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2021.5.16(日)J3第8節 FC今治vsカマタマーレ讃岐 マッチレビュー

1.ダービーの幕開け

 この組み合わせを「四国ダービー」と呼ぶかはさておき、この試合が緊張感を持って始まったのは、両者の現在地が原因だ。試合前の両者の順位は、ホーム今治1勝1分4敗(勝点4)の13位、対するアウェイ讃岐1勝5敗(勝点3)の15位であった。すなわち、讃岐から見れば、この試合に勝てば今治の上に順位を上げることができる。

2.スタメン/試合開始

 まずはスタメンから。讃岐は直近の天皇杯香川県予選決勝(vs高松大学)と同じメンバーでスタート。予想フォーメーションは3-5-2。なお、重松はこの試合がJ3通算100試合目の出場となった。
 今治の注目選手は、ギニアビサウ出身FWバルデマール。今治は讃岐と同じく天皇杯予選決勝(vsレベニロッソNC)を戦ったが、その試合でハットトリックを達成している。

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 第7節沼津戦は左WBに薩川、右WBに川崎という組み合わせであったが、この試合は両者を入れ替えてスタート。守備時のブロックは左WBの川崎が最終ラインまで下がり、3バックは全体的に右にスライドして4枚のラインを、その前には西本、岩本、薩川、中村の4枚で守る4-4-2となっていた。

 攻撃のパターンとしては、今治が中央に人数を割いて守っていたこともあり、両サイドに張らせた左WB川崎や右WB薩川にボールを供給してのサイド攻撃が中心となった。また、自陣でボールを奪った際には、前線の栗田や重松にロングボールを供給し、セカンドボールを中村や岩本が回収して攻撃に繋げるという場面も見られた。

3.今治の先制/讃岐の同点弾

 16:00のシーン。アバウトなクロスがゴール前に送られ、バルデマールと高橋が競り合いなんとかパンチングで弾き出すものの、今治・上原がセカンドボールを拾ってシュート。このシュートをゴール前で残っていたバルデマールがフリックしてゴールイン。今治が先制に成功する。

 今治が先制して以降、讃岐の時間が続く。まずは20:40のシーンから。自陣でボール奪取した讃岐は、重松から前線に残っていた栗田にスルーパス。抜け出した栗田はキーパーと1対1になるが修行の絶妙の飛び出しにシュートを打つことができず絶好機を逃してしまう。
 続いて30:00のシーンから。敵陣中央で受けた栗田が右サイドに開いた薩川にパス。2列目から飛び出した中村が相手CBのまでシュートを打つも枠外へ。
 45:50、ついに讃岐が追いつく。右サイドからの薩川のコーナキックのこぼれ球を逆サイドで重松が拾ってクロス。これを薩川がボレーで合わせてゴール。幾度の決定機をようやく決め同点に追いつく。

4.両WBを前戦から入れ替えた意味

 讃岐は、両WBに逆足の選手を起用した。
 この意図がよく見えたのは48:35のシーン。中村がドリブルで持ち込んだ後、右WB薩川にパス。薩川はボールを持ち替えて利き足の左足でクロスを送り込み栗田が頭で合わせたこのシーン。逆足の選手をサイドに置くことで、その選手から出てくるクロスはゴールに向かってくるクロスとなる。このクロスは相手ディフェンダーにとってはクリアしづらいものであり、効果的な攻撃手段となっていた。あとはエリア内の選手がフィニッシュに繋げるだけである。

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5.試合終了

 ダービーという緊張感を保ったまま90分が終了し、1-1の引き分けで試合は終了した。今治と讃岐の順位が入れ替わることはなかったものの、他会場の結果から讃岐は最下位を脱出した。守備面はもともと忍耐強くできていたが、監督交代を機に攻撃面も次第に噛み合うようになってきた。そんな気持ちにさせてくれるようなダービーであった。

6.データが表す讃岐の変化

 ゼムノビッチ監督が就任して以降、劇的に改善したのがシュート数である。同監督が就任以前の4試合での1試合当たりの平均シュート数は6本就任以降の3試合では実に15本にまで増えた。DAZN解説によれば、攻撃の練習をかなりしているとのことであり、確実にその効果が現れてきている。

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7.次の試合

 次の試合は5月23日(土)天皇杯1回戦JFL・高知ユナイテッドSC戦。昨シーズン四国リーグからJFLに昇格したばかりのチームであるが、今シーズン開幕戦では前年JFL王者のヴェルスパ大分を破るなど、決して侮る事はできない相手である。しかし、今節のような攻撃を見せてくれれば必ず突破してくれることだろう。

(2021.5.16 DAZN視聴)

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