TBS NEWS×note「#マンガで報道局 投稿コンテスト」結果発表!
3月15日まで開催していたTBS NEWS×note「#マンガで報道局 投稿コンテスト」では、141名、511作品をご応募いただきました。たくさんの素晴らしい作品を投稿いただき、ありがとうございました。noteでの応募作品一覧は、こちらをご覧ください。
「#マンガで報道局」の審査の模様は、CS放送「TBSニュースバード」で3月30日の午後9時から放送されます。(再放送は31日の午後3時~)こちらも是非ご覧ください。
審査員による選考の結果、下記のように受賞作品が決定いたしました。
【グランプリ】
ぬっきぃさん/地方(群馬)に住んで見えたもの
【準グランプリ】
tuzyさん/裁量労働2
【審査員特別賞(荻上チキ)】
けそ@ほめられ屋さん/不笑運動
選評:僕は評論家なので、事実を伝える「報道」とはまた別に、「態度」「意見」の作られ方を重視します。特に人権に関わる問題について「嘲笑する」「冷笑する」ような態度、あるいは「侮蔑」「差別」するような意見については敏感でありたいと自戒しています。
この作品は、「受け手」の側がどうリアクションするかで社会が変わりうることを前提に、自分がどのような振る舞いをするべきかを問いかけるものであり、「あるある」とも頷きたくなる日常描写でもありました。短いコマ数でそんな心理を切り取った作品の力に共鳴したため、個人賞として選びました。(荻上チキ)
【審査員特別賞(中村珍)】
間戸ゆきさん/忘却のごみ問題
選評:あれほど習ったゴミ問題…すっかり忘れていたし、なんなら「最近聞かないから大体解決したのかな」と感じていた気までしてきました。
オモシロイ読書体験を求めて読むと耳が痛いし疲れる話題の本作ですが、#マンガで報道局を体現する”マンガ報道"だと思います。
「報じられるまで、忘れてた」「報じられるまで、気付かなかった」(…時に、「考えるの面倒だから、できればこのニュースと今出くわしたくなかった」)という読後感は、まさに《報道》に触れた時のものでした。(中村珍)
【審査員特別賞(プチ鹿島)】
つのだ ふむさん/「彼女のスマホの予測変換」
選評:私なりの社会をうつすマンガ作品の定義とは「描かれた側も思わず苦笑いしてしまう」です。言葉や文字にするとキツくなってしまう事柄もマンガならニヤッとしてしまう。軽妙だけど切れ味が鋭い。そういう作風が好きです。これは時事ネタの定義としても同じだと考えていますので、自分の芸風としての目標でもあります。(プチ鹿島)
【審査員特別賞(柿内 芳文)】
とのさん/育児と仕事は両立できるのか?
選評:マンガのいいところは、やはり「主人公」がいることだと思います。主人公の存在を通して、物語をまるで自分が経験したかのように味わうことができる。主人公と同じ汗を、手ににぎることができる。そういったマンガの特性を最大限に活かし、一見すべて〝たにんごと〟にみえてしまうような世の中のニュースを、「オレの問題だ!」「わたしのことかもしれない!?」と読者の〝じぶんごと〟に転換しているところを、高く評価したいと思いました。育児と仕事の両立なんて、やっぱり絵空ごとですよね!(柿内芳文)
【審査員特別賞(深津 貴之)】
むぴーさん/生まれる前と生まれたあと
選評:子供が生まれる前と生まれた後の、夫婦生活の変化を描いた作品である。生活の変化をビフォーアフターの退避として、連作でシンプルだがよく表現している。スマートフォンで作品を表示をしたときの、リズムの感がよい。新しい時代のための漫画表現の模索として、評価をしたいための選定となった。拡張のしやすいフォーマットなので、さらに作品を貯めていけばどんどんと魅力的になるのではないかと思います。(深津貴之)
【佳作】
四方井ぬいさん/いんたーねっとりてらしー
芦之由さん/ムスメ、お年玉を握りしめアニオタ女子の聖地・池袋へ # 昨日のハイライト
あまいろさん/出会えない人びと
owenoさん/【漫画】愛のメッセージが書かれた運転免許証を持つ女の子に敬意を込めて
かねきょ(漫画・イラスト)さん/【我が家】えらい仕事
千田純生さん/死にたいの?
