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マオリのダンスサークルで学んだ「努力」と「リスペクト」
NZのヴィクトリア大学に留学中、サークル紹介で、運命の出会い?をした。それはKapa Haka(カパハカ)サークル。カパハカとは、マオリのパフォーマンスグループで、地域や学校単位で、儀式や行事で踊りと歌を、披露する。大学のカパハカは、マオリの学生たちが所属し、いろんな場でパフォーマンスを披露する。
うわあ、めっちゃカッコイイ! 私でも入れるかな…。当時20歳の私は、何も考えず、ルームメイト(NZではフラットメイトと言う)のオランダ人と一緒に「サークルに入りたい!」と伝えに行った。
たぶん、サークルの代表は戸惑ったと思う。だって、30人ほどの他のメンバーは全員、マオリだったのだから。
練習は週1回、月曜の夜。マラエという集会所でおこなわれた。歌は全てマオリ語、ダンスも初めての振り付けばかり。(ちなみに私は、それまでの人生でダンスの素養はほとんどなかった…)初心者だからといって、手取り足取り教えてもらうのではなく、いきなりグループの中に入って、まわりを見ながら覚えるスタイル。サークルの他のメンバーは小さいころからマオリの踊りをやってきたので、上手。急に入ってきた下手な日本人の私にどう接していいのか、戸惑っている様子だった。あまり、話しかけてもらえなかった。
戸惑った…。でも、続けた。
3か月後くらいだろうか。気づいたら、歌と踊りを覚えていた。マオリ語の歌詞が、自然と口をついて出てくる。身体もみんなと同じ方向に、動く。大変だったけれど、私は彼らの歌と踊りが大好きだったので、そこにいるだけで幸せだった。たぶん私の身体からは「好き!」という気持ちがあふれていたのだと思う。それから、衣装をつけて、みんなと踊れるようになった。
「Miho、いつのまにか歌って踊れるようになってる…」
と、今まであまり話しかけてくれなかったメンバーの1人が、つぶやいた。
それから、その子とも、時々話せるようになった。気づけば、みんなの輪の中に入っていた。
チームをリスペクトすること。
努力を続け、ちゃんと、できるようになること。
それが、チームに認めてもらえるには、何よりも、大切なこと。人種が違っても、外国でも、これが大事なんだと思った。
この体験は、今も私が仕事を進める上で、大切にしていることの土台の1つを、作ってくれた。
↑マラエはこんな感じの場所。マオリにとっては大切な集会所だ。
Photo by Andrew Petrie from FreeImages