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ワンチームで支えた「受発注」の成長。今と昔の“いいとこどり”でよりよいサービスへ <濱嶋克行上席執行役員×山岸仁志ITソリューション部 部長対談>

インフォマートのサービス開発における大きな出来事や転換期について開発メンバーに語ってもらい、なぜ、どのようにしてそれぞれのサービスが開発されたのかを明らかにしていく企画。記念すべき第1回目は、インフォマートの代名詞とも言えるサービス「BtoBプラットフォーム 受発注」の黎明期に営業、開発の最前線で活躍していた二人として、コーポレート・デベロップメント部門 上席執行役員の濱嶋とITソリューション部 部長の山岸が登場。「BtoBプラットフォーム 受発注」の初期、急成長の裏側ではどんなことが起こっていたのか? そしてその時代を経験してきた彼らが今、考えていることとは?

<プロフィール>
濱嶋 克行(ハマシマ カツユキ)
コーポレート・デベロップメント部門/上席執行役員。2006年3月インフォマート入社。営業職を経て、「BtoBプラットフォーム 受発注」や「BtoBプラットフォーム 規格書」を中心にフード事業部門を管掌。現在は事業成長を狙ったプロダクト戦略の起案やプロダクト開発、必要な技術確保を目的とした業務提携業務を管掌している。

<プロフィール>
山岸 仁志(ヤマギシ ヒトシ)
ITソリューション部/部長。2005年12月インフォマート入社。プログラマーとして「BtoBプラットフォーム 受発注」の開発・運用保守業務の管理などを担当し、現在は「BtoBプラットフォーム 規格書」「V-Manage」も含めたフードサービスの開発・運用保守管理を行う。

■営業も開発もワンチーム。“あの頃”だからこそできた働き方

――本日はありがとうございます。こうして改まって向かい合うのは照れ臭いかもしれませんが、緊張せず気楽に話してくださいね。まずはこれまでの経歴を含めて、お二人の自己紹介をお願いします。
濱嶋
 私がインフォマートに入社したのは、2006年3月です。ここが2社目で、前職では中小企業や個人事業主向けに会計や人材などバックオフィスのコンサルティングサービスを提供する会社に勤めていました。それなりに面白さも感じていましたが、本当にお客様にフィットするサービスを提供できているという実感がなくて。外の世界も知りたいと思っていた時に出会ったのが、インフォマートでした。実はその時、採用の募集はしていなかったのですが、私が前職で税理士をボランタリーチェーン化するサービスを立ち上げていたことを当時の社長が知っていて、ちょうどインフォマートでも外食企業のボランタリーチェーン化を検討していた時期だったらしく、お会いした翌日には「採用」と言われました。最初は事業戦略室で新サービスの企画に関わっていたのですが、いざそのサービスが立ち上がるというタイミングで、まさかの営業職になりました(笑)。

山岸 濱嶋さんより、私のほうがちょっとだけ早く入社したんですよね。私は2005年12月入社なので、19年経ちましたかね。インフォマートが4社目です。1社目は営業職で、2社目はプログラマーとしてシステム開発を行っていましたが、3社目はコンサルに近い仕事をしていました。がっつり技術畑ではなく、プログラマーとしての経験は2年半くらいでしたが、インフォマートにはプログラマーとして採用され、再びシステム開発に携わるようになりました。当時は開発の社員が3人しかいなくて、協力会社を含めてようやく10人ほどのチームでしたね。

――濱嶋さんは「まさかの営業」とのことですが、主にどんな業務を担当されていたんですか?
濱嶋
 実は入社して3か月で、3部署異動したんです。先ほども言った通り、入社してすぐの頃は新サービスの立ち上げをしていましたが、その後、その新サービスの営業に。ただ、なかなかノルマを達成することができなくて……。失敗を重ねる姿を見兼ねたのか、ある時社長に呼ばれて「成功体験をしてこい」と、当時上り調子だった飲食業界向けの受発注システム「BtoBプラットフォーム 受発注」の事業部に配属されました。今時のスタートアップは顧客要望に素早く反応する顧客ドリブンな側面がありますが、当時のインフォマートはどちらかというとプロダクトドリブン。プロダクト自体に思想があり、まずは自分がそれを理解し、一生懸命お客様に普及させる活動に力を入れていましたね。

