘り下げていきましょう。


苦手な理由1. 何だか得体の知れないモノで怖いから

パソコンというモノの "得体の知れなさ" というのは人の深層心理にふれるホラーであり、パソコンを苦手にさせる大きな理由の一つです。

だいたい怖いモノは知らないから怖いのです。

・引っ越してきたばかりの隣人
・行ったことのない死後の世界の人
・砂浜に打ち上げられた謎の物体

それを、さらにもう少し掘り下げると、次の2つの”わからなさ”にたどり着きます。

A. 目的が分からない = 何をやるものなのか? 
B. どう動いているか分からない = 裏側で何をやっているのか?

これらは、一般的なパソコン入門者の状況、

C. 操作方法がわからない

それ以前の問題です。


A. 目的が分からない について

そもそもテレビの録画などが苦手な、いわゆる機械音痴の方がいますが、パソコンの場合、そのような機械に輪をかけて受け入れにくさがあると思います。

なぜなら、他の機械ならおよそ目的の見当がつきます。

・ブルーレイなら映像の録画や再生
・炊飯器は米を炊く
・包丁はものを切る

でもパソコンは何が目的で、何ができるかわからない。

なぜか?

できることが多すぎるからです。

先生質問!パソコンって何ができるのですか?
→いろいろできます。
→いろいろって何?
→あれやこれや何でもできます。
→はあ…。何ができるかよく分からないけど、就職のためには覚えないと…。

スーパーの陳列棚でもよくいいますが、
人は選択肢が多すぎると迷います(※)。

※ ただし、もともとパソコンを使う目的を持っている方は別です。
・写真や動画の編集に使いたい
・帳簿を付けたい
・ネットショップをやりたい
 etc.
そのような方はこの節はクリアしています。

でも、パソコンの場合、目的に迷ってもあまり困らない。

なぜなら文書作成なら紙と鉛筆で、ゲームならスマホや専用の機械でオッケーなのですから、なんでもできるパソコンを何かに使うという動機付けがない。

=私にとってのパソコンの利用目的がわからない

となります。

パソコンを使う具体的な目的のないまま、

・就活や職場でどうしてもパソコンの”基本操作”が必要なので

など、パソコンを学ぶ目的が少し自分から離れたところから、いわば超越的な視点でとらえられているのです。

結果、

・パソコンは就活や実際のお仕事には必須!だから学ぶ。
・でも、具体的にパソコンが何をするものなのかはよく分からない!

となって、いつまでも得体のしれないものになり、恐怖の対象となっているのです。


以上のことは、パソコンを使う目的が自分にとって明確な方々=趣味の事に使っている方や、パソコンそのものにハマってる方がこの辺りを克服していることからも理解出来るのではないかと思います。


B. どう動いているか分からない について

このことは、パソコンの作業が上手くいっているときはあまり気になりません。

パソコンは魔法の箱のようです。
やりたいことを紙やペンや楽器よりスムーズにスマートにやり遂げてくれます。

ところが、上手くいかなくなったときが問題です。

なんらかのトラブルや、自分の狙いと違う結果になってしまったとき、例えば紙やペンならトラブルがあってもすぐに対応できます。

・鉛筆なら消しゴムで消す。
・油性ペンなら修正液。
・どうしよもないなら新しい紙に書く。

しかし、パソコンの場合、それらをこちらで直そうとすると、途端に牙をむきます。

上の例でいうと、たとえばWordの文書中の”線”を消すには、線の種類毎の消す方法が存在します。
・文字罫線
・段落罫線
・表の罫線
・図形の線
・ヘッダーフッター内の線
  etc.
さらにタチが悪いのは、いつのまにか線が引かれたりする!
(※試しにWordの文章中にハイフンを連続して入れてみてください)
すぐに気づけば元に戻す機能で取り消せますが、あとで気づいたときにはどうしようもありません。

そうなると、原理原則を知る必要がでてきます。

原理原則をたどって、問題の原因に立ち向かわなければなりません。

※Wordには文章作成の原理原則が裏にあり、
Excelにはコンピュータサイエンスの原理原則があります。

でも、原理原則、つまり動いている仕組みやルールがわからないので、いざという時にも何もできない…。

そんなの怖くて使えない。

となります。

与えられた課題をこなすだけ、またはトラブルが発生した時にサポートに相談しても表面的な操作の訂正だけ(※)ですと、このような状態に落ち入りやすいと考えられます。

※サポートが悪い場合がほとんどですので自分を責めないでください。


さらに、パソコンを含む機械全般が苦手な方の場合、

壺やお皿ならば物理的に気をつければなんとかなるのに、機械はボタンを押し間違えたりしただけで壊れそうで…と思っていることも、得体の知れなさの怖さのひとつでしょう。

苦手な理由2. 操作を失敗して上司や同僚によく怒られたから

これも、大きな理由の一つです。

怒られたくないですよね。

ただ、これは、上司や同僚自身が抱いているパソコンに対する怖れ(前節の苦手な理由1または本節)が伝染した形といえます。

このような体験をした生徒さんの失敗談を聞くと、

・誤って大切なファイルを消してしまった。
・メールを誤送信してしまった
・大量に印刷してしまった

という例が多くあります。

それはそれで物理的に問題なのですが、さらに良くないのは、上司や同僚も失敗の原因や対策もよくわかっていなくて、今後はダブルチェックしましょうなどの対症療法的になってしまうことです。

結局、自分の何がいけなかったのか、どうすれば良かったのか、というのも分からずじまいになってしまいます。

それでは、いつまでたっても学べないので不安なままです。


昔であれば上司は部下より仕事をよく知っていて当然でした。何かミスがあってもフォローしてくれたり、あえて千尋の谷へ突き落としてくれたり…。

でも、ことパソコンの操作についてはそうとは限りません。
学歴も経験も関係なく。苦手な人はたいてい苦手。
大人になれば、よっぽどのことがない限りずっと苦手なまま。

苦手な人同士で攻め合って、結局なにも解決せず、鬱屈した思いだけが残って、それがまた伝播して…。

救世主は問題を明確にできる優秀な社内SEや情報部門ですが…、一般的にはそのような方がいる中小企業は少ないでしょう。


苦手な理由3. 習い始めの頃に先生や家族に知識の無さや操作を笑われたから

これは講師としても、すごく気をつけていることの一つです。

生徒さんの中には、これがトラウマになっていて、やたら操作に緊張してしまう方がいます。知識がないから、操作ができないから勉強するのに、出鼻をくじかれる思いでしょう。

これは、苦手意識や学びへのモチベーションを下げる最たるものではないかと思います。

場合によってはリラックス効果をねらうこともあるかもしれませんが、それはよっぽど相手との信頼関係があって尚且つ一対一ならまだしも、周りに人がいるところではダメですよね。


さて、実は先生や家族があなたの操作を笑う理由もまた、彼らが潜在的に持つ前項1であげた恐怖であったりします。

普段パソコンに恐怖によって虐げられているので、

弱いもの達が夕暮れ、さらに弱いものを叩く −  ブルーハーツ

となって、自分より弱い、初心者を笑ってしまうのです。

と、とらえておきましょう。


でも、本当にパソコンを指導する能力がある方なら、きちんと反省し対策を提案してくれると思います。一度は許してあげてください。


以上で、苦手な理由については終わりです。次回は具体的な対策を考えていきましょう。

令和2年9月17日   こちらは秋の気配。だいぶ涼しくなりました。


いいなと思ったら応援しよう!