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映画『正体』観てきた。横浜流星の得体の知れない透明感の“正体”とは
当初自分的に全くノーマークだった映画『正体』。
面白いらしいという評判を信じて観に行ってみることにした。
主演は横浜流星さん。
もちろん存在は存じ上げているが、実は横浜さんの出演作品を観るのはこれが初めてに近い。
念の為Wikipediaで調べてみたが、テレビ・映画とも、やはり今まで観たことのある作品はなかった。
イケメンだけど、得体の知れない透明感のある人。
自分の中の横浜さんのイメージはこんな感じだ。
ざっくりとしたあらすじ。
一家連続殺人犯として誤認逮捕され、死刑囚として服役中だった青年・鏑木(かぶらぎ)が逃亡。
鏑木は、名前や姿形や職業を変えながら、大阪、東京、長野と長期の逃亡生活を送る。
その逃亡生活の中で、キーパーソンとなる3人の人物達との交流を通じて、鏑木は“信じる心”に触れて行く。
一方、当時鏑木の犯行であることに疑問を抱きつつも、取り調べを担当し有罪へ導いた捜査一課の刑事・又貫は、鏑木の行方を必死に追う。
果たして、鏑木は何のために逃亡を続けるのかー?
そこそこ残虐なシーンやビクッとしてしまう場面もあるので、そういったシーンが極端に苦手な方は観る前によく検討した方がいいかもしれない。
鏑木を取り巻く3人のキーパーソンと刑事。
大阪時代の先輩・和也役にSixTONESの森本慎太郎さん。
この人めっちゃいい役者だなあ。
今後、もっともっといろんな役やると思う。
南キャン山ちゃん役のドラマ『だが、情熱はある』も良かったけど、今回も役にはまり込んでた。
ダメな奴なんだけど、根は優しくて人間味溢れてて。
ファンは驚いちゃうような、ちょっと大胆シーンもあったり。
東京時代の出版社で働く沙耶香役の吉岡里帆さん。
お父さんの冤罪と鏑木(ここでは別名)を重ね合わせて苦悩する大人の女性をしっとり演じていて、良かった。
あざとい役が多い印象の女優さんだったけど、いい意味でイメージ変わった。
長野時代の舞役の山田杏奈さんも、地方に暮らす、ちょっと退屈で自分を持て余している、等身大の普通の若者のリアリティがよく出ていた。
鏑木も普通に過ごせていればこのような日々を送っていたのだろうという対比が切ない。
退屈とは、平和。基本的な安定した生活が得られていなければ、退屈を感じることはできないのだ。
刑事・又貫役の山田孝之さんは、もはや貫禄すら感じる。
セリフは多くないのに心の葛藤が表情で伝わる。
鏑木役、もう少し若い時の山田さんもハマってただろうなと思った。
話は全然違うけど、映画から『白夜行』の雰囲気が感じられたからかもしれない。
で、鏑木役の主演横浜流星さん。
最初から最後まで、複数の人物になりすましながら出づっぱりにも関わらず、やはり得体の知れない透明感。
水のようにサラサラしているというか、生気がないというか、人間離れしているというか。
決して悪い意味ではない。
この横浜さんのキャラクターと“逃亡者”という役柄がマッチして、映画全体を得体の知れない空気で支配していた。
ネタバレというわけではないが。
この映画は例えば、吉田修一さん原作の映画『悪人』のように、「あれ?結局この人はいい人だったの?それとも悪人なの?」と問うようなものではなく、かなり序盤に「鏑木は冤罪である」という事実を明確にしている。
なので、鏑木は一家連続殺人犯ではない。
犯人ではないとわかりながら観ているにも関わらず、横浜さんの得体の知れなさに静かな狂気を感じ取ってしまって「犯人…じゃないよね?」と何度か思ってしまった。
もっとヒューマンドラマ寄りにしたかったのか、不穏感を漂わせたかったのか、どっちなんだろう?
十分面白くて見応えのある作品だったが、そこはちょっとわからなかった。
あと、そこまでして逃亡するに至った動機づけのようなものが、もうちょっと欲しかったかな?とも感じた。
最後にこの記事のタイトルの、得体の知れない透明感の“正体”とは。
…うーん、横浜さんがイケメン過ぎるのかなあ(どーゆーことだよ!?)。
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