写真上達法: 写真の構図のはなし(視覚的な重さという考え方)
同じ写真を見ても興味の違いによって構図の良し悪しの感じ方は変わる
結論から言うとバランスは黄金比だけではない
構図は黄金比などバランスなのだが、それらは個々の嗜好や経験により違ってくる。同じ状況でモデルさんを撮影したとしても、建築写真家としての私、ポートレートを撮りたい気持ちの私では絵の切り取り方は全く変わってくる。色、材質、興味の対象、それらの視覚的な重さでバランスをとると安定した構図になってくる。
建築写真家のベクトル
自己紹介をすると私は建築写真を生業としている。古い建物は元より好きだったが、戦後の建築には全く魅力を感じていなかった。しかし数年前に近代建築の保存をしてる設計士(現在は大学助教授)の方と知り合ってから考え方は変わり、その後埼玉県内の公共建築の調査などに加わり、面白さと市町村合併や老朽化で取り壊されていく公共建築の価値を皆に知って欲しいと思うようになった。つまり私の場合建築や構造物への興味のベクトルが人より多いのだ。だが残念な事にSNSではモデルさんが小さくなり訴求力のない写真になってしまう。
#名建築でポートレート #建物とポートレート
そんなタグで名建築とモデルさんを絡めた作品を撮ろうと模索中なのだ!!建物とモデルさん双方の魅力を相乗効果であげられる様な写真!
いつか辿り着きたいと試行錯誤を繰り返してます。
ポートレートの場合のベクトル
ポートレートの場合はあくまでもメインは人物なので、建物は背景でぼかされたりする。背景も重要な要素だがモデルへの比重がメインになる。逆に建築構造が気になる人はもうちょい階段が見たいってなるかも。
ワークショップを開催し気付いた事
「建築写真の魅力を知ろう」というワークショップを戦後近代建築の父である前川國男が設計した埼玉会館でやらせていただいた事がある。docomomoという世界的に名建築の重要性を訴えて活動してる団体に登録されたのを機に「埼玉会館の魅力展」という図面や写真の展示で現在の会館の写真作品を異例のスペースで展示させていただきワークショップと会場を借り切って数時間にわたる好評会までやらせていただいた。
音響を重視すると
露出などの写真技術は下手ではないのにバランスがすごく悪い参加者がいた。その写真は会館の大ホールを側面から写した写真で広角レンズで撮られていたのだが、なぜそんなフレーミングをしたのか疑問で気になったので数分眺めていたら気が付いた。『この人音響見てるんだ!!』
舞台から音が鳴った時のホール内の反射をベクトル線で想像するとバランスが悪すぎると感じていた写真が絶妙なバランスを保ったのだ。
※自慢:この解説は参加されてた前川國男設計事務所の所長さんにも絶賛していただいた
人は無意識のうちに色や物の重さでバランスをとっている。
無意識のうちに経験で得た重さ。黒は重くて白は軽い、岩や金属は重くて布は軽い。下が軽くて上の方に重いものがあると不安定になり、場合によっては不安や違和感のある作風にもできる
経験・興味による視覚的な物の重さ
歯医者さんは歯が先に眼に入るだろうし、工務店なら建物の劣化、ネイリストなら爪、天気予報士なら空、服、髪、帽子、アクセサリー…
その人の職業や興味の対象のものは重要な要素になりそれを無意識に考慮してバランスをとってるはず。
結局見る人によって写真の良し悪しは変わるんだから後から見直して「やっぱ自分の写真好きだな」って思えれば良い写真なのだと思っていいしそう思う。もし自分の写真が気に入らないのであれば下の方法を試してみると良いかも。
もしかしたらあなたが良いと思ってた写真は、その写真じゃなく写ってるモデルが好きなだけだったのかもしれない。だがそれは悪い事ではなく自分の好きを知ることから表現って始まるんだと思ってる。可愛い子をより可愛く撮るにはどうすればいいか、そんなスタートでも良いと私は思う。
モデル:祝祭アミさん
いかつい美人は声を掛けるのにビビる気持ちも分かるが、アミさんはめっちゃ話しやすいのでお勧めで大好きなモデルさんです。マジでカッコイイ
初心者程こういった自分をプロデュースできるモデルさんで撮らせてもらうと勉強になると思う。撮影会にも参加してるようなので要チェックだ