ウクライナの地下に眠るあるものの攻防
ドンバス地方のドネツク州の戦闘でバフムトが最前線になっていますが、
ウクライナの反転攻勢が少しずつ現実味を帯びてきました。
そんな中、これはまったく知らなかった事のですが・・・
それは、東部ドンバス地方に眠る地下資源の存在です。そこには、
リチウムを中心としたタンタル、ニオブといった重要鉱物が埋まって
いるのです。
とりわけリチウムは、EV自動車などに使われるバッテリーの原材料と
して貴重な資源です。その希少性からホワイトゴールドと呼ばれほど
各国が喉から手が出るほどほしい重要鉱物です。
奇しくも、ロシアのウクライナ侵攻がはじまった2022年の2月に
ウクライナの地質学者であるスヴィトラナ・ヴァシレンコ氏と
ノメンコ・ウリアナ氏がウクライナに眠るリチウム酸化物の埋蔵量を
50万トンと推計しました。そしてそれはまったく未開発の状態である
ということ。
地下に眠っているこれらの希少鉱物は、シェブチェンキブスケ(Shevchenkivske)と呼ばれる地域でまさしく戦闘が行われている
ドネツク州なのです。
現在、重要鉱物の開発と生産はほとんど中国が支配力を握っている
と言っても過言ではありません。実際、世界に占めるリチウム加工
の割合は58%、ニッケルは35%、コバルト65%、グラファイトは
71%になっています。
米国はインフレ対策の一環で米国製電気自動車に対する優遇税制を
発表しました。最大で7500ドル(約100万円)もの優遇税制措置になります。
そのためには米国製バッテリーと認定される必要があります。
自前でバッテリーを製造するにはリチウムの安定確保が必要です。
うがった見方をするとウクライナのリチウムを確保できるかどうかが、
決定的な鍵を握っていると言えるのです。
ウクライナのリチウムは戦争開始前から世界で注目されていました。
あからさまに口にできませんが、「地下資源こそ開戦の理由」という
見方もまんざら陰謀論的なものではないような示唆が含まれている
ように感じます。
西側諸国が決して表には出せない暗部のようなものなので、そんな
ことはまったくマスコミでは報道されません。裏の事情を読み解く
とこんな見解もありだと思えてきます。
米国にとってみれば、長期的に見れば、ウクライナの資源は中国を牽制、
対抗するために必要なので、ウクライナを支援する強力な理由であると
消極論を封じ込めるための反論材料になります。
日本においても電気自動車のバッテリー製造で、米国の自由貿易協定
(FTA)締結国と同等に扱われる資格を得たために日本のEVも同等の優遇
措置を享受できるという関係になっている事実を認識すべきです。