アトラクタの認定スクラムマスター研修を受けてきました
インフォマートの開発部門で様々なサービスの開発や改修を担う社員たちが、時に技術力向上のために、時に自らの楽しみのために、開発界隈で話題の○○を体験し、レポートするリレー企画です。
今回は、DevOps Rapid Application 開発部 櫻井健がレポートを担当します。
◾️はじめに
はじめまして、櫻井 健と申します。中途入社して9年目が経ちました。ITエンジニアとしてのキャリアはトータルで20年近くになります。弊社に入社後は、プロダクト業界CH開発を新規立ち上げ、全プロダクト横断の共通機能の開発、社内のバックオフィス向けのシステム開発等、紆余曲折を経て、現在は、DevOps Rapid Application 開発部のイネイブリングチームで開発プロセスの改善に取り組んでいます。
このマガジンの1本目を書くにあたり、何を書くか迷いましたが、弊社でも個人的にも取り組んでいきたいアジャイル開発、スクラムに関する内容が良いのではないかと思い、ちょうどタイミング良くCSM研修を受けてきましたので、そちらのレポートを書こうと思います。
6月3、4、5日に株式会社アトラクタの認定スクラムマスター研修を受けてきました。 研修を受けた動機、何故アトラクタさんの研修なのか、研修の内容(ネタバレしない程度)と感想、持ち帰って社内でやろうと思っていることをシェアします。
なお、以下に該当する方を想定読者としています。
・社内にいるスクラムがようわからんという方々
DevOps Rapid Application 開発部は社内だとアジャイル開発、スクラムの推進側の立場です。スクラムにはCSMという認定資格があり、会社の資格取得支援の対象になっているのだよというレベルでは知ってもらえるかなと思って書いています。
・弊社に入社してスクラムをやりたい方々
DevOps Rapid Application 開発部は、開発プロセスとしてスクラムを採用しており、今後、適用チームを拡大予定です。スクラムをやりたいITエンジニアの方に弊社を知ってもらえると良いかなとも思っています。
■基本情報
受けた研修の基本情報は以下の通りです。研修の紹介ページへのリンクになります。
認定スクラムマスター研修(2024/6/3-5、オンサイト、宿泊型)
■認定スクラムマスター研修を受けようと思った動機
1. 2023年に、変形スクラムで開発しているプロダクトにアサインされる
興味を持ったのは、2023年に変形スクラムで開発しているプロダクトにアサインされてからです。社内的にTechPdMという肩書きの「技術寄りPdM」というポジションでしたが、プロダクトに本質的に興味が持てず(プロダクトが微妙という話ではなく、私自身の人間の特性として興味が持てなかった)、途中からはスクラムマスターという役割に興味を持ち、スクラムマスターとしてのふるまいをしていました。前職でもアジャイル開発・スクラム自体を学習するタイミングはあったのですが、実際にやってみて勉強しがいのあるものだと思ったのはこのタイミングでした。
2. 本気で面白いので、社内コミュニティを作った
スクラムを調べたり、改めて書籍を読んでいると、「あれ、これガチでおもしろい!」という状態になり、学習効率を上げるには? を考えているとき、以下のスライドを発見しました。
転職したので社内にアジャイルコミュニティを作ったら、 思いの外楽しくなってきた〜!!
ちょうど会社に同好会という制度があり、このフォーマットに乗せると、ある程度予算も出ることがわかりました。同好会の要件を満たせるかはギャンブルでしたが、会員を募集したところ無事に最低人数は突破でき、会社公認の正式なコミュニティとして承認を得ることができました! 定期的なアウトプットの場を得ることで個人学習の効率と、参加メンバー間での情報共有が進みました。
3. 2024年チーム異動、社内アジャイルコーチ的な役割に…
2024年1月から新プロダクト開発のため、チームトポロジーに影響を受けた構成のチームができ、その中のイネイブリングチームのメンバーとして、チーム外のメンバーへのスクラム教育を担当することになりました。社内コミュニティでのノウハウの貯金はあったので、教育カリキュラム作成はほぼコミュニティで実施したワークショップの踏襲、拡張で乗り切っている感はあるのですが、知識的な貯金の残高が減っている感覚(これはメンバー側の求める知識量に教える側がついていけていない)があり、もっと勉強しないと…という気持ちになりました。
4. 認定スクラムマスター研修受講へ
資格の存在は前から認識はしていましたが、高額な資格なのでスルーしていました。しかし、現在の自分の状況だと学び直しが必須に思えたのと、資格という肩書きで説得力が強くなるかなと思えたので受講しようと思いました。
■何故、アトラクタのオンサイトの研修なのか?
