若き日のバレンタイン奇行集

皆さん、バレンタインいかがお過ごしですか。

私はチョコをもらえるような男ではないので、さっき一人でチョコモナカジャンボを完食しました。甘くて苦くて多分美味しかったです。

私は今はさっぱりモテないのですが、幼い頃は足が速かったのでよくモテました。

今では周囲がバレンタインで♡が飛び交ってるのを指を咥えて見てるだけですが、多分幼き日の罰が当たったのだと思ってます。小学、中学、高校と、自分はとにかくバレンタイン当日は奇行を働いていたのを思い出して、そりゃお天道様から今懲罰も食らうわなと身に染みて思うのです。

これから如何に自分が愚かなことをやっていたのか書いていきますが、私と同じ様に指を咥えて周囲を羨んでいる方のいい肴になればと思います。これから書く私のような阿呆をやらなければ罰が当たってない証拠なので、きっとチョコをくれる人がいつか前に現れてくれることでしょう。

阿呆過ぎて読んでて頭に来る人もいそうなので、迷った場合は読まない方がいいかもしれません。




バレンタインに対する当時のお気持ち

とにかく怖かったです。

チョコを貰えること自体は素直に嬉しかったので「よっしゃあ!!!」って心で叫んでたのですが、それ以上に事後処理に日和ってました。

その1 政治からフェードアウトしたい

遥か昔に書いた記事でも少し触れてるのですが、自分が通っていた小学校と中学校はとにかく政治的いじめが盛んすぎて、目の敵にされてた自分は悪目立ちを避けたく、モテないしょーもない男というブランディングを徹底する必要がありました。チョコを貰うなど以ての外です。

その2 親に色事を悟られるのが死ぬほど恥ずかしい

シングルマザーの下で育っているので、帰宅後は母と話すのが日課になっており、とにかくからかわれて堪るかとムキになってました。チョコをもらったらお返ししなければならないので、身分的にお金を稼げない自分は母とお返しのチョコを買いに行く羽目になります。手作りもバレないほうが無理なので勿論択に入りません。いずれにしても処刑もいいところです。ニヤニヤされる顔を思い浮かべるだけで敗北感に苛まれます。

その3 プレゼントセンスで男の格を値踏みされるのが怖かった

男でバレンタインに女の子から何をもらったかで値踏みしてる奴は基本見たことないですが(貰えた事実が嬉しい)、女の子は結構お返しに厳しい印象があります。ヤクザの十一とまではいかないけど、安いお金を貸して3倍以上で取り立てに来るみたいなムーブはそれほど珍しくなかった気がします。そんなことない人がいるのもちゃんと知ってますが、当時それくらい治安が悪かったのです。百歩譲って取り立てはいいのですが、何か人間として見下げられる感覚が当時の自分には過酷すぎました。

その4 シンプルに自分がクズ(金が惜しい)

百歩譲って、ちょっと悪いことをして自力で金を捻出することは出来ていたので、こっそり買いに行くという方法もありましたが、この頃はFeがオワッてたので、人の為に使う金があるなら自分の為にお金を使いたくて仕方がなかったです。トレカとかテニスラケットのカスタムパーツとか高額だったので、チョコに払うお金なんかありません。


こんな具合に、バレンタインを楽しんでる余裕はこれっぽっちもなかったです。

先々を考えられるほど頭が良くなかったので、たまたまチョコを貰えてしまった場合には、ここに書いているような苦い思いを何度かしました。勿論、相手は何も悪くありません。

なので、経験を元に少し対策していきました。


バレンタイン1週間前

周囲の男女がそわそわしだす頃です。

この時、自分は片っ端から女子との交流を避けまくってました。というよりぼっちをキメ込みます。ちょっと仲良くしてた女の子には架空の予定を申告するなどテキトーな理由をつけて物理的に距離を取ってました。怪しまれてブチギレられても、めげずブレずで信念を貫きます。

不意打ちにはとにかくぶっきらぼうをキメ込んでました。「へー」とか「知らん」とか「あっそ」とか今思えばマジで最悪です。

如何にして、あいつなんかにチョコなんてくれてやるか、と思わせることだけを考えてました。


バレンタイン当日

原則として学校を休みます。

逆に変な噂が立ったりもしましたが、内側の世界で起きてなければ数日軽く冷やかされる程度なのでイッツオーケーです。

授業関係でどうしても欠席が不可能な場合もあって、その時はとにかく部活もテキトーに休んで帰りのホームルーム後に一目散に猛ダッシュで帰ります。帰りの出待ちに捕まってはこれまでの努力がすべて泡沫になるからです。

