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年末年始のお困りごと相談会

 夏に繋がった方が、これから寒くなるのに、路上で暮らしている人がいると気にかけていた。寒くなる前に夜回りに行く約束をした。

 すでに年越しも迫り、日に日に寒さは増していく。自立相談支援センターは、相談者があとを絶たない。特に、フードバンク利用は多く、食料の寄付を呼びかけ運び込んでも、あっという間にフードがなくなる。
 コロナの影響で仕事もないまま、年末を迎える人も多い。昼間は暖房もあり暖かく、安心して過ごせる場を求め、自立相談支援センターにやってくる人も多い。
 サポーターが提供するお弁当やスープを飲み、身体を暖め、夜になると再びネカフェや車上に戻っていく。家があっても、電気ガスの代金が払えずに、供給を止められ、サンウェルに熱いお湯を毎日ポットに入れに来る人もいる。温かいものを食べるにも、こんな状況で、年末年始休暇の1週間、どう乗り越えて過ごすのか。

 沼津市ひとり親会では、支援物資を頻繁に寄付していただいていているが、会員は、春先30世帯だったが100世帯になり、潤沢に支援物資が回らない状況になっており、ひとり親世帯臨時特別給付金の再給付で5万頂いた世帯も、少なくなった収入の補填にもならず、子どもの学資費用を仕方なく切り崩して暮らしていたが、そろそろ底をつき、このままでは年越しができないという声も聞いていた。


サンウェルぬまづが休館する1週間、どう乗り越えていくのか。市役所が緊急対応はしてくれるが、閉庁はするため、お困りごとが絶えない状況で、1週間休むということは市民の命を守ることができない状況である。そんな経緯もあり、サポーターさんや普段から自立相談支援センターの活動を応援してくださる団体に声をかけ、年末年始にお困りごと相談会開催することとなった。

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参加団体
大岡こども食堂 / カサ・デ・アミーゴス / 東部健康友の会沼津支部(米山町クリニック)/ サポぬま / 新日本婦人の会沼津支部 / NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡 / 沼津市ひとり親会 / ふれあい三島ユニオン / プレカリアートユニオン静岡支部/未来を考えるグランマの会 / Rainbow DooRしずおか(50音順

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相談会に先立ち、路上や車上で暮らす方に声掛け、夜回り活動を12月26日と、28日行った。

 12/26(土)は午前中に千本浜、港湾付近、片浜を中心に声掛けをおこなった、参加者は6名。気にしていた千本浜の路上生活者はすでにこの極寒の状況で避難している様子。片浜の方も、警察の方をはじめ、支援者が見守っている状況だった。

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 12/28(月)は11人の参加者と夜回りを5か所に分散して行った。普段利用者がネカフェに入る前に利用していたはずのフードコートやイートインスペースは、コロナの影響で早々に立ち入りできなくなっており、声掛けをするまでには至らなかったが、原地区で路上で生活している方に声掛けをおこなった。ネカフェにチラシを置きながら様子を見に行ってくれたサポーターもおり、県外ナンバーでごった返すネカフェに驚いていた。

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 声掛けや夜回り活動をしていることを、以前困りごとがありつながった方に伝えると、橋の下に高齢者がいたので、パンを届けたとメッセージをくれた。みんな少しずつ困った方に声をかけてくださっている。サポーターさんもチラシを持ち、駅前や公園で声掛けをしてくれた。

12月31日米山町クリニックで相談会を10時から14時まで開催した。早朝から、お弁当やスープ、おにぎりなどの物資がたくさん運び込まれた。

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穏やかな時間を午前中は過ごしていたが、お昼近くになると、多くの相談者がやってきた。フードを利用したい人や、血圧が気になり健康相談をしたい人や、生活相談をしたい人、子どもと一緒に来る人や、高齢者も含め18件(世帯人数が含まず)の相談があった。ボランティアは、高校生や、健康相談をしてくださった医師・看護婦も含めて39名が参加。

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夜になり、電話が入る。弁当を分けてほしいという女性からだ。年明けにはアルバイトが決まっているが、アルバイトに行くためも交通費も食べ物を買うこともできないという。弁当は残念ながらすべて終わってしまったため、保管してあったα米や冷凍食品を渡し、NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡から、緊急援護費として5000円を渡した。2日には数日分のお弁当や食品を届けることを約束をした。

年が明け、1/2(土)も米山町クリニックさんにて開催。お弁当、スープ、おにぎりが続々と運び込まれ、お餅やお野菜、衣類などもたくさん届く。高校生のボランティアグループも参加してくれて、48名のボランティアが参加。

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相談者は28件、開始時間よりも早く相談者が訪れ、その後も相談が絶えることがなかった。家族で相談やフード利用する姿も多く、チラシや、SNSを見てくる方や、公園でひとりで座っていた高齢女性にボランティアが声をかけ、そのまま相談に来たという人も。また、新聞やSNSを見て、ボランティア参加したり、寄付を届けてくださった方も。

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家賃が払えずに困っている。失業して、仕事を探しているが健康面に不安がある。給料が減ってしまって生活ができないなどたくさんの相談が寄せられ、年明けには自立相談支援センターであらためて相談したいという方も多くいた。近隣市町村から相談に来た人や、ガス電気が止まり調理ができず、お弁当とスープを欲しいとやってくる人も。

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 女性の相談が多く寄せられており、パートなど非正規雇用の労働者も多く、また、サービス業などに従事していた方が仕事が急になくなり収入が減少して困っているという相談が多く、そのしわ寄せは小さな子どもたちにも影響し、冬休みで給食がなくなり、食事がとれていないという相談もあった。
 年金+パートで暮らしていたが、コロナで高齢女性だけが解雇された。その後仕事を探しているが高齢だという理由で仕事を探しているが断られ続けていて、わずかな年金で食べ繋いでいるという。

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おむつやミルクを求める人もおり、コロナの影響で赤ちゃんから高齢者まで性別を問わず誰もが困っている状況だ。子どものためにお菓子や弁当をもらった男性は沼津に最近引っ越してきており、仕事がなかなか見つからず困っていたが、フードの提供だけでなく話も聞いてもらえ、大家族を賄うための食品を車に積み込むために抱えきれなかった荷物をボランティアさんに持ってもらい、優しくしてもらえて沼津に住んでよかったと話していた。

フードを渡しながら、困りごとに気が付くボランティアもいた。煮炊きできないから米はいらないと断る人が多いなか、食事が作れないという親子。聞けばコンロが壊れて使えないという。自転車を盗まれて困っているシングルマザー。自転車保険で半分は保険金をもらったが、残りのお金が出せずに自転車が買えず、徒歩で会社まで通っているという。

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年明けにはサポーターが声掛けを行い、すぐに相談者のもとに届けられた。


 市民の力で連帯した年末年始のお困りごと相談会は、多くのボランティアが参加してくれた。沼津市民はもちろんのこと、近隣市町からそして、年齢も幅広く、網の目の地域をつくるために繋がっていった。
 また、今もなお、家や仕事をなくし困りごとを抱えている当事者も、一緒にボランティアに参加し、地域の人とつながっていった。誰もが取りこぼれることがないように、緩やかで強靭な地域。
「困っています」が誰もが言える地域を目指し、今年もみんなで地域のお困りごとを抱えている人を応援し続けていく。
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1月6日に地元紙沼津朝日に掲載された

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