■ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード
■Doctor Strange: The Way of the Weird
■Writer: Jason Aaron
■Penciler: Chris Bachalo
■翻訳・監修: idsam
■カラー/ハードカバー/1,999円 ■ASIN: B09WHKPMSK
「マーベル グラフィックノベル・コレクション」6号目は、2015年創刊の『ドクター・ストレンジ(vol.4)』の第1巻目を収録(なお、日本版「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では続刊の予定はなし)。収録作品は、『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#1-5(12/2015-4/2016)。
この第1巻は、2016年にもヴィレッジブックスから刊行されていた(こちらも続刊はなし)。「マーベル グラフィックノベル・コレクション」の訳者は、割と言葉遣いが独特なので、既に邦訳済みの作品は、読み比べてみるのも面白いだろう(面白かった、とても)。
本作は当時気鋭の作家、ジェイソン・アーロンをライターに迎えた新シリーズの第1巻目ということで、新キャラクター、ゼルマ・スタントンや、地球上の魔術師たちの集う「扉のない酒場」、そして謎の敵エンピリクルに、「魔術を行使するには代償を払わねばならない」といった新設定の提示と、諸々の登場人物・設定の導入から始まっている。
で、エンピリクル対ドクター・ストレンジ(&地球の魔術師連合)の戦いは、第2巻『ザ・ラストディ・オブ・マジック』の方で本格的に展開される。
こちらの収録作品は、『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#6-10(5-10/2016)と、特別号『ドクター・ストレンジ:ラストデイズ・オブ・マジック』#1(6/2016、時系列的には#6と#7の間に挟まる話)。
エンピリクルによる地球の魔術の殲滅作戦が勃発。初戦でエンピリクルの首領インペレーターに敗れたドクター・ストレンジは、他の魔術師らと共に地球上に残された魔術の残滓を回収し、捲土重来を期す。
なお、この第2巻で、エンピリクルとストレンジらとの魔術大戦に決着がつく(第1巻で言及されていた、ドクター・ストレンジの邸宅の「地下」に秘匿されていた存在が勝利のカギとなる)。
で、物語の方は、第3巻『ブラッド・イン・ザ・エーテル』に続く。こちらの収録作品は『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#11-16(11/2016-3/2017)。
「ラストデイズ・オブ・マジック」によって、地球上の魔術は様変わりし、魔術を行使するための法則自体も変化してしまう。ドクター・ストレンジは、この新たな環境においてもソーサラー・スプリームとしての活動を継続すべく奮闘するが、その彼の苦労をあざ笑うかのように、前巻に登場したミスター・ミザリーや、バロン・モルドといった敵たちが日替わりで現れ、ドクターを疲弊させる。
続くエピソードが、こちらの第4巻、『ミスター・ミザリー』。収録作品は『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#17-20(11/2016-3/2017)と、増刊号『ドクター・ストレンジ』アニュアル#1(11/2016、時系列的には#10と#11の間の話)。
タイトル通り、アーロン期を通じての仇敵である、ミスター・ミザリーとドクター・ストレンジとの決着が描かれる。新ソー(ジェーン・フォスター)もゲスト出演。なお、ミザリーとの戦いは#19で決着し、続く#20は魔術に目覚めたゼルマが、ストレンジに弟子入りするまでを描いたエピローグ的な話。
ジェイソン・アーロンによる『ドクター・ストレンジ』の連載は、この#20をもって終了し、続く『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#21-24(7-10/2017)は、デニス・ハルムをライターに迎え、当時のマーベルの大型イベント「シークレット・エンパイア」とのクロスオーバー話が書かれる。
こちらの第5巻『シークレット・エンパイア』は、デニス・ハルムの担当分と、ゲストライターのジョン・バーバーが担当した『ドクター・ストレンジ(vol.4)』#25-26(11-12/2017)を収録。
で、この翌月から、『ドクター・ストレンジ』誌は、号数のナンバリングが「これまで刊行された『ドクター・ストレンジ』誌の累計」になり、『ドクター・ストレンジ(vol.1)』#381(1/2018)と、ナンバリングが大きく変更された上で(一応誌名も変更)、連載を継続させていく。
新ライター、ドニー・ケイツによる最初のストーリーアーク「ゴッド・オブ・マジック」は、2022年に小学館集英社プロダクションより、『ドクター・ストレンジ:ゴッド・オブ・マジック』として邦訳版が刊行されている(続刊が出るかは今のところ不明)。
また、2020年に創刊された、『ドクター・ストレンジ』誌のスピンオフ・タイトルである『ストレンジ・アカデミー』は、ジェイソン・アーロン期の『ドクター・ストレンジ』の諸設定を踏襲した内容となっており、アーロン期を読み終えた読者にお勧めしたい。
こちらは小学館集英社プロダクションから2021年に刊行された邦訳版第1巻(第2巻も2022年に刊行予定)。