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2024年8月23日に公開された邦画「ラストマイル」の徹底レビュー

映画「ラストマイル」を鑑賞してきた。見終わった後、他の人のレビューをいくつか読んでみたが、的確に表現している人があまりいなかったので、詳しく考察してみたい。

あらすじ
「ラストマイル」は、都市の雑踏の中で生きる人々の生活を描いたヒューマンドラマで、特にラストマイル(最後の配送区間)に焦点を当てている。主人公は、都市でデリバリーの仕事に従事する青年で、日々の配送業務を通じてさまざまな人々と出会い、その背後にある物語を知っていく。

映画は、テクノロジーが進化し、人と人とのつながりが希薄になる中で、主人公が見つける「人間らしさ」や「本当のつながり」をテーマにしている。

映画「ラストマイル」の主演は満島ひかりである。満島ひかりは、その多才な演技力と幅広い役柄をこなすことで知られる日本の女優であり、この映画でも、彼女は複雑な感情を抱えながら日々の生活を送る主人公を見事に演じており、彼女の演技が作品全体の魅力をさらに高めている。

序盤の彼女の演技はぎこちなく、大根役者かと思うほどのセリフ回しだったが、主人公が直面するさまざまな困難や葛藤がリアルに描かれるにつれて、核心部分に近づくとともに、その演技力が光り始めた。

そして、その核心部分では、現代の消費社会、特にEC(eコマース)を代表する巨大企業(Amazonがモデルではないか)が抱える闇が描き出されている。

映画は、顧客にお得なセールを提供することで、年に一度の売上高を記録するブラックフライデーが、そこで働くマネージャークラスの精神的な疲弊を犠牲にして成り立っていることを痛烈に批判している。

また、物流サービスの最前線である宅配業者で働く人々が、世界的な企業によって低賃金で苦しめられている様子も描かれている。現場で働く人たちが最も搾取されているという実態が、リアルに描写されている。

惜しむらくは、以前、実際にAmazonでも問題になった仕分け倉庫のバックヤードで働く低賃金労働者についても問題提起があれば、さらに良かったのではないだろうか。

いずれにしても、現在の日本における親会社と下請けの力関係による社会的なパワハラが原因となっているという深い意味合いを感じさせる、秀逸な邦画であった。

そのあたりを指摘して考察しているレビューがほとんんどなかったのでついペンを取ってしまいました。

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