伊豆・下田市白浜でお試し滞在を実施 「成果報酬型インキュベーションでの蒸留所づくりプロジェクト」
こんにちは。有限会社グリップ代表の高橋です。
空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションの、当社の第一号案件として実施している、伊豆・下田市白浜での蒸留所づくりを目指したプロジェクトについてお伝えしています。
様々な課題をどのようにクリアしてプロジェクトを進めていったのか、少しでも参考になれば幸いです。
空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションとは何かをまだご存知ない方は、はじめにこちらの記事をご覧いただけると嬉しいです。
現地でのお試し滞在をしてもらう
前回の記事では、プロジェクトがスタートすることになったところまでお伝えしました。
お互いの意思が確認出来たため、プロジェクトを前向きに進めて行く事になりましたが、まだ契約書を交わした訳ではありませんし、場所を気に入ってもらえたとは言え、今まで暮らしたことも無い場所で事業の立ち上げにチャレンジするというのは勇気がいることだと思います。
そこで、1週間現地でお試し滞在をしてもらうことにしました。
2021年4月のGW前に、IさんSさん共に現地に滞在してもらい、周辺の環境なども含めて実際に体験してもらいました。
実は私自身は東京育ちのため、現地の下田市白浜は地元ではありません。
しかし幼少期から現地で祖母が民宿をやっていたため、毎年夏休みに訪れ民宿の手伝いをしていた思い出の地であり、田舎がない私にとっては田舎のような存在の場所です。
ただ、私自身も一年を通して暮らしたことが無い場所ですので、現地について伝えられることも限られてしまいます。
やはり彼ら自身で現地に滞在してもらい、自分たちで体験してもらうことが一番良いと思ったのです。
お試しで滞在してもらった結果、ますます現地を気に入ってもらうことが出来ました。
自然に溢れた場所で、徒歩圏内には飲食店も少なく決して賑やかとは言えない場所ですので、若い彼らには少し物足りないと感じられてしまうかなという懸念もありましたが、全くの杞憂に終わりました。
蒸留所づくりと合わせてハーブなどを育てることにも興味があったり、元々D I Yが得意でもある彼らにとっては、自分たちで楽しみ方を見つけられる場所だったのかも知れません。
現地でのお試し滞在も無事終わり、Sさんは定期的に現地に滞在することとなりました。
東京での仕事もある為、まずは現地と東京を定期的に行き来する形で滞在し、蒸留所の開設に向けて準備を進めていくことになったのです。
契約書案を作成するための準備
次の大きなステップは、契約の締結です。
完全成果報酬型の契約で進める事が決まりましたので、具体的な契約書の作成を行います。
契約書はインキュベーターである当社が案を作成する事としました。
空き家/空き地を活用したインキュベーションの場合、多くのケースではその資産を将来的にどうしたいのかまで考えた上での契約が必要です。
よって、契約書の案は今回のようにインキュベーター側が作成する事が多くなると思います。
契約書を作成するにあたり、まずは契約の大まかなスキームを考える必要があります。
単純に土地建物を賃貸する訳ではありませんので、今後起こりうる様々なシチュエーションも想定しながら具体的に考える事が重要です。
そこで、まずは顧問をお願いしている会計事務所に相談する事にしました。
以前より、その道のプロの力は積極的にお借りするようにしているため、ここでも具体的に実現したい事を伝えた上で、契約を締結する上でのアドバイスを色々と頂きました。
今回のプロジェクトの特徴的な点としては、既に行なっていた民泊事業も継続しながら、新たな事業としてインキュベーション事業を共存させたいという点でした。
これが可能になった大きな理由としては、建物が二棟存在していた事があります。
元々運営していた民泊事業では、一つの建物を居宅兼事務所として利用し、もう一つの建物を民泊として丸ごと一棟貸ししていました。
インキュベーション事業を始めるにあたり、部屋数が多い一棟を居宅兼事務所及び部屋貸しの民泊として民泊事業も継続しながら、もう一つの建物を丸ごとインキュベーション事業として貸し出す事としました。
全く利用していない空き家/空き地を活用する場合には、丸ごと貸すという事が出来ますが、それが難しい場合で有っても、条件が合えばこのプロジェクトの様に利用しない部分だけを活用してインキュベーション事業を行う事も可能だという参考事例にもなるのでは無いでしょうか。
相談の結果、このプロジェクトでは単純に一本の契約書にするのでは無く、複数の契約書に分けて契約を締結する事としました。
「土地賃貸借契約」
「建物賃貸借契約」
「不動産管理委託契約」
の3本です。
土地と建物の賃貸借契約を別にした上で、さらに管理委託契約を作ります。
敷地内に立つ2つの建物の管理契約を結ぶ事で、風雨災害などで破損した部分の修理などを委託出来る様にしています。
空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションの場合、そのプロジェクトの条件によって契約書の作成方法は全く変わって来ると思います。
今回のプロジェクトの場合には、上記3本の契約書を締結する事でインキュベーターとチャレンジャーの条件を満たす事が出来ましたが、他のケースでは違ってくると思いますので、あくまで参考としてご参照下さい。
そして、成果報酬型の契約の場合、契約で決めておくべきいくつかの重要なポイントが有ります。
✔︎何に対する成果報酬にするのか
✔︎成果報酬の割合をどうするのか
✔︎成果報酬の計算の元となる数字は何を根拠とするのか
そして、これらの項目を決める為には、チャレンジャーの協力が必要になります。
インキュベーターには、チャレンジャーが起業しようとしている事業がどれ位の規模の事業になるのか、見込みを立てる事は困難です。
まずはチャレンジャーが事業計画書を作成し、インキュベーターに提示する必要が有ります。
作成した事業計画書を、チャレンジャーがインキュベーターに説明し、インキュベーターに理解してもらう事が重要になるのです。
今回のプロジェクトでも、蒸留所ビジネスの事業計画書を作成してもらいました。
あくまでこの時点での目論見ですので、この計画書の数字を元に売上などの数字を約束してもらうようなことは一切ありません。
一番知りたかったことはビジネスの構造です。
商品が出来るまでの期間はどれくらいかかるのか。どのタイミングで売上が立つのか。減価率はどれくらいなのか。
などの大まかなビジネスの構造を把握することで、チャレンジャーにとっても無理の無い成果報酬の割合や運用方法を考えることができるのです。
事業計画書を作成してもらった段階でミーティングを行い、直接説明してもらいました。
蒸留所ビジネスならではの税務的な手続きなど知らないことが色々とあり、説明をしてもらうことで理解が深まっていきました。
契約書を作成する事自体は、私自身もサラリーマン時代に幾度となくやって来ていましたし嫌いな作業ではありませんでしたが、サラリーマン時代とは大きく違うことがありました。
空き家/空き地を活用した、成果報酬型インキュベーションをサポートします。
当社では空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーション事業を推進しています。
弊社自身がインキュベーターとなり成果報酬インキュベーション事業を推進するとともに、この取り組みを世の中に広めて行くためのサービスを提供します。
ホームページからお気軽にお問い合わせください。
そして、インキュベーターをお勧めする本をKindleで出版しました。
成果報酬型インキュベーションは、第二の人生の生き甲斐にもなるとてもやりがいのある取り組みです。
実際に自分自身で体験した事を元に書きました。
是非ご購読頂けると幸いです。
インキュベーターのすすめ! 入門編
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次回は、契約書案を作るにあたって意識したことなどをお伝えしたいと思います。
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