キリンとnoteで開催した、「#ここで飲むしあわせ」投稿コンテストの審査結果を発表します!
2021年11月27日から約1ヶ月の間、お酒を飲んで “しあわせ” を感じた場所について語る「#ここで飲むしあわせ」投稿コンテスト。期間中(11/27-12/27)には、2,019件もの作品をご応募いただきました!読むひともしあわせな気持ちになる素晴らしい作品を投稿いただき、ありがとうございます。
noteでの応募作品一覧は、こちらをご覧ください。
審査会にて、審査員である林伸次さん・夢眠ねむさん・嘉島唯さんの3名と、キリン編集部による選考の結果、下記のように受賞者が決定いたしました。
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審査員特別賞(林伸次さん賞)
■二十歳の私を保管しているBAR
接客やウイスキーの味をはじめ、さまざまなことを学んだBARでのアルバイト。「二十歳の頃に感じた全てがそのお店に詰まっている」と振り返る、くるみの日々酒radioさんの作品が、ご自身もバーを経営している林伸次さんの審査員特別賞に選ばれました。BARで学んだことだけでなく、マスターとのすてきな関係や現在の自分へのつながりなど、多角的な視点からの描写も受賞のポイントとなりました。
今って、いろんなことに対して、カジュアルでこだわりがないのがかっこいいという風潮がある気がします。でも、お酒って麦やブドウといった農産物から作られた嗜好品なので、こだわったほうがおいしいと思うんですよね。こういうのって、作品に出てくるマスターみたいな、先輩が教えてあげたほうがいいんじゃないかなってぼくは思います。
くるみの日々酒radioさんの記憶からは、お酒の原料への敬意みたいなものも感じました。そんなところも、飲食店側の人間としてはうれしかったりもします。(林伸次さん)
審査員特別賞(夢眠ねむさん賞)
■28歳
"何者でもなかった"28歳のころに、親友Kとはじめて入ったBARでの体験と、それによって自分たちにおきた変化をつづった山羊メイルさんの作品が、夢眠ねむさんの審査員特別賞に選ばれました。2人が少しずつ大人になっていくさまが、爽やかに描かれています。文章力の高さもさることながら予想外ともいえる最後のシーンも効果的で、読後感のよさも高評価となりました。
少し背伸びをして、その場所に合わせたお洋服を着て、ドキドキしながらカクテルを嗜む……素敵な場所にふさわしい自分になっていく過程と、大人の手本のようなマスターの心遣いに惹かれます。お酒とおつまみの描写、おちゃめな2人、おセンチな読後感!どれをとっても素晴らしかったです。(夢眠ねむさん)
審査員特別賞(嘉島唯さん賞)
■闇の中の光
社会人になって新しい町で暮らし始めた、HOKUTO 9×9さん。仕事とともにお酒の飲み方を教えてくれた上司のTさんとのエピソードをつづった作品が、嘉島唯さんの審査員特別賞に選ばれました。新生活の不安や孤独とTさんのあたたかさの対比が魅力的に描かれており、審査会でも「共感できる人も多いのでは」という声が多く出ました。
孤独の中にいる人が書いた文章が好きです。「闇の中の光」は、社会人になりたての筆者が上司とお酒を通して人との関わりを持っていく話。「お酒の中に深く広がる世界が、飲み物を越えた、何か人の社会に広がる光と闇、全てを受容するようなものがあるかのように感じていた」という表現が印象に残りました。社会に出ると、不安や寂しさに押しつぶされそうになることもありますが、お酒にそういう孤独を癒やし、人を結びつけてくれる力があると再認しました。わたし以外にも共感する人が多いんじゃないかと思い、選ばせていただきました。(嘉島唯さん)
キリン特別賞
■ウェルカム トゥー 居酒屋
行きつけの居酒屋に入ってきたお父さんと息子。居酒屋には珍しい組み合わせに興味を持っていると、はじめは不安そうだった中学生の息子が、父親の違った一面を知ったりマスターとのやりとりで少しずつ心をひらいていく…。居酒屋で起きたすてきなワンシーンについて、M.Iさんのあたたかい目線で描かれた作品が、キリン特別賞に選ばれました。
■広島のお好み焼き屋で大阪弁の天使に出会った話
広島のお好み焼きを食べに関西からやってきた、小野 ぽのこさんご夫婦。お店で隣に座った”イカツイおじさん”との「砂浜で美しい色の貝殻を拾い集めるような、幸せなやりとり」をつづった作品が、キリン特別賞に選ばれました。テンポのよい会話の描写ともに、読み応えもある作品でした。
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各審査員からの総評
■林伸次さん
コロナ禍で多くの飲食店が閉店してしまったり、時間短縮営業を余儀なくされているのはご存知かと思います。以前から、忘年会離れやお酒離れが言われていましたし、今回のコロナでそれが加速したように思います。それでも今回投稿されたたくさんの作品を読んでいると、「ああ、やっぱり飲食店ってみんなの心にしっかりと刻み込まれているんだ。まだまだ必要とされているんだ」と安心しました。
どんな時代になっても僕たちは、盃を、グラスを「カチン」と合わせて、「おめでとう」とかって言いたくなるんですよね。たくさんの思い出に乾杯!
■夢眠ねむさん
コロナウイルス拡大のため、以前のように自由にお店では飲めなくなってしまった2020年。作品としても印象的だったのは「思い出の中のお酒がある風景」でした。1人で飲むお酒も美味しいけれど、みんなで飲むお酒に恋焦がれた1年間だったのもありどれもじんわり沁みました。
早く、堂々と、皆様がキンキンに冷えた生ビールをお店で飲めますように!
■嘉島唯さん
心温まるお話が多く、読んでいて「ああ、また誰かとお酒を飲みたいな」と懐かしい気持ちになるコンテストでした。お酒には「アルコール飲料」以上の力があると感じさせてもらえる文章が多く、心温まりました。一点気になったのは、ブログ文法の名残なのか、改行が目立つ文章が散見されたこと。改行が多すぎるとブツブツした印象になってしまい、内容が霞んでしまいます。勇気を持ってちょっと長い段落にしてみるとプロっぽく見えるかもしれません。
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すでに投稿期間は終了しましたが、あなたにとって、飲むときにしあわせを感じるシーンについて、思いを馳せるきっかけになれればと思います。
他の投稿作品についても、以下URLよりぜひご覧ください。
コンテストを振り返って(キリン)
以下、キリン note編集部からのコメントです。
この結果発表を行う頃には、「ここ」が街中に戻ってくるものと思っておりましたが、まだまだ落ち着く気配がありません。正直言えばとてももどかしい気持ちでいっぱいです。それでも、改めて集まった2,000件強の「ここ」を眺めると、やはり私たちにとってなくてはならないものだと勇気づけられもします。少し背伸びして「大人の階段」を登り、出会うはずのない人との忘れられないやりとりが生まれ、いつかの大切な思い出が閉じ込められている「ここ」。状況が落ち着いたらぜひ「ここ」で乾杯しましょう。多くの作品をありがとうございました。