サイトを見ていただくとわかりますが、アトラクタさんのオンサイト研修はスクラムマスター研修の中で比較的高めです。CSMは会社の取得推奨資格となりますが、報奨金をもらっても、マイナスになります。何故、アトラクタのオンサイト研修を受けようと思ったのかを記載しておきます。
(おそらく)日本最強の講師陣
メイン講師は原田騎郎さん、サブ講師は永瀬美穂さんです。アジャイル、スクラム関連の書籍を買うと高い確率で著者、翻訳者として名前があり、コミュニティでもよくお顔を拝見する方々です。その人達から教えてもらえる分、お値段が高くなるというところで納得はしていました。
実施する研修施設の環境
実施会場は箱根の研修施設を利用するのですが、 「アジャイルコーチとスクラムマスターの集い」と同様の会場でした。感想ブログなどでとても環境が良いという話は見ていたので、その環境で受ける研修も素晴らしいのでは? と思っていました。
■研修の内容(ネタバレしない程度)
以下のようなタイムテーブルで進みます。サイトからの転載です。
<1日目>
12:00 集合、チェックイン、昼食
13:00-18:00 研修
18:30-20:00 夕食
<2日目>
7:00-9:00 朝食
9:00-12:00 研修
12:00-13:00 昼食
13:00-18:00 研修
18:30-20:00 夕食
<3日目>
7:00-9:00 朝食
9:00-12:00 研修
12:00-13:00 昼食、チェックアウト
解散
※補足:1日目、3日目は座学とワークショップ、2日目はワークショップ中心でした。
■感想
以下は感想になります。
原田さん、永瀬さんの知識量が半端ではない
研修中、参加メンバーからのQ&Aが多く発生していましたが、回答のクオリティが高すぎて感心、圧倒されました。研修後の夕食時や朝食前に、原田さんとは3日間で計4〜5時間くらいお話しさせてもらったのですが、個人的なQ&Aはそのタイミングでさせていただきました。
ペーパープロトタイピングの学び
2日目はスマートフォンアプリのペーバープロトを作成してデモをして、フィードバックをもらうというワークショップでした。1日に2スプリントを実施しましたが、ペーパープロトでこれだけ良いフィードバックがもらえるのか! という学びがありました。1スプリント目のフィードバックから、2スプリント目はプロダクトビジョンを変更、スプリントへのPBI投入量を増やすということを試したのですが、スプリントゴールを達成し、良いフィードバックをもらうためPOが最終的にデモ対象のPBIを削った結果、2スプリント目も良いフィードバックを得られたのが印象深いです。
参加者の方のモチベーションの高さ
オンサイト実施ということと、研修自体にそれなりのお金がかかるためか、皆さん控えめに言っても、コミュニケーション能力が高く、主体性がある方が集まっているなと感じました。ワークで誰が実施するか? で時間が止まることがなかったです。2日目にスクラムマスター担当になったのですが、ふりかえりのファシリテーションをやったくらいで、ほぼ観察のみ、介入の必要性がありませんでした。
研修実施環境が良い
ライムリゾート箱根という施設で研修が行われたのですが、非常に良い環境でした。朝、昼、夕の食事、お酒が美味しいのと、浴場が温泉で疲れを癒すことができました。 お酒に関しては、原田さんが大量のクラフトビールを持ち込んでいてそれをいただいたりもしました。
アイスブレイクとハプニング
2日目の朝にアイスブレイクで、ちょっとしたワークを実施したのですが、固さがとれたのと、リソース効率とフロー効率を短い時間で理解できる有意義なものでした。そして、2日目のペーパープロト作成中に、ホンモノのアイスを使ったアイスブレイクというハプニングが発生し、仕事中に強制的に糖分を摂取する重要性に気づかされました(笑)。
