開発の力で飲食業界のクリエイティビティを上げたい <DevOps部門RA開発部 井上優威>
インフォマートの開発部門のメンバーにインタビューし、開発者という職業を選んだ理由から、開発という仕事や手がけたサービスへの想いまでを存分に語ってもらおうというこの企画。第1回目に登場するのは、2013年に中途入社し、現在、DevOps部門RA開発部に所属する井上優威。当社のメイン事業である、国内の飲食店約7万店舗が導入する飲食業界向けのシステム「BtoBプラットフォーム 受発注」のリニューアルを最前線で進めてきた彼は、社内では「開発部門のエース」と一目置かれる存在。その彼がなぜ開発者になり、今、何を目指してどんな仕事に取り組んでいるのかを訊いていきます。
■自分の手でシステムを育てられる環境を求めて
――このインタビュー連載の第1回は、「開発部門のエース」と言われる井上さんからということで。
やめてください(笑)。こういうインタビューを受ける機会はないので、緊張しています。
――開発部門のメンバーの人となりや開発への想いを、ダイレクトに伝えていくのがこの企画の狙いですので、よろしくお願いします。はじめに井上さんがエンジニアリングやITに興味を持った経緯から教えてください。
高校2年生の時に、情報系の授業でLinuxをさわったのがきっかけでした。当時はパソコンといえばデスクトップがあって、画面にアイコンが並んでいるイメージがあり、どちらかというと「ゲーム機の延長線にあるもの」と捉えていて。ですがLinuxのようなソフトウェアがパソコンを裏で動かしているのだということを知り、がぜん興味を持つようになりました。その流れで情報系の専門学校に進み、プログラム作成や資格取得などを経て前職となるIT系の会社に就職したんです。
――エンジニアとしてのキャリアのスタートとなる前職では、どんな業務を担当されたのですか。
クライアントのシステム開発を請け負う企業に6年ほど勤め、色々なプロジェクトを担当しました。様々な言語や環境を扱いながら経験を積むことができたと思います。ただ、前職の場合は一定期間クライアントに出向いて仕事をして、案件を終えたら次のクライアントへ、というスタイル。つまりせっかく自分で作り上げたシステムでも、お客様に納品するとそれでおしまいになってしまう。システムとの関わりが絶たれてしまうことが残念というか、肌にあわないなと感じるようになると同時に、仕事のボリュームが増え過ぎてしまったこともあって、転職を考えるようになりました。
――できれば自分が開発に関わったシステムと長く付き合っていきたいという想いがあったということですね。
そうですね。システムの要件定義から開発までに一貫して携わり、完成後もお客様の声を反映しながらより良いシステムへと育ていけたらいいなと。そう思って自社でシステムを開発している企業を探していた時にインフォマートに出会いました。
――自社でシステムを開発している企業は数多くあると思います。その中でなぜインフォマートを選んだのでしょうか。
面接の前、インフォマートについてはB to Bのサービスを手掛けているという漠然としたサービス内容しか理解できていなかったのですが、私自身の「食」に対する興味が強かったことが決め手の一つになりました。休日は妻と一緒に代々木公園などで行われる、海外のフードフェスティバルに出かけるなど、食への関心は私の人生の中でかなり大きな割合を占めています。仕事でも食に関する事業に関われたらと考えていたところ、インフォマートの主軸の事業が飲食業界向けのシステム開発と知り、これはいいと。前職での技術的な経験も役立ちそうだと感じ、入社を決めました。
■トラブルから得た社会の役に立っているという実感
――入社は2013年です。入社してまずは、どのような業務を担当されたのでしょうか。
今振り返れば、かなり過酷な状況のところに入ったんですよね(笑)。私が入社したのは、飲食業界向けの受発注システム「BtoBプラットフォーム 受発注」のリニューアル渦中。この頃はユーザー数が急増し従来のサーバーでは対応しきれなくなっていたので、サーバーを増設して負荷を分散させると同時に、UIやUXを改善してより使いやすいシステムを構築する必要が出てきていたんです。やらなくてはいけないことがとにかく膨大で。
――社内でも「あの頃は大変だった」と語られているタイミングですよね。
リニューアルプロジェクトは2013年の9月までと期限が決まっていたので、私も入社直後からひたすらプログラムを書いては検証し、不具合を見つけては修正を繰り返す日々が続きました。リリースしてからもしばらくの間は24時間交代制でシステムを監視し、緊急の不具合には即座に対応したり、と。ただ個人的には「大変だった」というのは、今振り返ると、という部分が大きくて、新たにシステムを構築する過程はとても楽しかった記憶があります。
ー一その中でも特に印象に残っている出来事はありますか。
いくつかある中でも、リニューアルした年末のアクシデントは強烈でした。受発注システムの一部機能を年末年始に一時的に閉じる必要があったのですが、その作業の過程で、突然システム全体が動かなくなってしまって。しかもそれが仕事納めの日に発覚するという……。当時で私たちのシステムを導入している外食産業の企業数は3万社を超えていました。皆さんそれぞれが年末年始のものすごく忙しいタイミングなわけで、そこでシステムが使えなくなるなんて、とんでもないことです。
ー一少し想像するだけでとても大変なことだと分かります。
開発チームの誰もが青ざめていました。幸いミス自体はとても初歩的なもので、復旧にもさほど時間を要しなかったんですが……あの時の焦りは忘れられませんね。もちろんこれは絶対にあってはならないミスです。あってはならないのですが、私にとっては私たちのシステムが与えている影響の大きさを認識した出来事でもありました。というのも、システムが正常に動いていると、影響力を実感することはなかなか難しいもの。トラブルが発生したことで、こんなにも困る人が世の中にいるのだと改めて気付いた部分があって。私は、お客さんや社会の役に立っているという実感が仕事の達成感ややりがいにつながるタイプなので、以降はより一層気持ちが引き締まりました。
ー一井上さんはそれ以来ずっと「BtoBプラットフォーム 受発注」に関わっていますよね。
そうですね、立場や役割は変わりつつも、新規要件開発や運用、保守を10年ほど継続していて、お客さんにとってより良いサービス開発を進めてきました。今となっては「BtoBプラットフォーム 受発注」に対して我が子のような感情を抱いています。
――「我が子」とはなかなか強い言葉です。
我が子だから可愛いし、心配だし、もっとこうなってほしいという想いもどんどん出てくるんですよね。
――長く一つのサービスの開発や改修に関わってきた立場から見て、システムを取り巻く環境に変化を感じることはありますか?
