cheeroから残念なPower Plus 4が登場。 Power Plus 3.5がお似合いでは?
2018/10/23にスマートフォン周辺機器を作るcheeroから「Power Plus 4」が登場。前作のPower Plus 3から4年ぶりのモデルチェンジとなった。
しかし、そのモデルチェンジは「残念」のひとことに尽きる。
普段から頻繁にガジェットの情報を確認する人にはわかるだろうが、一見すると良さそうに見える本体も落とし穴が各所に点在する。
それらの落とし穴については後述するが、「ダンボーバッテリー」や「Power Plus 3」で一世を風靡したcheeroの名に恥じる『迷作』、cheeroがどこまで落ちぶれたかがよくわかる製品となっている。もちろん、筆者は購入を推奨する様な真似はしない。
・USB PDが18Wという中途半端さ
Power Plus 4を批判する上で最も大切なことは、新しく採用されたUSB-PDが18Wまでの出力に対応していないということだろう。これは、Google Pixel 3などのUSB-PDをベースとした急速充電に対応している機器には程よい良い電圧だが、MacBookなどのUSB-PDで充電できるラップトップやiPhone、iPadの充電には不向きだ。
少なくともMacBookなどのラップトップを充電するには電圧が低すぎることは誰の目にも明らかだ。しかし、iPhoneとiPadについては疑問に思う人も多いだろう。一部のiPhoneとiPadは「高速充電」に対応している。これは、従来よりも高速にデバイスを充電できるUSB-PDを用いたAppleの独自規格だ。この高速充電には充電パターンがあり、9V充電を利用するもの、12V充電を利用するものの2つがある。基本的に充電というものは、電圧が大きければ大きいほど速い。Appleの高速充電の場合9Vよりも12Vの方が速いことになる。
この12V充電ができる充電器は、29Wか30Wの充電器と決まっている。仮にこれ以上大きな出力が可能な充電器を利用したとしても、安全面を考慮してか9Vになってしまう。12Vと9V充電の速度差は10%未満と僅かなものだが、実用すると意外と侮れない差だ。
これらを考慮すると30Wに遠く及ばない、18W出力というものがいかに中途半端なものかがお判りいただけるだろう。1万mAhのモバイルバッテリーであれば、MacBookを半分程度充電できるアドバンテージはあるし、30W出力の機構を搭載したからといって、スペースや排熱の問題も18Wと比較してそう大きくなるものではない。それであれば、仕様用途が広がる30Wを採用した方が製品としての魅力は高かっただろう。
精神的な理論にはなるが、1万mAhという「多くもなく少なくもない」容量も相まって、Power Plus 4の残念感を見事に演出している。
この中途半端な仕様が1つ目の落とし穴だ。
・筐体はPower Plus 3を使いまわし
技術的な観点以外にもPower Plus 4の残念なポイントは沢山ある。
それを最も分かりやすい形で表しているのが「筐体」だ。前作を所有している人やcheeroに詳しい人が見れば一目瞭然だが、Power Plus 4の筐体(ボディー)は前作Power Plus 3のものが使い回されている。
これだけで、目新しさが失われ、USB-PDが普及していない現状で非PDデバイスユーザーに「買い換え」訴求することはできないだろう。また、Power Plusシリーズは世代を追うごとにデザインや性能が大きく変化してきた過去がある。
言わば、Power Plusはcheero最高のフラッグシップモデルでなければならない。
その看板商品のデザインは前作の使い回し、スペックは中途半端では誰も買いたいとは思わないだろう。
これが2つ目にして最大の落とし穴だ。
・ライバルAnkerにカラーで追随
こちらもデザインの話にはなるが、Power Plus 4の筐体色は「ブラック」1色。前作Power Plus 3がホワイトを基調とした柔らかいデザインであったのに対し、Power Plus 4は初代Power Plusの様な、無骨で特徴のないデザインになっている。
ブラックというカラーを否定するつもりはないが、ライバルであるAnkerのモバイルバッテリーの多くがブラックであることを考えると、色被りも甚だしい。「ホワイトを基調とした」女性でも持ちやすいカラーを採用し、オタクが持っているようなガジェット感が強い製品を避けてきたcheeroに「ブラック」1色というラインアップは似合わない。
実際、Amazonのレビューなどでも「Ankerに白がないから」という理由でcheeroを選んでいるユーザーも一定数存在する。
そのような貴重なユーザーの声を無視して、追いつけないライバルに追随することに何の意味があるのか。それであれば、自社の強みを生かせるジャンルで戦うべきだったように感じる。
・安全性を謳う同社だが実態は劣悪
筆者はPower Plus 4を購入していない。
その立場でPower Plus 4の安全性について言及するつもりはない。
ここではあくまで一般論を述べておく。
cheeroはPower Plus 3を境に「安全性」を自社の看板商品に掲げてきた。実際、様々な試験などを実施している様子がホームページに掲載されているが、実態は安全性は蔑ろにされている。
例えば、過去のcheeroとの境界線になった「Power Plus 3」にも安全性に関する落とし穴が存在する。ごくわずかなメディアが指摘しているが、1A出力を行うUSBポートの過電流保護機能が正常に動作しないことがわかっている。
また、近年の製品ではワイヤレス充電に対応したモバイルバッテリー「Powermix」に至っては、Qi規格策定するワイヤレスパワーコンソーシアムが定める異物検知機能を搭載していないなど、安全性に重大な疑念が生じる製品を多数販売している不名誉な実績がある。
この他にも規格違反などの製品が多く存在し、例を挙げると尽きないためここでは代表的なものを紹介しておく。
このようなメーカーを信頼することをできるだろうか?筆者はNOだ。
・これはPower Plus 3.5だ
筆者は、Power Plus 4を「Power Plus 3.5」として捉えている。
理由は、同社のフラッグシップを名乗るほど洗練された製品ではないことだ。
製品を購入するのは、各自の判断に委ねたい。
しかし、購入するだけの価値がある製品だとは言い難いことだけは言わせていただきたい。