
可不可/最初の名前について
こちら先週水曜日(9/4)に配信リリースされましたが、聴いていただけましたでしょうか。
本日は曲解説を書いていこうかと思います。
可不可
曲名からすると、フランツ・カフカからとられたのかなと思われるかもしれませんが、ここにあまり深い意味はないです。
ただなんとなくカフカの不条理な世界観と曲の色のなさが妙にマッチしていて、馴染みがあります。
この曲は前回のnoteでも書いたとおり、ほぼほぼジョン・フルシアンテのソロ作にかなり影響を受けてますが、曲から先に大まかにつくって歌詞を作りました。
歌詞のイメージは、都会の川で泳ぐ川魚が群れをなしているのを見て、最初の曲タイトルは「魚群」で行こうとしてました。
ただ書いていくにつれ、サビの「可もなく不可もなく」という箇所が自分の中ではインパクトがあって、最初の魚群のイメージとはだんだんとかけ離れていってしまった結果、可もなく不可もなく→可不可でいいや、みたいな感じになってしまったのです。
MVもその流れを汲んで、都会での生きづらさや息苦しさ、複雑な人間関係に辟易しながらも、選んだこの場所で、群れの中で流されながらもがき生きていく、といったテーマで作成しました。
MVは私の暇なときにiPhone片手に撮りました。
最初の通勤風景は朝の山手線です。
その後に出てくるクレーンは近くの工事現場から、
海は実家に帰省したときに撮っておいたものです。
川は秋川渓谷です。
最近ドライブが好きで、車はもってないんですが、気軽にタイムズカーシェアでそこらへんをドライブした動画も入っています。
唯一人物を配置しようとして、なんとか部屋で奥さんにも手伝ってもらい、ライティングとかも考慮しつつ、あまり顔がうつらないように調整しました。
最初の名前
こちらも曲が先にできあがりました。
あまりギターのコードを使わない自分が、この曲では珍しくいろいろ使ってます。(一般的には普通かもしれませんが)
可不可とはギターやアンプのセッティングを変えているので、若干歪んでいるけど弱く弾くとさらりとする、みたいな感じで調整しました。
可不可との差別化を図るべく、こちらはタンバリンも録音しています。タンバリンはドラムと同じく中村くんに叩いてもらいました。
あとドラムのチューニングも若干締め気味。
歌詞的には、海の上のプールサイドの一応最新のアルバム「つめたいゆめ」の表題曲「冷たい夢」とほぼ同じ視点で、最初は気に入られて買われたものが、飽きられて捨てられて、それがリサイクルされて、また別の商品になり、それもまた捨てられて、リサイクルされて、再生されて、捨てられて、リサイクルされて・・・という、まるで輪廻のようにまわる一巡のサイクルを経たその「物体」が、最初のころの自分、もともとなんのために生まれたのか、なんのために作られたのか、最初の名前はなんだっけか、という「物体」としての記憶を辿る、といった内容になっています。
冷たい夢はこちらから聴いてね↑
違いとしては「冷たい夢」はあくまでも物体=子供としており、一時期社会問題になった(ていうか今も継続している)少子化問題や育児放棄、機能不全家族といったテーマに沿って作った(つもり)の曲であることに対し、「最初の名前」は、物体が死と再生をリサイクルという形で繰り返し続けるというのをテーマにした曲です。
つまり「冷たい夢」は死、「最初の名前」は輪廻というテーマになりますかね。
最初の物体だったころが一番美しく、新鮮で楽しい日々だったことから、そのときのことを思い出そうとはするが、そのときの名前はもうずっと前に記憶の彼方から消え去り、思い出そうとしても思い出せない。といった具合。
大仰なことをいってますが、なんとなく上記のような隠れたテーマや視点がある作品が好きなもので、自分もそうやりたいなー、と思った次第です。
以上、どちらも心に響く(と思う)曲なので聴いてください。