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JazzSingerから観たラッパーFebbの魅力

ラッパーfebb。Fla$hBackSのメンバー。ネイビーのスウェット、白いフードを被っている彼だ。

素晴らしい才能を持つ人を亡くしたなと思う。初めて彼をこのPVで観た時、衝撃が走った。

JazzSingerから視たfebb

まず、良い響きの太めの声。

声の質というものは、神が与えたもうた才能である。自分の肉体を響かせて音が出せる、この世に一つしかない楽器。使い続けていくことで良い音に育つ。そうなるためにはキャリアがものを言うが、彼はすでに使い込んでいるような響きを持っているなと思った。

リリックを詰め込まずに、ゆったり余白を空けながら語っていくスタイル。余白を空けながらフレーズを紡いでいくことは、案外難しいことだったりする。

ジャズというジャンルでもそうなのだが、デキる者ほど音節にフレーズをたくさん詰め込こんでしまいがちになる。それはそれで一つのスタイルとも言えるけれども、意図的な余白は、達観したセンスと経験値による余裕によって生まれるものと思う。

私が「ギター等の速弾き」に、さほど魅力を感じない理由。
人より速くカラダの特定部分(ギターの場合、指や手先)を動かせることに高評価が与えられるのは、昔からよくあることだが、一度その基準を疑ってみてほしいと思う。

基準が「アーティスト」ではなく、「アスリート」的。万人にわかりやすいが、表面的・短絡的では?

「技」のひとつであることは間違いないし、「全てが過程である」と捉えれば悪いことではないのだが、芸術はもっと違う評価・鑑賞の仕方もあるはずなのだ。

これはセックスにも言えることだと私は思う。局部を愛撫する指を速く動かせることが、相手の心地良さに繋がるか?
音楽もセックスも「競技」ではない。

若い風貌とは裏腹な、堂々とした振る舞い。ライブ映像もチェックしたが、ガッカリさせられることはなかった。一度生で見聴きしたかったが、もうそれが叶うことはない。

トリオ「Fla$hBackS」の魅力

下の曲は、kid fresino名義の曲。Fla$hBackS3人が出演している。

パンチがあるのに、メロディアス。ロックともファンクとも解釈できる図太いギターの音色。トラック製作者はjjjとのこと。文句なしでかっこいい。

kid fresinoの、女子受けしそうなルックスにバイリンガルっぷり。本人が意図していようがいなかろうが、華がある。

Fla$hBackSというトリオのコンビネーション・バランスの良さ。

「こんなに才能溢れたトリオは、なかなか現れないだろう…」と、直接関係ない私までしばらく物憂げな気分になっていたことを思い出すのでした。

R.I.P. Febb. 

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