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「星月夜あとからあとから名なき星」ほか自作俳句(『松の花』2020年11月号掲載+α)
「松の花集」掲載5句(8月末投稿分)
滝に跳ぶ鱒の一匹また一匹
星月夜あとからあとから名なき星
見えぬをば見に来る霧の摩周かな
旅はあと三日とんぼを見つけ初む
砂熱し浜の撫子紅濃ゆし
こんなご時勢だからこそ、北海道旅行の思い出を詠んだ5句です。上から、
・さくらの滝
・ニセコ
・摩周湖
・富良野
・はまなすの丘公演(あそびーち石狩)
です。
優秀句として選んでいただいたのは「星月夜あとからあとから名なき星」ですが、個人的に、1番思い入れのある句は、「さくらの滝」を詠んだ〈滝に跳ぶ鱒の一匹また一匹〉です。
ここで見たサクラマスのジャンプは、京都芸術大学大学院の課題レポート(自分が美しいと感じたものを色鉛筆もしくは水彩で描く)で描きました。
レポートに添えた小文・俳句とともに。
北海道斜里郡清里町に「さくらの滝」と呼ばれるスポットがある。7月になると、ここにはヤマメが戻ってくる。海で成長して産卵しに帰ってきた彼らはサクラマスと呼ばれる。せっせと遡上するサクラマスは、ここで試練に出くわすわけである。落差はおよそ3メートルで、滝というより段差だが、体長約40〜50cmのサクラマスからすれば、巨大な壁のように見えるだろう。しかも絶えず勢いよく水が流れてくる。その激しさは泡や水飛沫から十二分にうかがえる。しかし、彼らは跳ぶ。手前に奥に、次々と跳ぶ。私たちは1分間に数十のジャンプを見ることなる。直線的に跳ぶ者もいれば、カーブを描き、空中でジタバタする者もいる。多くは流れにはね返されるが、皆めげずに跳び続け、銀色の体をきらめかせる。7月といえど、北海道の気候は初夏。新緑の多様なみどりに囲まれた、小さな命の現場である。
石走(いはばし)る垂水(たるみ)とび越せ小(ち)さき鱒
滝へ跳ぶ鱒の一匹また一匹
昨日の夕立湛え滝轟轟
命とは抗ふことや滝の鱒
その意志の我に宿るぞ昇り鱒
さて、松の花集の投稿用紙に書いたうち、誌面に載る5句に掲載されなかった分で、以下の句があります。
ラベンダー一面植ゑし人のあり(富良野)
木道の一枚新た草の香(釧路湿原)
松の花「薫風集」掲載3句
今朝の秋テナント空きの増えてをり
つつがなしやこちらは稲の花ぞ咲く
換気せる教室に蝉襲来す
上に同じく記入したうち、掲載3句から漏れたのが以下の句です。
観劇も極秘任務か八月尽
この句を書いたのは八月尽=8月末ですが、あいにく、3ヶ月以上経ってもなお、なかなか思うようにならない日々が続きますね……
もし気に入った句などがありましたら、お気軽にお知らせください!^ ^
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