山岸 濱嶋さんにも、そんな時代があったんですね(笑)。あの頃の「受発注」はまさにサービスとしての成長期でしたもんね。私はプログラマーとして、「受発注」のサービス改修などを担当していました。2年目だったかと思いますが、当時はお客様からのこんな風にしてほしいという要望がものすごく溜まっていた頃で。いきなりPMに任命されて、そのうちの60件くらいを全部やれというお達しがあったんです。絶対に無理だろうというものは除いても、50件くらいは何とか対応してリリースするという大変な時期でした。「この画面にこういうものを表示してほしい」とか、「こういう登録ができるようにしてほしい」とか、一つひとつの難易度は高くなくても、数の積み重ねで苦労しました。まだオフィスも狭かったので、協力会社の会議室を借りて黙々と作業をする、なんてこともありましたね。

――そろそろ本題に入りますが、お二人とも入社当時は「受発注」に携わっていましたよね。現在も多くのお客様に利用いただいている、インフォマートを代表するサービスですが、黎明期にはどんなことがあったのでしょう。
山岸
 「受発注」のリリースが2003年ですので、本当の立ち上げ時期には関わっていなくて、私が入社した頃は、ちょうどお客様の数が急激に増え始めた頃。特に2008年から2009年あたりはフランチャイズ機能を追加したことで、より幅広く使ってもらえるようになったという記憶があります。

濱嶋 あれはもう大ヒットでしたよね。しかもあの機能は画期的で、もはやフランチャイズだけのものではなくなっていますしね。フランチャイズという仕組みは、本部が管理するもので、フランチャイザーとフランチャイジーが別法人になるわけです。言い換えれば別法人が同じ組織にぶら下がれる、複数の法人が絡める体系のプロダクトですから、それを活用して、ホールディングスの会社にも提案できるようになったんです。ちなみに、この機能の最初の契約を取ったのは私です(笑)。

山岸 なんと、それは知らなかった。でもあの頃はまだ小さい組織だったこともあって、開発と営業の距離が今よりも近かったですよね。

濱嶋 そうそう、開発メンバーが必要に応じて現場に出ることも当たり前で、よく一緒にお客様のところに行っていたんですよ。お客様の要望に対して、その場で山岸さんが、開発目線から先を見越した回答や提案をしてくれて、スピーディーなやり取りができていました。お客様にとっては、それが「真剣に向き合ってくれている」と感じてくださるポイントだったようで信頼感が生まれ、「こんなに親身になってくれるなら、他社から切り替えようか」みたいなこともありました。たとえば商品の発注をデジタル化できることはいいとして、その発注書を訂正する時はどうするのか、など細かい課題も多かったですね。お客様へのヒアリングを重ねて、一緒に考えて、あるべき業務フローを導き出すのが当時の私の仕事。それを形にするのが開発の仕事。そういう役割分担はありつつも、 “みんなで一緒に提案している”という感覚がありました。

山岸 要望に対し「こんな形はどうですか?」「こっちのほうがよくないですか?」というお話もして、濱嶋さんたちとその場で詰めながらやることも多かったですよね。私としては自社サービスを開発・運用しているのだから、言われたものをそのまま作るだけならただのシステム会社と変わらないし、面白くないよな、と思っていました。

濱嶋 当時は人数が少ないことで大変なこともありましたが、少ないからこそのメリットもあって、みんなが自分以外の業務についても詳しくなるんです。たとえば「請求書の日付って何のためにあるんですか?」「これにはこういう理由があって」という会話が部署を跨いで日常的にできていましたよね。人数が増えて分業が進むと、どうしても他の業務を知らないままのメンバーも出てきますから。山岸さんの、言われたものをそのまま開発していたわけじゃないという話と重なりますが、お客様からの要望をそのまま受け入れるのではなく、要望に対して質疑が行われ、その結果をもって本当に機能として追加するかどうかを社内稟議にかけるので、一つひとつの機能が自然と磨かれ、そぎ落とされてもいきました。

■長く続けることの難しさと、そこから生まれた責任感

――「受発注」はもはやフード業界のインフラと言えるほど多くの方に利用されるサービスに発展しています。長年携わってきたお二人から、今の「受発注」はどう見えていますか?
濱嶋
 利用頻度が高いサービスですから、それを維持し続ける難しさを実感しています。そこにはインフラとしてなくてはならないサービスになったからこそ感じる責任感がありますね。