そごうさん/共働きと娘の病気とお金の話
SoNoさん/ショートショート⑤:生涯現役
sk234354さん/テスト返しの一件
【総評】
短い期間でのコンテストにもかかわらず、さまざまなタッチ、多様な視点からの作品が集まりました。
漫画と報道の関係は、政治風刺だけではありません。ある人にとっては些細な日常でも、別の人にとっては社会問題当事者のドキュメンタリーになります。社会的にインパクトの大きな出来事でも、受け止め方は人それぞれです。漫画ならではの切り取り方で、共感や提起を行うような表現の可能性を改めて確認させられました。
いま、漫画でルポルタージュを描く作品、光の当たりにくかった分野をとりあげる作品、当事者が自伝的に描く作品など、良質な作品が増えています。SNSで発表され、シェアされることによって議論が広がるような漫画も少なくありません。扇情的ではない仕方で、問題提起するような作品に触れる機会が増えれば嬉しく思います。(荻上チキ)
# をつけてカチッと投稿するマンガ賞、さすが凄い数の投稿でした!脱稿お疲れ様でした。
イジワルを言うと「人に情報を届けるためじゃなくて自分の気持ちを聞かせるために描いたのかな?エッセイじゃなくて報道コンテストだよ?!」と感じる原稿が圧倒的に多かったですが、良かったのは「個人的な小さな話を報道とは呼ばんのだ〜!」みたいなカタい思い込みを打破するパワーを持ったマンガ賞になったことで、短所と長所が表裏一体の難しい選考会でした。
小さなニュースも時代を表す大切な記録です。だから募集対象に"日常的な些細な出来事"も含まれていたんじゃないでしょうか。マンガ賞なので当選・落選に分けられてしまいますが、当落問わず皆さんの描いた原稿はすべて私たちに報道されて、今はもう私たちの知っているニュースになりました。
次回があっても過去の作品を読んで受賞対策を立てたりせず、伝えたいニュースを届けてくださいね。それが報道だと思います。(中村珍)
今回のコンテスト、とても面白かったです。私は子供のころに歯医者さんも待合室に置かれていた「よりぬきサザエさん」や、父親が買ってきた週刊誌に載っていた「山藤章二ブラックアングル」を読んで時事ネタが好きになりました。マンガだからこそ一瞬で伝わる凄み。コンテストはあらためてマンガのパワー、もっと言えばエンタメの力を再認識しました。ついつい読みふけってしまいましたが、もしかしたら「読んだ後」が大切なのかもしれません。いろんな角度から社会にふれさせてもらってありがとうございました。(プチ鹿島)
審査のお話をいただいた当初は、マンガとニュースがいったいどう結びつくんだ!?と正直少しいぶかっていましたが、いざ審査を始めてみると、マンガという表現方法を使うからこそ端的に描ける「視点」や「気づき」ばかりで、これほど相性の良い組み合わせもないのかもしれない、と考えを改めさせてくれるコンテストでした。
受賞作の一覧を見ればわかるように、実はテレビの中ではなく日常生活の中にこそ、ニュースはあります。その感覚を鍛えて、また次回のコンテストがあったら応募してきてほしいですね。絵のうまいへたは全く関係ありません。毎日のほんの些細な出来事をあなた自身はどう捉えたか、その個性がニュースになるのだと思います。(柿内芳文)
予想以上に様々なテーマ、表現が集まって驚きました。今回はコンテストのテーマが、「報道・時事ネタへの批評性」という縛りでした。それゆえに力作・良作であっても、カテゴリミスマッチになった作品がいくつもあり、もったいなかったことも印象的です。落選した作品が、必ずしも力不足というわけではないため、他のタイミング、テーマであれば受賞できたものもあったと思います。
全体としては、説明的になりすぎるものよりも、一発で伝わるものが高く評価されました。(深津貴之)
何よりもまず、「#マンガで報道局」というコンテストに作品を応募して下さった皆様と、作品をご覧頂いた方々に感謝致します。大変ありがとうございました。
佳作に選ばれた「【我が家】えらい仕事」という作品から、私は「ニュースも同じだな」と感じました。テレビ等、マスコミが報道するニュースも、マンガで投稿された生活者視点のニュースも同じくらい・・・いやむしろ「余白を考える」という点では、マンガの方が社会課題の解決につながる場合もあるのではと感じました。予想以上の反響があったので「次回」も前向きに検討してみたいと思います。(池田誠)
「#マンガで報道局」の審査の模様は、CS放送「TBSニュースバード」で3月30日の午後9時から放送されます。(再放送は31日の午後3時~)こちらも是非ご覧ください。
【本コンテストの開催に寄せて】
とても面白い試みかも、そう思ったのがお話を聞いた時に最初に抱いた感想でした。募集期間中は「どんな作品が届いているかな?」と思って、noteで皆様の投稿を検索して拝読しつつ楽しませてもらっていましたが、「#マンガで報道局」コンテストの審査会に参加した際には応募数の多さに驚かされました。どの作品も自分の目線でニュースが語られており、画風や言い回しから個性が伝わってくるものばかり。審査員の皆様も真剣にそして熱く議論されていました。
私個人の印象として、今回の趣旨である「着眼点の面白さ(当事者性や批評性など)」と「社会問題の提起につながるか(啓発性や読後感)」を踏まえて描かれているかどうかが最終的な審査結果に大きく繋がっていた気がします。また、その他の基準として、マンガで描く意味が伝わってくるか、パッと一目で何が描かれているか理解できるか、追体験ができる内容か、気付きを与えてくれたり考えさせてくれる内容か、などが審査のポイントになっていたように思えました。私自身は、大筋はわかりやすく描かれていて、さらによく読んで考えると別の意味も潜んでいる、そんな作風に惹かれるのですが、そういった投稿作品も見受けられて嬉しかったです。
今回のこの企画を通すことで、表現することの楽しさや伝えることの難しさ、そして報道の意味などを、描き手も読み手も楽しみながら考える一つのきっかけになったように思えます。日々起こる出来事をただテレビやネットを通して受信するだけでなく、それに対して何故それが起こったのか、解決方法はあるのか、自分ならどうするかなどを分析して解を出す、私にはそれはとても重要なことに思えるのです。そして、こういったコンテストの場から多くのクリエイターが活躍するきっかけになれば、ここからどんどん表現も進化し、報道の新しい形が生まれていく気がしました。そうなることを夢見つつ、こういった新しい企画に関われたことを、私自身も感謝しております。(糸曽賢志)
糸曽賢志 プロフィール
映像監督、大阪成蹊大学 造形芸術学科長・教授。スタジオジブリの宮崎駿監督に師事後、実写アニメ中心にジャンルを問わず作品を発表。「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム」のイラスト、劇場アニメ「夢みる機械」の演出、「SMAPコンサートツアー」映像の監督、劇場版「進撃の巨人」のプロデューサー、劇場アニメ「サンタ・カンパニー」の総監督、フィンランド大使館公式キャラクター「フィンたん」のデザインなど手がけている。クラウドファンディング活用した作品製作に造詣が深く、累計調達金額は8億円以上。
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