Go Toトラベル2.0 バージョンアップで再開間近?
ようやく緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除されました。
街を行く人はささやかながらも以前より明るさを取り戻し生活しているように見えます。
日々の感染者数も大きく減少し、近々でリニューアルスタートを検討されている“Go Toトラベル” 改め“Go To 2.0”。
さて、ケーススタディを通じバージョンアップし混乱なく開始することはできるのでしょうか。
前回の“Go Toトラベル”を振り返り、現在検討されているバージョンアップ予定の“Go To 2.0”と比較しながら考察します。
◇◆“Go Toトラベル”とは
【目的】
新型コロナウイルスの影響によりダメージを受けた観光業や旅行業またそれに付随する業態が、幅広く利用できる地域クーポンの発行により観光客を取り戻し、地域経済の波及効果をもたらすことを目的としている。
【事業期間】
令和2年7月22日~令和3年3月3月15日
【対象商品】
・宿泊
① 募集型企画旅行
② 受注型企画旅行
③ 手配旅行
宿泊に準ずる寝台列車、クルーズ船、夜行フェリーなども対象
・日帰り
同日中に出発地に戻ることが予定されている運送サービスを含む旅行商品
往復の乗車券と体験型アクティビティがセットになった旅行商品
往復の乗車券と旅先での食事がセットになった旅行商品
高速バスの往復と果物狩り体験などがセットになった旅行商品
など。
【旅客に対して支援される給付金】
・国内旅行を対象とした宿泊及び日帰り旅行代金のおよそ1/2相当額を支援する
・支援額のうち、7割は宿、3割は旅行先で利用できるクーポンとして付与される
・上限支援金は、宿泊の場合1泊1人2万円 日帰りの場合は1人1万円
・上限宿泊数は7泊まで
というものが、ざっくりですが以前の内容でした。
詳しい内容は以下をご参照ください。
今回の“Go To 2.0”に関してバージョンアップ内容はまだ確定されていないものの、検討されている内容は以下のとおりです
(10月14日時点)。
1.ワクチンの接種証明または、陰性証明を提出で割引率がUP
2.クーポン券をデジタル化
3.前回、高級旅館に予約が集中したため、ビジネスホテルや中規模の宿泊施設利用で割引率をUPする
その他、感染拡大防止の為、土日祝祭日に集中しがちな旅行需要を平日の需要にまわすことでまんべんなく利用してもらえるようにしたいとの検討もされているようです。
最近一部の観光地等でも見られますが、ワクチン接種済みのかたとそうでないかたの料金やサービスに違いを出すのはおすすめしません。というのも外国をはじめ、昨今の日本ではそういった違いに対して差別されているという印象を持たれてしまう恐れがあるからです。
実際、ワクチン接種に関しては身体的・宗教などの理由で接種ができないという方もおり、とてもデリケートなことです。
こういった理由から、料金やサービスの違いに差をだしてしまうという手法はアフターコロナの国内旅行だけではなくインバウンドにも精神的に尾を引く悪影響が出る可能性がありますので細心の注意が必要です。
開始時期としては、年内のスタートに向け検討中とのことですが、旅行会社や観光業者及び付随する業種にとってはウェブサイトの更新やポスター制作、その他手続きなど準備が大変なので、実施までにはある程度時間の余裕を持ち準備万全でスタートしたいというのが本音ではないでしょうか?
また、デジタルクーポンを強化するという点では、設備投資なども必要になるケースも出てきそうです。その場合、機器の導入に対して給付金や支援があるのかも気になるところです。
◇◆前回の“Go Toトラベル”での問題点
1.宿泊施設よりクーポン取得できる場合、チェックインしないとクーポンが手に入らない
⇒宿泊先に行くまでの間でも、宿泊先の地域での買い物や食事に利用されることが望まれます。
2.クーポンの不正取得が発生し、携帯のSMSを利用した二要素認証が利用されるようになったが、実際に当日連絡なしの不泊(連絡なしキャンセル)だった場合、旅行会社や宿泊施設からの電話に出なければ旅行会社や宿泊施設は代金を得ることが出来ない
⇒旅行代金や宿泊代金を支払ってもらうために時間を割いて不正者に連絡を取るまたは警察に連絡するようなことがあっては、救済措置であるせっかくの事業も本末転倒になってしまう可能性も否めません。
基本的に、クレジットカード決済をOTAではベースとし、現金払いは不可で事前振込とし、いずれも事前に決済完了した旅客にデジタルクーポンの提供や紙クーポンを出発日までに宅配する流れを徹底した方が良いと思います。
こうすることで、宿泊当日のチェックイン時に混雑による人為的ミスや密を避けられる他、上記の2点の問題も解決できるのでは?と筆者は考えます。
◇◆“Go To 2.0”に期待すること
GoTo2.0を実施、地域経済に寄与すると同時に、旅行が感染拡大に実際に加担しているのかどうかを明確にするための検証を行い、その後の感染拡大防止に繋げて行く必要があると思います。
また、団体旅行であれば、ガイドや添乗員が日々のコントロールを行うことが可能なので旅客の体調管理などをすることにより更に具体的な検証が可能になると思います。
一部では既に検証を含めたGoTo2.0を実施しているようですが、FITの場合についても具体的な検証ができるようにする必要があると思います。
行政云々だけではなく、各旅行会社で個別に旅客からデータを取っておくことも望ましいですね。
◇◆まとめ
前回のGoToトラベル は旅行業や観光業などの救済措置として良い部分も大いにあったかと思いますが、色々な問題提起がされました。
現在再開が検討されるGoTo 2.0ですが、“GoToが始まる=旅行してOK!”というイメージが一般的には認識されているのではないでしょうか。そうなると消費者としては、長らく押さえつけられていた旅行欲求や精神的な圧迫の解放から「今のうちに旅行しておかなくては!いつまた緊急事態宣言が発令されるか分からないから!」という考えになるかと思います。
となるとその結果は想像に容易いので、それを回避する術が無いのであれば、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全国的に解除されたことにより、今まで我慢していた人が動き出しているというリベンジ消費が実際に起きている現状なので、GoTo 2.0という施策をわざわざ掲げて、旅行客の集中を促すようなことをしなくても良いのでは?というのが旅行業務も実際に行っている筆者として正直なところです。
可能であれば、コロナ前と同じように商品を販売し、通常業務が安定して継続できる方が良いのでは?と思います。GoTo 2.0に利用する予定であった財源は、大きくダメージを受けた観光業や旅行業、それに付随する企業に給付される方がシンプル且つ企業の存続、ひいては日本の未来にプラスになるような気もしますが...。
とはいえ、一時的でありながらも消費者にとっては嬉しい施策であるGo To トラベルのバージョンアップ版“GoTo 2.0”。早くて年内、しっかりじっくり準備して年明けスタートなのか、実際の再開時期は不明ですが、旅客や旅行業や観光業、それに付随する方々の笑顔がGoTo 2.0開始前から終了後も続く施策となることを心から祈っています。
ライター:カイトマウリ (JOINT ONE)
コラム元:海外・訪日プロモーション専門広告代理店『インバウンド ONE』