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貧困の撲滅では、繁栄は得られない

涼しくなってきましたが、みなさん秋を楽しんでいますか?🍁🍠🍇
今年はとにかく夏が強烈過ぎて、何もやる気がおきなかったのですが、やっと何だかやる気が出てきたINDEE Japanの岡本です。

さて、そんなやる気が出てきたので、積んでいた本を読もう!と思い選んだのはコチラ
海外ではもちろん、日本でも貧富の差が表面化してきて貧困について考えることが多くなり、あちらこちらで戦争が起きている、そんな最近にはピッタリな1冊です。

繁栄のパラドクス

クリステンセン教授が、ビジネスの世界で培ってきたイノベーション理論を国家の繁栄に適用し、執筆した本です。
ビジネスはもちろん、社会課題の解決に取り組む多くの方にもおススメです。 

今日は、「繁栄 prosperty と 貧困 poverty」この2つの言葉の捉え方について、一緒に少し考えてみましょう。

▷繁栄とは

さて、みなさんに質問です。
繁栄とは何でしょうか?


みなさんは、何と答えましたか?


一般的には、医療のレベル、治安の良さ、教育水準等で評価されますが、クリステンセン教授は、より重要な指標として、「そこに住む人たちが生計を立てられる雇用があること、そして、社会が上へと登っていける流動性があること」を加えています。

つまり、繁栄とは「多くの地域住民が経済的、社会的、政治的な幸福度を向上させていくプロセス」のこと。

天然資源ばかりに依存して、自らが雇用されるというより外国資本に権利を売り渡して利益を得るのでは、持続可能な豊かさを得られません。住民が生計を立てられる雇用が確保されて初めて、依存から脱して上を目指すことができますよね。
雇用が確保されても、カースト制度の様な人々の動きを固定化する様な慣習や世襲制の独裁政治の中では、社会的、政治的に変化していける流動性がないと、住民の生活は固定され、幸福度は上がりません。

貧困を撲滅して、繁栄を築くには、個別の問題を解決するのではなく、経済的、社会的、政治的な課題を解決するエコシステムを作る必要があるということですね。貧困という問題にだけ着目すると経済的な課題ばかりにフォーカスしてしまい、そして経済的な課題解決だけでは、繁栄による幸福は得られません。

貧困の撲滅 ≠ 繁栄による幸福

「貧困の撲滅?」「繁栄による幸福?」、何を問題と捉えるかによって、ソリューションの限界が自ずと設定されてしまいます。

▷ビジネスでも同じこと

この話は、もちろんビジネスの世界にも当てはまります。
既存の製品・サービスの売上げを拡大するための”事業”戦略だから、ある意味仕方ないのかもしれませんが、多くの企業が自社の製品・サービスの枠の中で事業戦略を立てています。
ただし、新しいカテゴリーになりそうな可能性のある新製品・サービスや、全く新しい価値を提供するものまでも、この括りに入れて評価してしまうことには問題があると言えます。
なぜなら、既存の評価指標では新製品・サービスを正しく評価することはできないから。
繁栄を目指している国への支援のレベルを経済的な指標だけで見てしまうことと同じことですね。

▷FLIPという考え方

見方を変えることは現実には意外と難しいですよね。
そこでとても簡単だけど有効な手法として、問題をFLIPしてみることがオススメです。
FLIPとは、タフツ大学のポジティブ・デビアンス・イニシアティブ代表のジェリー・スターニン氏が、真に解決すべき問題は何か?を探すために使っていた考え方のこと。

ジェリー・スターニン氏 Flipのジェスチャー
写真:デイビット・F・ガッサー

FLIPの例としてマザーテレサの逸話を紹介します。

反戦デモへの参加を求められたマザーテレサは、「それは反戦のためのデモなのですね?」と何度も確認したあとで、「それでは私は参加しません」と答えた。反戦のためなのになぜと不思議がる人々にマザーは答えた。「それが、戦争反対のためのデモならば、私は参加しません。もし、それが平和のための行進であれば、私は喜んで参加します」と。

マザーテレサ

戦争がないことをゴールにするのでは、外交手段としての”戦争”はなくなるかもしれないが、経済制裁や輸入規制等による国同士の争いは消えない。平和な繁栄を求めるのであれば、平和こそをストレートに願わなければいけないという考え方ですね。

社会課題を解くには、繁栄を考える時と同様に、多くのステークホルダーを考えなければいけない。誰かの目線だけでなく、社会全体で持続可能な解決策に繋がる様、FLIPによる問題の再定義が広まる世界になればいいですね。


さて、今日は涼しくなった秋におススメの1冊をご紹介しました。
みなさんが、なるほどーと思った本があれば、是非教えてください!


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