風邪の日の悪夢【ゴリラ】
数日前から久しぶりの風邪を引いている。
薬を飲んでよく眠り消化の良いものを食べ、養生に努めているが、なかなか治りづらく苦しんでいる。
しかも、ゆっくり休みをとり寝ていても、やっぱり夢を見てしまう。特に高熱が出ている時はサイケな夢を見がちだ。
そして今日の夢はすごかった。
何の仕事なのか分からないが、仕事を依頼された私はある場所の下見をすることになった。その建物(マンション)内の汚れ具合や散らかり具合を下見してほしいらしい。
ただし、そこには特大の檻があって、そこでどデカいゴリラを飼っているので、檻には近づかないよう注意してほしいとのことなのだ。
マンションの入口に到着したら、担当者の方が建物入口のドアの鍵を鍵束の中からゴチャゴチャ探しながら開けてくれる。
さっそく一人で入ってみるが、ドアを開けるとリビングのような広々とした空間が広がっている。
でも何もない。カーペットとソファくらいで綺麗なものである。
閉まったドアの向こう側から、「あれ?間違えた?」と呟く担当者の方の声が聞こえた。確かにこの綺麗さで、汚れを調べる意味は無さそうだが。
部屋の奥に階段がある造りなので、一応上っていく。
なんだか変だ。
階段のそこらに藁屑のようなものが落ちていてなんだか汚い。
潰れてシナシナになったサッカーボールや割れた三角コーンが脈絡もなく置いてある。
りんごの芯もある。
ていうかバナナの皮もある。
これって……もしや…と視線を上に上げた瞬間、階段の踊り場からこちらの様子を伺うゴリラと目が合った。
私は間違えてゴリラの檻のほうに入れられていたのだ。
ゴリラは着替えを見られてしまった時みたいにキャッ!と飛び上がり、恥ずかしそうに身を捩って踊り場の隅に縮こまったあと(だから多分メスゴリラ)、次の瞬間には戦う覚悟が決まったのか(カッコいい)侵入者の私に対して猛烈なドラミングをしながら近寄ってきた。
「ゴリラの学名はゴリラ ゴリラ」という、昔「トリビアの泉」で見た豆知識に加えて、「ゴリラの握力は500kg」という豆知識も走馬灯のようによぎる。
私は慌てて踵を返して階段を走り下り、リビングを走り抜けてその家から飛び出していた。
どうしてゴリラのクセにメゾネットタイプの檻に住んでるんですか?!と担当者さんを問い詰めようとするところで目が覚めた。
体調はやや悪化していた。
今日のBGM
密林の王者 - KBD