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ずっと観たかった映画アイヌプリ

ずっと観たかった映画、福永壮志監督作品のアイヌプリを観てきた。

伝統的な鮭漁や鹿猟をしながら暮らす北海道は白糠のとあるアイヌの一家のドキュメンタリー。

アイヌの宗教感、伝統を当たり前に大切にしながらも私たちと色々な意味で生活なりなんなりほぼ変わらない現代のアイヌ。
伝統的な衣装を纏い儀式を行う姿は私達から見ると誤解を恐れずに言えばもしかしたら浮世離れしたような存在に見えるかもしれないが、彼らにとっての伝統であり現実。
しかしながら和人側があまりにそういったイメージに囚われてしまっている事でアイヌ側が困惑してしまう場面も悲しいながらも多いようで。

そんな皮肉もありながら私はずっと残されるべき美しく魅力的な文化であると感じている。

猟の前にも、家族でキャンプする際も必ず簡易的に身近にあるもので火の神に安全を祈る儀式をしていたのが非常に印象的。
周りのもの全てが神と言うことは、私達に置き換えるとどこもかしこもが神社になりえる感覚と思ったら良いのかな?と私なりに解釈した。周り全てが神の社

等身大の現代のアイヌの映画。

同時に最近 アイヌもやもや という著書も読んでいる最中で、悪意のない無意識の差別や「これ当事者としてはモヤモヤするんだよね」みたいな問題を分かりやすく文章と漫画で述べている。
こちらはアイヌにあまり興味がない方も、自らがマイノリティーに属すと感じてる方には共感がかなりあるのではないかな?と思う。

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アイヌは昔も今も差別や、最近ではあってはならないヘイトに悩まされ苦しめられている。
この映画をテレビで流してほしいと個人的には思うが、ヘイトに夢中な連中には残念ながらあまり刺さらないであろう事は想像できる。
ただ、現在の等身大の姿が知れ渡る事で上で挙げたアイヌもやもやな話は少しでも解決されたらいいと祈るというか、正しく理解してくれる人が増えるのではないかなと感じる。

また、この映画は食育的な意味でも良い影響を与えるのではないかと感じる。
鹿を撃ち、全てを捕らずに一部を自然に還し他の生き物へ残しておく。
自ら解体し、さらに専門の工場へ行きより食肉として食べられるよう自ら加工する。
鮭なども捕らえた後、天へ送る儀式をする。
捕らえた鹿に「ありがとう」「お疲れ様」と声をかける。
子が「ごめんね」と口にすれば
「ごめんねじゃない、ありがとうだよ」と諭す父。
父から子に受け渡されていく伝統。

私達が動植物、命を頂く存在な以上は忘れてはいけない部分。というか、本来こうあるべきなんだよなと思うというか。。
非常に良質なドキュメンタリーだと感じた。

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