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ジャック・アマノの“アメリカ NOW” 大統領が黒人ストック・カー・ドライヴァーを個人攻撃!

 ジュライ・フォース・ウィークエンドが開けた月曜の朝、ビックリしただろうなぁ、バッバ・ウォレスは。先日紹介した黒人レーシング・ドライヴァーのことだけど、インディアナ州インディアナポリスでのビッグ・レースを終えた翌朝、突然ドナルド・トランプ大統領が彼に狙い澄ましたトゥイッター爆弾を落とした。


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フォックス・ニュースでも取り上げていた大統領の個人攻撃

 「バッバ・ウォレスは、彼を助けに来て、彼の側に立ち、彼のためにすべてを犠牲にする心構えだった偉大なNASCARドライヴァーたちとNASCAR関係者に謝罪をしたのか? すべてでっち上げだったと判明したが。あの事件と旗の決定(NASCARがサーキットでの南部連合軍旗掲揚禁止)のおかげで(あの週末のNASCAR主催レースは)史上最低の視聴率だった」
というのが大統領のトゥイートだった。

「えっ???」って感じでしょ?
そもそも、2週間も前の話を蒸し返したことだけでもナンセンス。大統領が一方的に個人攻撃を仕掛けるなんて、衝撃的過ぎる。バッバはあのアラバマ州での週末に悪いことは何もしていない。それなのに今朝のトゥイートは、騒ぎはウォレスが仕組んだものと断定しているかのようだった。

 

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同じくフォックス・ニュース。「捜査官曰く、ウォレスのガレージで見つかったのは首縄ではなくドアの引紐で、2019年からその場所にあった模様」と画面下に出ている

  事実はこう。黒人ドライヴァーのガレージで首縄が見つかった。極めて悪質な人種差別行為と大騒ぎになったが、FBIが調査をしたら、縄はガレージのシャッターを引き下ろすためのもで、1年以上前からそのガレージにあったと判明。「タチの悪い悪戯でも、命を狙われてるワケでもなかった」とウォレスは胸を撫で下ろし、一件落着。

 しかし、大統領の中で怒りが燻り続けてたのか?
いや、それより、ウォレスがNASCARに”南軍旗禁止”を提案し、それが実現したことの方に腹を立てていた。あるいは、そこをまた騒ぎにするのが本当の狙いでは?
「過激な左翼による歴史的彫像の破壊は許さない」という、彼がこのところ行ってきている、それなりに説得力がある主張(器物損壊は罪なので)に乗せて、正真正銘の正義が柱になっている“黒人の命も大切=BLACK LIVES MATTERという運動”の勢いを削ごうっていう思惑。

 ついでに書いておくと、レースの視聴率が悪かったという大統領の指摘、誤りです。プロ・スポーツの放送がほとんどない今、ストックカー・レースの視聴率は非常に高くなっている。

 

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このところシカゴ・エリアは好天続き、というか蒸し暑い日々。写真はリバティーヴィルのダウンタウン。年代物のアルファ・ロメオ・スパイダーが走ってたり、実に平和

   ウォレスに同情する。本当にお気の毒さま、と。朝から打ちひしがれただろうな、世界一の大国の大統領から名指しで攻撃されんだから。そんな目に遭ったら、誰だって将来までが不安になっちゃうと思う。

 ウォレスがストック・カー最高峰シリーズに出場し始めたのは、確か去年だった。まだトップ・レヴェルでの勝利はなく、ハッキリ言えば有名でもなんでもなかった。それが今回の一件で、彼の知名度ってシリーズぶっちぎりのナンバー・ワンになった。スポンサーが集まり易くなったり……するといいんだけど。

 ウォレスにとって嬉しかっただろうことは、午後になってNASCARが彼を庇う声明を出してくれたこと。それは、「私たちはNASCARファミリーにバッバ・ウォレスが存在することを誇りに思い、彼の勇気とリーダーシップを称える。NASCARはこれからもバッバ、シリーズを戦うコンペティターたち、そして、私たちのスポーツにすべてのレース・ファンを分け隔てなく歓迎しようと考える人たち全員と一緒に堂々と前進して行く」というものだった。

 南軍旗の禁止を決断して、人種差別問題にも、大統領の理不尽な攻撃に対しても適切に対応。これを機にNASCAR、人種や出身に関係なく、誰もが楽しめる本当のメジャー・スポーツに進化を遂げるかも。
以上 7月7日 第7回終了

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