子育て幽霊とその飴
幼少期から,私は怪異の類やそういった話が好きだった。
どの本でこの話を知ったのか記憶はないが,母親の幽霊が
夜ごと飴屋を訪れて飴を買い,赤子に与えていたという話があった。
この怪談に関する話はバリエーションが色々とあるので,
検索していただければと思うが,自分が記憶している話の概略は,
「夜ごと,飴屋に赤子を抱いて飴を買いに訪れる女性がいた。何度も夜中に訪れてくるので,不審に思った飴屋の店主がある日あとをつけていくと,
赤子を抱いた母親は墓場へと入り,ある墓の所で消えた。恐ろしくなった
飴屋の店主は,日が明けてから近隣の人々を連れて女性の消えた墓を掘り起こしてみた。そこには埋葬された女性の腹から生きた赤子が生まれ出て,泣いていた。」という話である。
その後,その子は成長して徳の高い僧侶になったというストーリーの類が多い。
私がこの話にリアリティーを感じる体験があった。小学校5年生の頃の担任の先生の名字が「四十九院」という名前であったのである。
四十九院先生は,「子育て幽霊の話を知っている人もいるかもしれないけど,四十九院という名前は,この幽霊の子孫につけられた名前なんだよ。」と教えてくれた。
自分が知っている怪談につながる実際の人物が目の前にいるという事実に,自分はいたく感動したのを覚えている。検索すると現在では50人前後しかしない珍しい名字のようだ。
Amazonで「幽霊子育飴」というのがあったので買ってみた。日本全国にこの話の由来となる地があるようだが,自分は茨城在住なので,土浦にあるとされる五輪塔を訪れてみたいと思う。
訪問後にまた記事をアップデートしてみたい。
【追記】
「殺された母親から土中で生まれ、母の幽霊によって育てられた」という伝承のある頭白上人が建立した五輪塔(茨城県土浦市小高)を訪れた。
晴天に恵まれる中,頭白上人の五輪塔を訪れることができた。金嶽神社と五輪塔の周囲はきれいに整備されており,現在でも地元の人々に大切にされていた。五輪塔には購入した飴をお供えさせていただいた。
幼いころに読んだ子育て幽霊の話。小学校5年の担任であった四十九院先生が話してくれた名字の由来におどろいたこと。今日,その話にあった赤子が上人となって建立したとされる五輪塔を訪ねられたこと。
すべてがつながったように感じた今日は,自分にとって忘れられない一日になったと思う。
令和5年2月18日
追記
竹内義和氏と中山市朗氏のYoutubeチャンネル「オカルト解体新書」で、子育て幽霊の話が取り上げられていました。
https://youtu.be/jpozqMf_ht0