インドのコーヒーには歴史がある
“かつてインドは、コーヒーの国だった”
チャイ(紅茶)のイメージが強いインド。
しかし、ゆわずと知れたコーヒー大国なんです。
コーヒー生産量は、世界で8番目(2018/19)であり、インド国内でもインディアンコーヒーフィルターという独自の抽出方法があるくらいです。
17世紀後半にイスラム巡礼者ババブダンが、イエメンからインドに7粒のコーヒー豆を持ち込んだのが最初、という話は有名ですが、18〜19世紀にかけてコーヒー栽培は盛んに行われていました。
特に産地である南インドでは、コーヒーを飲料としてだけでなく、スパイスやハーブなどと同じように健康に良いものとして服用されていました。この文化は、現代でも続いていて、スパイス屋さんには必ずコーヒーが売られています。粉末状にしてミルクと混ぜて飲むと、胃腸に良いとされています。胃酸が増幅され消化を促してくれる効果があるので、適度なコーヒーは健康にもいいんですよ;)
“サビ病のパンデミック化”
1861年にアフリカで発生したサビ病が、スリランカ、そして、1869年にインドまで到達し壊滅的な被害を受けてしまいました。サビ病は、空気感染してしまう伝染病で、たった2週間でインド全土のコーヒーの木をほぼ枯らせてしまいました。
“イギリス東インド会社の紅茶流通着手とアッサムティの発見”
一方その頃。
17〜18世期、イギリス東インド会社がアジアの貿易を独占しはじめました。中国から紅茶が多く流通し、それに加えて、1823年アッサムティが新種として発見されました。紅茶の交配・栽培が進み、紅茶市場が拡大したこともありインドはチャイ文化が巨大化していきました。
“サビ病に対抗すべくロブスタ種にシフトチェンジ”
コーヒー栽培はというと、壊滅状態に陥ったものの、決して衰退してしまったわけではありません。サビ病に強い”ロブスタ種”にシフトチェンジし、栽培が進められました。現在でも、生産量の70%がロブスタ種であり、主にイタリアへ輸出されています。イタリアのエスプレッソには、しっかりとした味わいのロブスタはかかせませんよね。
そして、1960年頃から品種改良が盛んに行われはじめ、インドの土壌に合うアラビカ種が作られていきました。その時生まれた品種の代表的なものとして『SL9』・『SL795』などがあります。
ちなみに余談ですが、この品種名について、”SL”=“SeLection”の略、そして、数字については、【適当 てきとう テキトー】なんです・・・?!
なんともインド人らしいというか…w
(他生産国も同じとは限りません!)
“そして、現在”
アジアのコーヒーが注目されつつある中で、ここインドでも新たにクリーンでフルーティな味わいを作り出すアラビカ種の栽培に力を入れる生産者が増えてきました。
私が契約しているコーヒープランテーションもそのうちのひとつです。
街の中でもコーヒーの位置づけが少しずつ変化しています。1杯15ルピー(20〜30円)で街角で飲む甘いミルクコーヒーから、1杯200ルピー(400円)でカフェで飲むブラックコーヒーへと変化しているのです。
今回は、ざっくりではありますがインドとコーヒーはとっても深く長い歴史があるというお話でした。少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
次回は、昔ながらのコーヒー『インディアンフィルターコーヒー』についてお話できればと思います。
お楽しみに:)