信頼される地方のリーダーを目指して──荒木 珠里亜さん
ボランティアで参加していたICCサミットをきっかけに岡住代表と出会い、稲とアガベに仲間入りした荒木珠里亜(以下、ジュリア)さん。「男鹿市の市長になること」を目標に、地域の人々の信頼を獲得するため、稲とアガベの事業を通してまちおこしに取り組んでいます。
自己実現の場として稲とアガベに理想を感じ、移住を即決したというジュリアさんに、入社の経緯やこれからのビジョンについてお聞きしました。
ICCで岡住代表と出会い、男鹿へ移住
──ジュリアさんが稲とアガベに入社したのはいつですか?
ジュリア:2024年の1月末に入社しました。社会人1年目のときに、ボランティアスタッフとして入ったICCサミット(*1)というカンファレンスで、岡住さんと出会ったのがきっかけです。
──入社前は、どんな仕事をされていたのでしょうか。
ジュリア:キュービックというウェブマーケティングの会社で、主に人事と新規事業の仕事をしていました。採用や育成のほか、人材系の新規事業の立ち上げなどを担当していました。
──キュービック入社1年目から参加していたICCで、岡住さんに出会ったということですね。そこで、どんなことを担当していたのでしょうか。
ジュリア:これまでいろいろなことをやってきたのですが、いまはICCの中での看板プログラムである「カタパルト」で、司会やナビゲーターをメインに担当しています。2023年に始まったSAKEアワードというお酒の企画は第1回目から担当させてもらい、そこで岡住さんと出会いました。
──岡住さんの第一印象はどうでしたか?
ジュリア:最初はSAKEアワードで出会ったので、シンプルに”お酒を造っている人”だと思っていました。ただ、すごく熱量のある方だなぁと。
SAKEアワードは初めての企画だったので、ICCの運営側が戸惑う場面もたくさんあったのですが、そんなときに岡住さんは、私たちスタッフに対してすごく協力的で、一緒にこのイベントを作り上げてくださいました。なので、「とてもいい人」という印象でしたね。
SAKEアワード初代優勝者ということもあり、イベント終了後の打ち上げに岡住さんが参加してくれて、そこで直接お話を聞いていたら、私がやりたいと思っている地域振興に取り組んでいることを知りました。
──もともと、まちおこしに興味があったのですか?
ジュリア:私は幼いころから、七夕の短冊に「世界平和」と書くような子どもだったんです。自分の人生を、少しでも世の中をよくすることに繋げたいと、ずっと思ってきました。その目標を実現するために経験を重ね、自分の人生を見つめ直したときに、「いつか地方政治をやろう」「どこかの自治体の市長を目指そう」と決めました。
「どこの市長になるのか?」「自分だったらどんな人に、自分が住む場所の市長になってほしいか?」と考えたときに、一緒にまちづくりをしてくれて、その町をより良くするために行動している実績のある人こそが、そこに住む人たちに受け入れられると思いました。
そのために、まずは自分が本当にコミットしたいと思えるまちで手触り感を持ってまちづくりに関わることから始めたいと思い、そう心から思える地方自治体を探していたころに出会ったのが岡住さんだったんです。
──それで、男鹿への移住を決めたんですね。
ジュリア:探し始めてから一年ほど経っていて、そろそろ決めたいなというタイミングで岡住さんに出会えて、「これはご縁だ!」と思い、すぐに決めることができました。元々出身は東京なので男鹿とは縁もゆかりもなかったのですが、岡住さんも同じように県外からの移住者でもあり、そのような方を街が受け入れているということも、良いと思えたポイントでした。
入社直後に「宿 ひるね」の立ち上げを担当
──稲とアガベでは、「昼寝したくなるほど寝心地・居心地の良い宿」をコンセプトとした「宿 ひるね」の事業をメインに担当しているんですよね。
ジュリア:稲とアガベに入社して早々に「宿は任せた!」と言われました(笑)。もちろん、宿の事業は全くの未経験だったので、什器を選んだり、予約システムを検討したり、清掃などのオペレーションを考えたりと、さまざまなことをを外部のたくさんの方に教えていただきながらスタートしました。
わからないことだらけでしたが、経験がないことでも全力で走りながら考えるのは、とても楽しいですね。
──6月から宿泊がスタートしていますが、お客様の反応はいかがですか?
ジュリア:おかげさまで予約がたくさん入っていて、「居心地がよくて、寝心地もいい」という感想をいただいています。寝具なども宿のテイストやデザインに馴染むようにこだわって選んだので、そう言ってもらえるのはとてもうれしいですね。一棟貸しの宿は、特にゆっくり楽しめたと言っていただいています。
──ひるね以外には、どんなことをしていますか?
