醒めた場所から熱狂的に祈れ4

狂気のオルタナティヴ・ミュージック

80年5月18日、ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリスト、イアン・カーティスが首つり自殺をして23歳の生を閉じた。その夜俺はひとりの友人とジョイ・ディヴィジョンのアルバムを何度も何度もかけながら、1年前のロンドンでバズコックスの前座に出演した彼らの、闇を払いのけようとしながらさらに深い漆黒の闇の中に入り込んで行くかのようなステージのことを思い返していた。
ジョイ・ディヴィジョンというアンダーグラウンド・バンドのヴォーカリストの死を借りて、ここで俺は別にロック・ミュージシャンの死や自殺という行為そのものについて語るつもりはない。ただジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストの死と彼らの音楽に表わされている屈折した陰鬱感そのものが、その背後にいる無数のアンダーグラウンド・ミュージシャン達の精神の相剋を物語っているように、思えたのである。

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