新型コロナウイルス感染症の影響、そして飲食業界内の深刻な人手不足をうけてDXを進める企業が増え、受発注システムはもちろん、請求書システムなどの引き合いがとても強くなってきているのは間違いありません。私たちのシステムはお客様にとって、電気や水道などのインフラと同じような価値のあるサービスに育ちつつあるように思っています。
――インフラであるからには、止めるわけにはいかないですよね。
それはもちろんですし、もっともっと安全性や快適性を高めていく必要がある。ユーザー数の増加に伴い、様々な要望をいただくようにもなりました。システムというのは使えば使うほど多様なニーズを反映したより良いものになっていくものです。そういう意味では今後の変化がとても楽しみですし、この先もシステムを長い目で育てていけるのはとても嬉しいですね。なにせ我が子のようなものなので(笑)。
■小さく作って、素早い改善を重ねるという開発体制へ
――井上さんは今年からDevOps部門RA開発部に所属されています。
簡単に言うとRA開発部は高速でシステム開発を行う部門で、私は主にプロダクト開発の要求整理と案件定義、プロジェクト管理を行なっています。「BtoBプラットフォーム 受発注」に関しては、お客様により快適にご利用いただけるよう、定期的に機能のアップデートや新サービス・新機能の開発を行っているのですが、まだまだUIやUX面で改善の余地があるのも事実です。そこでUI、UXを含めた大規模な改修を行うプロジェクトを進めています。
――いわゆるユーザー目線での改修、ということになると思うのですが、お客様のニーズはどのようにキャッチしているのでしょうか。
私たち開発部隊がお客様と直接話す機会は限られているので、営業チームと密に連携をとっています。インフォマートの営業チームは、お客様の運用面のサポートを手厚く行っていて、個々の状況や困りごとを日々、ヒアリングしています。また、現在はお客様の要望、そしてお客様を取り巻く世の中や社会の移り変わりが激しく、ニーズも数ヶ月単位で刻々と変わっています。私たちもスピード感を持って、柔軟に対応できる開発体制や環境を取り入れる必要性を実感しているところです。
――「スピード感を持って、柔軟に」というところを、もう少し詳しく説明してもらえますか。
まさに私が所属するDevOps部門の手法なのですが、開発現場では、まずはシステムを小さく作って、早い段階で具体的なフィードバックをお客様から得ながら必要な機能を順次組み込み、システムを短期間で育て上げるアジャイル型でプロジェクトを進めています。この手法にまだ馴染みのないチームメンバーもいるのですが、私はエンジニアリングマネージャーとして、アジャイル型の開発でしっかりとした成功モデルをつくり、開発メンバーや社内にそのメリットを伝えていくことを目指しています。
■食に興味があるからこそ、飲食業界をよりクリエイティブに
――井上さんから見て、インフォマートの開発メンバーの特徴はどんなところですか。
技術力が高いことはもちろん、私と同じくユーザーのことを第一に考えるメンバーが多いところだと思います。開発者というのは、最新の技術を使って「すごいもの」を作りたがる傾向があったりするのですが、うちの開発メンバーはユーザーが使いやすいシステムを提供することを第一に掲げています。システムや機能の後ろにあるのは「これがしたい」とか「これはしたくない」という人の「欲」です。そこをしっかりと理解して開発を進めていこうという風土が社内には根付いているように感じます。
――人の「欲」をどうシステムに反映させていくのかが、開発者の使命ということですね。最後に、開発者として井上さんの今後の目標を教えてください。
これは私自身の欲というか、個人の野望レベルの話になるのですが、私たちのシステムを通じて飲食業に携わる方々のクリエイティビティを上げるサポートができればと考えています。簡単に言うと、より美味しいものを、より多くの人が食べられるという世の中になればいいなと。
――まさに食への興味が強い井上さんならではの想いですね。
たとえば飲食店で働く方々には、料理を作る以外にも様々な種類の仕事がありますよね。BtoBプラットフォーム 受発注をはじめとした私たちのシステムを使うことで、その日々の煩雑な業務をより効率的に行えるようになれば、大幅な時間短縮につながります。そこで生まれる時間を活用して、美味しい食材を探したり、新しいメニューを開発したりしていただきたいなと。飲食店に限らず、私たちのシステムによって飲食業界全体のクリエイティビティが高まれば、食にまつわる様々なことが活性化していくはずです。これが実現できれば、食への興味や欲求が強い一開発者として、本当に嬉しい限りだと思うんです。
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