ジュリア:前職の経験を活かして、少しずつ人事や広報などにも関わらせてもらっています。稲とアガべという組織がこれからどうなっていくべきかについて、岡住さんたちと定期的にミーティングもおこなっています。
──稲とアガベの人事ついて、「こんなふうにしていきたい」という未来像はありますか。
ジュリア:稲とアガベは今後、男鹿市を「日本酒特区」にし、男鹿市で清酒製造免許を獲得するために、さらにいろいろなことにチャレンジしていくことになります。組織の未来像を描く上で、どんな人材が必要になるかをしっかりと考え、戦略的に採用していくことがとても重要だと思っていますし、そこに関わっていきたいですね。
──岡住さんも最近、人事・採用を本格的にやっていくというお話をしていますが、ジュリアさんの貢献は大きそうですね。
岡住代表は「素早く、真っ直ぐ、たくさん」
──ちなみに、稲とアガベの中で仲がいいのは誰ですか?
ジュリア:(遠田)葵ちゃんとは同い年で仲良いです!葵ちゃんは周りをよく見ていて、心遣いや気配りをしてくれる人です。(パートナーの保坂)君夏も本当によくしてくれていて、保坂家がいたから安心して移住できたと言っても過言ではないくらいです。
また、会社の人たちと一緒に飲んだり、コミュニケーションをたくさん取りたくて会社の近くに住んだので、お隣に住んでいる(斎藤)翔太さんもよく飲みに誘ってくれます。ぱすかるさんともよく飲みに行って、秋田の日本酒についてたくさん教えてもらってます!あとはタイプが似ていることもあって、ちゃんりな(齋藤梨奈)さんとも仲良しです。
──岡住さんとは、実際に一緒に働いてみてどうですか?
ジュリア:思ったとおりの人でした。岡住さんって、「素早く、真っ直ぐ、たくさん」なんですよね。
私は、自分がついていきたいと思う経営者のリーダーシップタイプを「一貫性と柔軟性」という言葉でよく表現しています。大事にしていることが本質的なところでずっと一貫している上で、そこに向かうための手段や考え方を柔軟に変化させることができるという意味なのですが、岡住さんは、それがすごくある方だなぁと思っています。
──これからジュリアさんがリーダーを目指す中で、岡住さんのリーダーシップを近くで見ることは学びになりますか?
ジュリア:はい!とても勉強になっています。自分の目で実際にしっかり見て行動し、実現していくのが岡住さんのやり方。無理なものは無理と決めることも含めて、とにかく素早くたくさんの決断をしているところも勉強になっています。
──それが、「素早く、真っ直ぐ、たくさん」なんですね。
稲とアガベの一員として、男鹿に貢献したい
──今後、稲とアガベでやってみたいことはありますか?
ジュリア:「教育」にも挑戦したいと思っています。前職で、学生インターンのキャリア教育をしていたんですが、若いときにどのような教育を受けるかで、その後の人生が大きく変わると感じています。稲とアガベの教育事業が始まったら、若者向けのプログラム作りに関わっていきたいです。
──今の仕事で大変だなと思うことはありますか?
ジュリア:とにかく自分の頭でしっかり考えないと、私たちがやる意味がない事業が生まれてしまいます。「今までこうだったから」「他の会社だとこうしているから」という考え方にとらわれすぎず、私たちが実現したいことは何かを常に念頭に置いて、それに照らして今何をすべきか考える必要があります。
前職のキュービック時代も同じでしたが、男鹿は私たちがやらないと本当に街がなくなってしまうという危機感と、私たちがやるしかないという責任感を持ってやっているので、より重みがあるなと感じています。とはいえ、これがやりたくて男鹿に来たので、実際に手触り感を持って街づくりに携われていることに喜びを感じています。
──お仕事を楽しんでいるのが伝わってきます。
ジュリア:そうですね。自分としては、最終的に地方政治にリーダーとして関わるためにまちづくりをやっているので、選んだ道は間違いじゃなかったなと思っています。
また移住して改めて、稲とアガベという組織が、この町に及ぼしてる影響の大きさも痛感しています。稲とアガベのみんなが、充実して楽しく働くことが、男鹿のためになるはず。自分もそこに貢献できるよう、組織づくりやマネジメントの観点からも貢献していきたいと思っています。
この記事の担当ライター
Masako Matsumoto(松本 真佐子)
実家は酒屋。テレビ局、食品メーカーでの商品開発・海外事業・広報の仕事を経て、2020年に酒業界に復帰!まもなく【酒と発酵のお店】をオープン。もちろん「稲とアガベ」を販売します!
SAKE DIPLOMA/SAKE検定講師/唎酒師/焼酎唎酒師