それから、下駄箱についても一工夫してました。

下駄箱にお菓子を入れてくれるような他クラスや他学年の女の子もたまにいるので、ここも対策しました。

この日だけは、外履きを包む用に薬局の透明じゃない袋と、上履きのスペアを持ってきて、構内に居る時は上履きのスペアを下駄箱に入れ、外履きは袋に携帯して教室の机にぶら下げておきます。こうすれば、下駄箱を見た人は私が登校してないor帰宅済みだと解釈してくれます。


エラーハンドリング

たまにこちらの回避性能を遥かに凌駕してくるスーパーアタッカーが何名か登場したので、そこは即興で頑張りました。

腕力&脚力ゴリ押し型

周囲の目など気にせずにホームルーム終了後の猛ダッシュに付いてこれる、または先回りしてトウセンボしてくる強者です。ひどい場合だと走る自分を後ろから猫のように服の襟を捕んで振り回し、床に叩きつけられたこともあります。空手をやってる武闘派ExxJに多かったです。こうなったら勝ち目がなくて小技は効かないので、パクセロイ式でまずはスルーを決め込みます(最低です)。それでも大抵は効果無しなので、人目に付かない所まで連れ出し、その場で貰ったチョコを食べてコンビニでチロルチョコとかを即日返却して精算完了です。帰宅後は床に転んで負傷した顔のアザを母に咎められることがたまにあったので、喧嘩したとでも言えば完璧です。

周り見えてない型

下駄箱対策が通じない人がたまにいました。多分状況把握があまり得意な人じゃなかったんだと思います。翌日普通に下駄箱にお菓子が入っててちょっと面白かったです。きっとINxJとかだったのかなとか思います。これはシンプルに帰りにお菓子だけ美味しく食べてお返ししないだけです(ただのクズ)。それだけ視覚情報に頼らない生き方をしてる人なんだろうから、お返しがなくても間違って違う人の下駄に入れてしまったんだろうとか思ってくれるかなとか考えてました。

ゲリラ型

バレンタイン周辺の日程だけしか対策してなかったので、微妙に日程をずらして奇襲してくる賢い人もいました。ISxPとかxNxJに多かったです。中にはテニスの大会(11月とか)でそれをやってくる他校の人もいて、超幸せ者なのか超不幸者なのかわからなくなったこともあります。あとは高校のときに先生から奇襲されたのは流石に想定の範疇を超えていてビビりました。これらは全部「腕力&脚力ゴリ押し型」と同じ方法で乗り切りました。先生に至っては翌日以降全然勉強を教えてくれなくなってしんどかったです。

自宅ストーキング型

これが一番キツかったです。素行が悪かった所為で悪目立ちしてたので、同学年の大半が自分の住所を知ってました。学校を休もうが、下駄箱対策しようが、猛ダッシュで帰宅しようが関係ありません。後からピンポンしてくるだけです。母がいなければ居留守決め込むだけだったのでいいのですが、こういうときに限って母が休みだったりします。もうこれは言い逃れしようがないので、せめて母に状況を見られる前にピンポン来たらすぐに自分から外に出て、「腕力&脚力ゴリ押し型」の時と同じ方法を適用しました。この方法は万能です。とはいえ、私が挙動不審すぎて多分母は何かを悟ってた気がするので最早形式的な対処でしかありません。


逆にイベント化される

自分としては、

「え、なにアイツ、貰えるかどうかも分からんのに自意識過剰でキモっ」

みたいな滑稽さで顰蹙を買ってもらい、それを逆手に乗り切る気でいたのですが、逆にネタになってしまったことがあります。

「おい、アイツまた始まったぞ」

って悪ノリした一軍ESFP男子とかが、せっかく頑張って培ってきたこのブランディングを破壊しに来ます。

具体的には、これまで対策してきた事項のすべてに逆張りしてくる形で集団戦を仕掛けてきて、最早本来のハートフルなチョコを渡す甘い甘いイベントから、いかにして私にチョコを押し付けて恥を掻かせせるかという見世物に変貌しました。


トドメ

そうやって、見事術中にハマった自分は結局母とお菓子を買いに行かねばならなくなったこともあり、本当に恥ずかしかったです。あまりに恥ずかしそうにしてるので母のほうが気を遣ってくる始末でした。

今思えば、この時から多分天罰は下り始めてます。


最後に

阿呆極まりない奇行をしていたと今では分かるのですが、当時はまったく奇行を働いてるなんて思ってませんでした。思い込みって本当に怖いです。

こんな馬鹿げたことをやってる人は絶対いないと思うので、皆さんはきっとこの先も楽しいバレンタインを過ごせるはずです。

私はこれからもあの頃のツケを精算していくだけです。

それではハッピーバレンタイン♡

オワり

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