スクラムの経験などの前提知識はある程度必要
アジャイル開発や、スクラム自体の説明はある程度ありますが、実体験を通して学びを得るのが主体でした。全くゼロの状態から研修を受けるのではなく、ある程度、実開発を通じてそれなりの理解がある状態で研修を受けた方が、学習効率は高いと思います。
※実際に参加者の皆さんは既に実務でスクラムを実践されている方、実践はしていないがスクラムチームのマネージャーでチームをサポートしている方が多かった印象です。
■持って帰って社内でやろうと思っていること
研修で学んだことで、社内でやろうと思っていることをシェアします。
※一緒に参加した同僚と共に考えたものになります。
PBIとタスクの調整
最近、デイリースクラムが上手くいっていないことでモヤモヤしていたのですが、PBIの切り方、タスクの粒度設定について良い方法を改めて知ることができたのでその辺りを試したいと思います。 具体的には以下のようなものです。
・自信がない時は、1つのPBIに集中する。
・PBIはあくまで完成品の単位で作成する。(モックアップの作成とかで作らない)
・タスクは1日に3つくらい消化できる粒度で作る。
タテ(Tシャツサイズ)×ヨコ(優先度)での見積もり、プランニング
ペーパープロトタイプのPBIは、スプリントボードのタテ方向でPBIの大きさ、ヨコ方向で優先度を管理していて、この方法がとても有効であると感じました。以下2点がとてもよかったです。
・単純に見やすい。
・立入禁止区域の設定で、どのPBIを分割すべきか把握しやすい。
オフラインでホワイトボードでやるのがとても良いですが、電子化を考えると、Miroのテンプレート作っておいてそれを利用するのが、社内利用ではベターかなと思っています。
スクラムガイドの読み合わせの継続的な実施
スクラムを会社で浸透させるのは? どうしよう? という話を参加者の方としていた時、皆さん主に2つのことを挙げていました。
・この研修の内容を社内でシェアする。
・スクラムガイドの読み合わせをしてみる。
社内での実施の実績はないことはありませんが、それを継続すること、実施する範囲を広げていくことが必要に思いました。
ペーパープロトタイピングの導入
研修を通じて、ユーザーのニーズがあるかどうか? を判断する手法として非常に有効に思いました。全てのプロダクトにハマるわけではないですが、やるべきタイミングでは実施すべきで、そのタイミングを観測したら実施提案をしていこうと思います。
スクラムチームへのサポート体制の構築
2024年1月から、2チームのスクラムチームが編成されていますが、スクラムマスターがチームの外へ働きかけをするためのサポート体制が弱いと感じることがあります。具体的には以下のような事象です。
・PC、その周辺機器など増強、設備投資の相談
・技術的な支援をチーム外へ求めたい
・書籍購入のための支援制度を変更、新設したい
スクラムマスターが上記のような事柄の働きかけをするためのガイドライン、ルール整備が必要に思われました。
アジャイル開発・スクラムの推進予算の確保
これは妄想になりますが、バックログの一番優先度低で、難易度高でこのPBIを積みました。 アジャイル・スクラム推進のための予算確保をして、開発組織以外もアジャイルになるように支援、サポートできたら最高だよねという話をしました。
■CSM試験合格しました
後日受けた試験で、無事合格しました。
レポートは以上となります。
CSMは無事に取得できたので、来年以降になりそうですが、上位資格であるA-CSMの取得も検討していきたいです。
※ちなみに、A-CSMも資格取得支援の対象になっています。
《お知らせ》
インフォマートでは、ともに開発するメンバーを募集しています。
ご興味のある方は、ぜひ採用サイトをご覧ください。
たくさんのご応募をお待ちしております!