伝法
大阪の釣りスポットとして名高い伝法(でんぽう)。淀川の下流にある伝法大橋へ駅から徒歩3分ほどで、アクセスがよく、かつ釣れる場所として人気のようだ。ここなら俺も釣れるかもしれない。
西九条で乗り換え、伝法駅に到着。
おお、すでに川辺に老いぼれアングラーが3人ほど確認できる。噂どおり人気の釣り場ということか。
老いぼれたちの10mほど下流で、俺も竿を組み立てる。足場はかなり悪いが、釣れそうな雰囲気はある。
一投目!
シュルルルル
特にトラブルなくキャストできた。
今日使っているのはダイワかどっかのちょっといいルアー。デザインが気に入っており、もったいぶってルアーボックスから出したことはなかったが、今日初めて使ってみている。
ふと足元に目をやると、何やらピンク色の物体が
ぷかぷか浮かんでいる。
やけに柔らかそうな円柱状の物体。ん?よくみると、口?からベロのようなものが、、
あ、オナホ…か…
国土交通大臣により国民経済上特に重要と認められた川のみに与えられる称号"一級河川"の名を冠しておきながら、なんという有り様なのだ。
まあ流石は汚いで有名な淀川、他の汚川とは漂着物の格が違うというわけか、
まったく、どこまでも俺を退屈させない川だ…
…ハッ!
オナホに思わず気を取られ、自分の竿のことを忘れていた。まずい。
竿をあおると、ワラの塊のようなものにしっかりと根掛かっている。
無言で腰のプライアーを手に取り、ラインをカットする。
俺はニヤリと口の片端を持ち上げながら、おてんと様とオナホールに一礼して帰った。