僕の愛するロッカー達11
イアン・デュリーの“生への情熱”
大阪へと向かう新幹線の中で、俺はこのイアン・デュリーの新作『ラーフター』のテープを、買ったばかりのプレス・マンで聴いている。ついさっきまで聴いていたのはクラッシュの3枚組の新作『サンディニスタ』のテープだった。そして思ったのは今ロックはものすごい速度でその国籍やジャンルを超えようとしているな・・・・・・ということだ。イアン・デュリーの方はファンクやジャズ色をさらに押し進め、かたやクラッシュはレゲエからダブを大胆に導入している。ゲスト・ミュージシャンとして、イアンの方には名うての黒人前衛ジャズ・マン、ドン・チェリーが、クラッシュの方にはジャマイカのレゲエ・シンガー、マイキー・ドレッドが参加し、それぞれ大きな役割を演じているというのも全くの偶然ではないだろう。一見して唐突と思えるこのイアン・デュリーとクラッシュの対比もそれなりの共通項を持っている。すなわちクラッシュの新作『サンディニスタ』には、ゲスト・ミュージシャンとして、デュリーのバックバンド=ブロックヘッズのミッキー・ギャラガー(キーボード)、ノーマン・ワット・ロイ(ベース)、ディヴィー・ペイン(サックス)の3人が参加しており、ちょっと前まではデュリーとクラッシュは同じマネージメントに所属していたのだ。
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