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【お絵描きハウツー】手癖を矯正するには「手元を見ないでスケッチ」が抜群に効く


下手見えしてしまう手癖が抜けない…!そんなときには「手元を見ないでスケッチ」

手元を見ずに、クロッキー参照サイトLife of action のお題から30秒×3で猫、鳩、蛾を描いたもの。わかるかな?わかんなくてもいいんです。

私がイギリスの芸術分野の予備校的な学校に通っていたとき、ベースとして「Life drawing」と「Visual Study」というクラスがあった。
各々選考した専門分野のクラスとは別に、この二つはどの生徒も必ず受けなければいけない合同授業だった。今思うとLife drawingはジェスチャードローイングに近い。
もしかしたら日本の美大とかでもやるのかもしれないが、私が日本に帰ってきてから今までいろんなお絵描き上達法を見てきても未だに「これ日本では聞いたことないな」と思う、効果てきめんの上達方法がいくつかある。今回はそのうちの一つ「手元を見ないでスケッチ」を紹介したい。

手元を見なければ「上手い下手」に左右されることもない

絵の練習をしなければいけないと思ったとき、人はみんな「自分の絵の下手さ」にモチベーションを下げられるんではなかろうか。
描いてる瞬間は巨匠の気分なのに、いざ出来上がった絵を見て「自分は雑魚だった」と思い知る…そんな悲しいことしてちゃ、そりゃモチベは下がる一方。
じゃあ、出来上がった絵を見なければいいじゃない。
見たまんま「自分が絵を描くとき、こういう線を拾うだろうな」と思った線の通りに、一発描き、しかも線を切らず、すべてを一本の線で描くように手を動かす。
ある程度進めて、手元を見るとピカソのゲルニカみたいな絵が出来上がっているけど、気にする必要はない。見てないんだもん、そんな絵にもなるわ。
だってこの練習は「絵を描くこと」じゃなくて「目で見た線を的確に拾うこと」が目的だから。

絵を描くことは、脳に浮かんだ映像をいかに手の筋肉に伝えるかという筋トレ

描いてるとき手元を見ると、自分が最も慣れ親しんだ自分の絵柄に寄せてしまう。これが上達を阻む最大のブロックな気がしている。
人間は変化を嫌う生き物なので、放っておくといつまでも「過去の自分」に縋り付いて、新しいことを始めようとしない。だって新しいこと初めて、自分の経験値が活きなくて失敗するのが怖いから。
今まで描いてきた絵柄で貰えてきた「いいね」に固執してしまうから。
絵柄を変えたら、それまで貰えてた「いいね」も貰えなくなるかもしれない。
でも、上手くなるために、レベルアップするためにはまず「今の自分の手癖」を捨てなきゃいけない。
自分の手癖を捨てた状態の動きをペンを持つ手の筋肉に叩きこまなきゃいけない。
じゃないといざってときに、あなたの手は手癖が抜けた筋肉の動きをしてくれない。普段正しいフォームの動きを体に叩き込んでいないと、本番で正しいフォーム通りに動いてはくれないのだ。
たぶん目も同様。見たものを手癖で描くから、いつまでも見たものが手癖のとおりに脳裏で歪曲されて写しだされる。いつの間にか見たものが脳内で自分の絵柄に改ざんされてしまう。
だから「手元に出来上がる自分の絵を見ないで描く」というのは、自分の凝り固まった手癖や絵柄のデトックスの最適なのだ。

私はこれを、上手く描けないなぁと歯がゆさを感じたときや、クロッキーの前のウォームアップとして、5分とか10分くらいやったりします。
そうすると妙な手癖がある程度矯正されて、何もしないときより突っかかりがなく、さくさくクロッキーできるのだ。
唯一欠点があるとすれば、描きあがった絵をSNSにアップしても、まったく映えないことくらいじゃないだろうか。
いいんだよ、これは競技の前のウォームアップくらいのもんで、採点がつかないのは当たり前なんだから。

なんでこんな画期的な練習方法を未だに日本で聞かないのか不思議なくらい有効な練習方法のひとつだと思っているので、興味がある人はぜひ一度やってみてください。
ちょっとひと皮剥けた、新しい体験ができるから。

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