見出し画像

デザイナーがアジャイル開発で剛腕をふるうには?

インフォマートの開発部門で様々なサービスの開発や改修を担う社員たちが、時に技術力の向上のために、時に自らの楽しみのために、開発界隈で話題の○○を体験し、レポートするリレー企画です。
今回は、プロダクト統括部 中井がレポートを担当します。


◾️はじめに

こんにちは、プロダクト統括部の中井です。私は業務としてUXを中心に、DesignOpsに取り組んでいます。これからのデザイナーはアジャイルであるべきだという確信を持ち、先日認定スクラムマスターを取得しました。そして、当社のアジャイル同好会に所属し、日々アジャイル仲間とともに様々な知見を交換しています。

■アジャイル開発にデザイナーはいらない説

アジャイル開発にはデザイナーはいらないかも、という話をよく聞きますが、半分は正解だけど半分は不正解かなと思います。そもそも正解も不正解もなく「自分らで考えろ」がアジャイルに則った姿勢なので、チームの中で答えを出しなさい、ということになります。

ただ、スクラムの3本柱である「透明性」「検査」「適応」というのは、デザイン思考と完全に一致します。デザイン思考はデザイナーだけのものではありませんが、そもそもミドルクラス以上のデザイナーは「透明性」=中間成果物・プロトタイプを提示すること、「検査」=リサーチして成果を計測すること、「適応」=リサーチした内容からreデザインすること、を自然に行っているはずです。この思考をプロセス全体に応用することになるので、デザイナーはアジャイル現場になじめるはずだと思います。

本稿では、デザイナーがアジャイルの現場においてどんな活躍の場があるのか、ということを、ウォーターフォールとアジャイルのハイブリッドな現場を想定して書いていこうと思います。

■探索者と提供者

最近、市民権を得ているフレームワークは、ディスカバリーとデリバリーをある程度明確に分けて、全体的にはウォーターフォールながら、それぞれの中でアジャイルを取り入れるスタイルだと思います。これはLeanUX(Jeff Gothelf、Josh Seiden)でいうデュアルトラックであり、ダブルダイヤモンドモデル(designcouncil.org.uk)にも通じるものがあります。このアプローチにより、組織構造を保ちながらアジャイル的なプロダクト開発が可能になります。

当社では、Mobius Loop(Gabrielle Benefield)というフレームワークを採用しています。従来型の縦組織構造のメリットを活かしつつ、アジャイル的なモノづくりに挑戦しやすいという利点があります。具体的には、課題設定、仮説検証、アイデア発散、プロトタイプに集約するというディスカバリーフェーズでデザイナーの存在価値が見出せます。

参考:Gabrielle Benefield氏が提唱する「Mobius Loop」

■混ぜるな危険 VS メディチ効果

LeanUXの考え方では、スプリントにディスカバリーを入れるべきだとされていますが、これは非常に成熟したスクラムチームでないと難しいと思います。ディスカバリーとデリバリーには利益相反があり、組織構造が縦割りだと「混ぜるな危険」ということになります。

参考:「Lean UX」の基本概念や実践方法についての解説動画

ただ、アジャイルの場合は個人との対話をより重視するため、相反するものが融合すると画期的な変化が生まれることもあります(メディチ・エフェクト)。理想的には、POチームと開発チームが同じ釜の飯を食べ、一緒に学んでいく姿が望ましいのです。この姿を目指すことを忘れてはいけないと思います。

■デザイナーの役割とアジャイル開発

ここまでの前提を踏まえると、デザイナーがアジャイル開発の中にいたほうが良いのかどうかは、定義によって決まるということになります。アジャイル開発をディスカバリー+デリバリーと捉えるのであれば、デザイナーは必要であり最重要な存在になりますが、アジャイル開発をデリバリーと捉えるのであれば不要になってきます。

ただ、デリバリー側のアジャイル開発の中にも、デザイナーは常駐したほうが良いと思います。デザイナーが提示したデザインシステムとワイヤーフレームを忠実に実装できたとしても、スプリントレビュー前夜には検査をする必要があります。動くものになってからでないとわからない部分があるからです。

デザイナーが思う存分力を発揮するのは当然ディスカバリー側ですが、ユーザーストーリーに基づいてワイヤーフレームを描くことだけがデザイナーの役割ではありません。優れたデザイナーは常に「なぜ?」を問い続けており、これはPOの最大の役割でもあります。つまり、デザイナーはPOのすぐ横で様々なことをやらなければなりません。そして、なにをすべきかはデザイナー自身が考えることになります。

ということで、デザイナーがアジャイル開発の中にいたほうが良いのかどうかは、定義によって決まるということになります。

■プロダクトデザイナーは「POを支援する者」也

POは単独で何かを行うこともありますが、Whyを作ったり掘り下げたりするにはチームで行う必要があります。ディスカバリーチームはPOチームと同義だと考えられます。デザイナーはディスカバリーの最終成果物であるワイヤーフレーム(WF)を作りますが、このWFにはプロダクトゴール、顧客成果、ビジネス成果、仮説などのあらゆる要素が含まれています。デザイナーはこれらの整合性を取り、そのための検証を行わなければ気が済みません。

無理やり結論づけるのであれば、アジャイル開発におけるデザイナーの役割やマインドセットはこうあるべきだと考えます。

・まず業務を徹底的に理解しましょう
・仮説検証をリードしましょう
・ユーザーの成果に誰よりもこだわりましょう
・ワイヤーを描くだけではプロダクトデザイナーとはいえません
・POを支援しましょう。何を支援するって? 自分で考えなさい
・デザインシステムのメンテを怠ってはなりません
・ユーザーと直接対話することをめんどくさがってはなりません
・デザインカンプなどに時間をかけてはなりません
・インクリメントにも強い関心をもちましょう。そのために、浅くていいからデリバリーに足をつっこみましょう
・アジャイルをもっと深く勉強して理解しましょう

そして私自身についてですが、ディスカバリーとデリバリーの両者をうまくつなぎ、お互いの共通認識を強化し、学習できるような仕組みや環境づくりをしていきたいと思っています。マネジメントではなく、コラボレーションを推進する立場としてです。

■PR:アジャイル同好会でボクと握手!

アジャイルはみんなでやるもの! インフォマートには「アジャイル同好会」というクラブがあります。エンジニアだけでなく、いろんな人が集まっていろんな知見を教え合い、自分の業務や自分のチームに適用しています。といっても、ひたすら真面目にアジャイルについて勉強しているわけではなく、日々の悩みや学んだことを話し合ったり、たわいもない雑談をしていたりと、自由な雰囲気で無理せず参加していただけます。

楽しく、勇気をもって不確実性に挑戦して日々学ぶというアジャイル文化づくりに、ぜひ参加してみてください!


《お知らせ》
インフォマートでは、ともに開発するメンバーを募集しています。
ご興味のある方は、ぜひ採用サイトをご覧ください。
たくさんのご応募をお待ちしております!


いいなと思ったら応援しよう!