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■X-MEN:ダーク・フェニックス・サーガ

■X-Men: The Dark Phoenix Saga
■Writer: Chris Claremont, John Byrne
■Penciler: John Byrne ■Inker: Terry Austin
■翻訳:クリストファー・ハリソン ■監修: idsam
■カラー/ハードカバー/1,299円(本体1,181円+税) ■ASIN: B09RG739NZ

「マーベル グラフィックノベル・コレクション」第2号は、マーベルの代表的なキャラクターであるX-MENの、『ダーク・フェニックス・サーガ』をチョイス。

 収録作品は、『X-MEN(vol. 1)』#129–137(1-9/1980)の全9話分。ライター:クリス・クレアモント、アーティスト:ジョン・バーン、インカー:テリー・オースティンという、当時最高の制作陣による古典的名作。

「チャールズ・エグゼビア教授によって集められ、彼らを恐れ憎むこの世界を守るためにX-MENは地球上のみならず銀河系を越え、あらゆる敵と戦ってきた。X-MENのメンバー、ジーン・グレイは自分でもコントロールしきれない能力が覚醒し、その力は彼女の中身をも支配し、宇宙全体を掌握しようとする。究極の選択とは、大切なジーンの命なのか、宇宙全体の存続なのか?! 彼らはこれから訪れる絶体絶命の試練に耐えられるだろうか?」(第2号表4あらすじより抜粋)

『X-MEN』のオールイタイム・ベストである「ダーク・フェニックス・サーガ」は、これまで

・小学館プロダクション(現・小学館集英社プロダクション)が1996~1997年にかけて刊行していたアンソロジー誌『マーヴルクロス』の第10~14号に全5回に分けて掲載されたバージョン

・2019年にヴィレッジブックスから単独の単行本『X-MEN:ダークフェニックス・サーガ』として刊行されたバージョン

 と、既に2度、邦訳版が刊行されている。

 こちらはヴィレッジブックスの邦訳版。『X-MEN(vol. 1)』#129–137を収録。……個人的な好みを言えば、詳細な解説冊子の付いたこのバージョンがお勧めではある。


 なお、本来「ダーク・フェニックス・サーガ」は、続く『X-MEN(vol. 1)』#138(10/1980)をエピローグとした「全10話」なのだが、何故か「ダーク・フェニックス・サーガ」の単行本は、伝統的に#137までしか収録せず、#138は続刊の『デイズ・オブ・フューチャーパスト』の巻頭に収録される。

 こちらはヴィレッジブックスから刊行されていた、『デイズ・オブ・フューチャーパスト』の邦訳版。収録作品は『X-MEN(vol. 1)』#138–143(10/1980-3/1981)と、『X-MEN アニュアル』#4(11/1980)を収録。

 くだんの『X-MEN(vol. 1)』#138は、X-MENのリーダー、サイクロップスが、『X-MEN(vol. 1)』の創刊号からの思い出を回想するという話。この邦訳版では、解説冊子の方で、それら回想シーンを逐一解説しているので、この本を読めば初期のX-MENの流れがなんとなく掴めるという、お得な内容となっている(解説を担当したライターは「書いても書いても#138の解説が終わらねぇ」と、途方に暮れたらしい)。X-MEN好きは適価の中古本を見かけたら買っておくことをお勧めする。

 ちなみに、アシェットの「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では、『デイズ・オブ・フューチャーパスト』の刊行予定はない。

 ……というか、「マーベル グラフィックノベル・コレクション」は、クリス・クレアモントがライターを務めていた1980年代の『X-MEN』オンゴーイング・シリーズをさほどカバーしておらず、この第2号以外では、第57号に『アンキャニィ・X-MEN:セカンド・ジェネシス』(『ジャイアント・サイズX-MEN』#1(5/1975)、『X-MEN(vol.1)』#94–103(8/1975-2/1977)を収録)が刊行される程度である(せめて「ミュータント・マサカー」「エクスティンクション・アジェンダ」あたりの長編クロスオーバーは出して欲しかったが)。

 ちなみに、第57号『セカンド・ジェネシス』は、ジーンがフェニックスのパワーを手に入れるに至るエピソード(『X-MEN(vol.1)』#100-101(8, 10/1976)が収録されているので、本号でフェニックスに興味を持たれた方は、そちらもフォローしておくべきだろう。

 ついでに言えば、クレアモント期の最初期の『X-MEN』は、既にヴィレッジブックスから邦訳版『X-MEN:アンキャニィ・ジェネシス』が刊行されている。

 ただし、こちらの単行本は通販限定の流通であったため、現在では入手困難な上に、収録話が『ジャイアント・サイズX-MEN』#1(5/1975)、『X-MEN(vol.1)』#94–100(8/1975-8/1976)と、アシェットの『セカンド・ジェネシス』よりも3話分少ない(フェニックスが誕生する『X-MEN』#101は未収録)ので、今から無理に入手する必要はない、かもしれない(翻訳の好き嫌いはあるだろうが)。

 とりあえず、本書を読んで、クリス・クレアモント期の『X-MEN』(1975~1991年まで、実に16年間)について興味を持った方向けに、次のエントリでは「クリス・クレアモントの『X-MEN』リーディング・オーダー」などを紹介したく思う(長いぞ)。

 ちなみに、ジーン・グレイがフェニックスのパワーを得て、その後、フェニックスのパワーを暴走させて死亡し、やがて蘇生するまでの、一連のフェニックス絡みの話をフォローするには、マーベルの「オムニバス」ラインから刊行された、以下の単行本(全2巻)を購入するという手もある……いや、ないな(そもそも在庫自体がない)。電子書籍化求む。


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