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Photo by
sabamiso_k11
なるようになれ
友のために身を削らない。
目標に向かって努力しない。
勝つことに気力を割かない。
三週間にわたって友情・努力・勝利について考えてきた。いろいろ理屈をこねたが、すべての根底にあるのはたった一つの単純でわかりやすい理念である。
頑張らなくていい。
友情・努力・勝利の物語はおしなべて主人公が頑張っている。頑張る過程において苦労は美化あるいは簡略化され、その何倍もの見返りが輝かしい成功として肯定的に描かれる。娯楽なのだからそれでいい。
現実は甘くない。実際の成功にはそれ相応の代償やリスクが伴う。漫画のようにはいかない。
だから頑張るなと結論するのも違うと思う。
頑張ってもいい。それ相応ということは対価に見合っているということだ。現実は甘くないが、言うほど辛くもない。覚悟さえあれば頑張る価値は十分にある。
ただ、それでも僕は頑張らないほうを選択する。為せば成る未来ではなく、成るように成る未来に魅力を感じる。普通はどうにもならないときの慰めや気休めで「なるようになる」と言うものだが、僕は積極的にそれを求めている。
自ら望んだのではなく、誰かの意思でそうなったのでもない。ただ、自然に生まれて形を変えながら、やがて消えていくあの雲のように生きたい。