山岸 それはまさにその通りですよね。日々多くの方に使っていただいているという責任感は大きいですよ。

濱嶋 しかもお客様は私たちよりも圧倒的に利用頻度が高いので、何かあった時にすぐに気づきますから。

山岸 あとは長年運用しているサービスなので、システムがどんどん複雑化しているというのもありますね。新たに追加したい機能が出てきたら、それを実行することによるシステムへの影響範囲を調べるわけですが、意外なところに影響を与えることもあるので慎重に調査を行い、仕様を決めるようにしています。

濱嶋 長い時間をかけていろんなものを積み上げてきているので、本当に多機能になっていますよね。もはや今の「受発注」は、他社のどのサービスよりも外食産業に必要な機能を網羅できていますよね。だから新しいメンバーはすべての機能を把握することに苦労するかもしれませんが、長くいるメンバーの引き出しの多さはすごいですよ(笑)。ただ、時代の流れに沿って変わらないといけないとは、私も山岸さんも思っているはずです。

山岸 改めて伺うことになりますが、濱嶋さんとしては特にどのあたりが、変わる必要があると感じていますか?

濱嶋 すごく具体的なことでいうと、たとえば発注の締め時間。最初は発注する側が設定することになっていました。サービスができた当時はまだ物流問題なども顕在化していなかった頃なので、受注側としてはチャンスロスしたくないがために時間外でも注文を受けたいという会社が多くあり、受注側では制御しないシステムになっていました。でも今はビジネス環境が変わり、受注側の意見も強くなってきて、受注側で制御できるようにシステムを変更しました。残業代や物流費を考えると、“受けない”選択をするほうがいい場合もあるので。これはあくまで一例ですけれど、こうした時流をキャッチして、プロダクトに反映していかなければいけないタイミングに差し掛かっているのかもしれません。

■「個人のスキルをチームで生かす」インフォマート流のやり方でよりよいサービスへ

――「時代の変化」というお話がありましたが、会社の規模が大きくなり、メンバーも増え、インフォマートという会社にも大きな変化があったと思います。それについてそれぞれのご意見を聞かせてください。
濱嶋
 プロダクトの種類が増え、かつ顧客基盤も大きくなりました。それに伴い組織が大きくなるにつれ、以前よりも業務量は増え、分業が進んできましたよね。ここ数年は開発の手法もウォーターフォール型だけにこだわらず、アジャイル的な開発も増えてきましたし。

山岸 そういう流れで開発部内の組織の改変も行われましたしね。先ほども言ったように、初期の頃は開発メンバーもお客様のところへ同行していたので、私はお客様の意見を直接聞くことができたし、私自身それをもとに「どういうシステムにするか」を考えることが好きでした。会社の成長に合わせて組織がより体系化され、マネージャーなどが間に立って部門間の調整をするようになり、統制が取りやすくなった一方で、自分の声も相手の声も伝わりづらくなっている節があるのは否めません。新たにダイレクトに意見を交換できる場を設けることなどに積極的に取り組んでいきたいです。

濱嶋 業務の効率化や自身の専門的なスキルを磨くことができるのが分業のよさです。もちろんそれも大事なことですが、より良いプロダクトをつくるためには、お客様とエンジニアをつなぐ営業メンバーが的確かつタイムリーに要求を出さないといけない。また的確に要求を伝えるためには、コード体系を想像しながら、要求提示をしなければならない。その逆もしかりで、エンジニアも営業の業務を知ることで、要求を深く理解でき、結果より深くお客様を理解することにつながる。だからワンチームで動くことが、重要なんです。

――そうした変化を踏まえ、「昔」を知るからこそ伝えたい想いなどがあれば教えてください。
山岸
 技術者が技術だけに特化する今のやり方は、もちろん時代にもマッチしているし、効率化を図る上では重要です。個人のスキルや専門性を磨き、スペシャリストを育てる「今」のやり方と、お客様の声を直接聞くことで、どのようなシステムが望まれているかを一人ひとりが直に感じ取り、技術者側から積極的に意見を発信する「昔」のやり方をMIXさせることが、「受発注」の成長、ひいてはインフォマートの成長に欠かせないと感じます。

濱嶋 ミニマムで動けるチームをちゃんと作れば、昔みたいに一体的に動けると思っているんですよ。この辺を考えるのが、私や山岸さんの仕事ですよね。20年以上作り続けている「受発注」というサービスが本当に多機能になっているので、当然アップデートやブラッシュアップが必要だと思います。同時に、メンバーの意識、業務への関わり方もアップデートして、昔と今の“いいとこ取り”でよりよいサービスにしていきたいです。


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