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龍が如く7外伝を遊んだ感想・ざっくり編

世界観を補強する音楽が素晴らしい!

まず最初に書いておきたい。
龍が如く7外伝は、音楽がとても良い。素晴らしい!
これまでの龍が如くとは一味違い、ストリングスが多用されていたり、テクノ感のあるものが多く、胃もたれしにくい。

とくに素晴らしいと思ったのが、序盤のイベント戦闘時から流れる「In Full Blast」。

「伝説の龍」と呼ばれ、もはや完成された強さと実績を持つ桐生一馬という人間が、表舞台を離れ、身を隠し、「エージェント」という立場で、これまでの荒々しいスタイルと違う「大道寺式活殺術」で闇の中、葛藤と共に躍動していく。

不穏さ、荘厳さ、力強さ…形容するにはいろいろな言葉が思い浮かぶが、本作が持つ文脈を見事に音楽の中に混在させている。
掴みとしてはこれ以上なく雄弁な音楽だ。

寄り道要素にこそ真髄あり

そんな音楽から始まる本作はさぞかしノワール感の強いシリアスでハードボイルドなゲームかと思いきや…

社畜感すら漂うオープニングの桐生チャンだが…

安心してください。いつもの龍が如くですよ!

主人公・桐生一馬はいつも通りに、義理人情で自らを顧みず、無茶・無謀の極みで理不尽に抗っていく。そしてたまに(そこそこ?)やらかす。

寄り道要素(サブストーリーやミニゲーム)が豊富で、ストーリーの合間に「お前やることあるんちゃうか」というほど遊んでしまえるのもそのまんま。

龍が如くの寄り道要素というのは「延々と村の外でスライム倒しててええんか?w」というRPGのおかしみが、現実の日本っぽい世界の、シリアスな裏社会の文脈の中で表現されることで何倍にも増幅される、なんとも趣深い(でも最高にバカバカしい)遊びだ。

今作でもそれは変わらない……明け暮れることができるのは変わらないのだが、輪をかけてバカバカしいのが、桐生一馬は表向き死んだことになっており、とある組織のエージェントとして活動しつつも、生きていることを知られてはならない立場だということ。
そもそもその組織自体も言わば世を忍ぶ秘密結社。

アジトでレトロなゲーム機が遊べる福利厚生の充実した秘密結社です

スマホ全盛のネット社会で、二重にも三重にも知られてはならない立場だというのに、13年前にも訪れ(それなりにブイブイ言わせ)た初めてでもない土地で、明け暮れることができるのだ!

「アホか!バレんだろ!www」
wが何個もつくのがポイントだ。テンプレ的に3つにしておいたが、何個あっても足りないだろう。

これまでのシリーズでも、街中で敵対勢力に狙われる状況や、素性を隠して生活しているときがあったが、大いにケンカし、遊び、人助けに明け暮れることができたが、今回の「んなことやってる場合か」感はシリーズ最高峰と言って差し支えない。
普通なら街の人の些細な御用聞きとか、お悩み相談とかミ◯四駆の対戦相手だのやってていい立場じゃないと思うのだが、そんなときでも桐生一馬は平常運転なのだ。

最速ミニ四駆おじさんは組織のエージェント(厨ニ感)

ただ、ストーリーの終わりに、桐生がとある贈り物を受け取り、感情を抑えきれなくなると場面がある。
桐生のこれまでの足跡が報われる話なのだが、これがサブストーリー等の人助けにも言える話だと思うと、これまで小さい要素もきちんと遊んできて良かったという感動を得られた。
感じ方次第の強引な解釈かもしれないが、こういう点においても、シリーズ最高峰に寄り道の意義が大きいと感じた。
過去作もいっぱい寄り道して遊んでると、その分も感動も大きくなるぞ。

最も納得感のある戦闘システム

どうも龍が如くシリーズは、戦闘のゲームバランスがボリュームに繋がると考えていたフシがあるのか、過去作ではなかなかゲームバランスが安定せず、作品をまたぐたびに極端な強ムーブがあったり、はたまた敵が理不尽に強く・固くなる、桐生が弱体化するということがよくあった。
そのため、ハッキリ言ってこのタイトルが出るまではシリーズ通して納得感は得られていなかった。

それに比べれば少しイージーで、上級者には物足りないのかもしれないが、今作は戦闘が快適で、桐生一馬をレジェンドたらしめる強さを存分に楽しむことができる。理不尽さも無く、単独主人公最終作にして、ようやく最高峰に到達したと言っても過言ではないだろう。
(最終盤に覚えるヒートアクションの条件が簡単すぎて、若干やりすぎ感があるのはタマにキズ)

モード中なら敵の前に立つだけ!武器無くてもOK!
エージェントスタイルでも敵の人数が条件の似たようなのがあるぞ

最も効率の良い金策が戦闘によるもの(闘技場)で、その金策が能力強化にも繋がるところも、明快で良い。

クランクリエイターの進化版的な要素もあり、めちゃくちゃ楽しい闘技場

ただ、能力強化に関しては、ある程度以降は寄り道コンテンツ(赤目ネットワーク)によるポイントも併用しないといけない。
総量は余りあるほど多いので致命的な問題ではないが、そのポイントを使えるショップも存在しており、そちらにガンガン回してしまうと後々少し手間なのは罠なのかな、と思った。
自分も使い切るほどではなかったが、それなりにショップでポイントを消費した結果、最後まで強化をするためにはポイント効率の悪い活動記録(いわゆるコンプリート目録埋め)に頼らないといけなかった。

あ、そういえば、カタログっていう設定たいして生きてなかったけど、要りますかねこれ(笑)

やらかしも最高峰?

どうしてゲームのキャラクターは、服を変えてサングラスをかければ正体がバレないと思っているのだろう。そんな疑問を初めて抱いたのは、ロックマン6を見たときのことである。

20XX年代のハイテクロボットは左上の人と左下の人が同一人物だと気付かない。

というのはどうでもいいのだが、桐生一馬も組織の人間も、髪型すらそのまんまで、グラサンとスーツだけで身を隠せると思っているのだろうか(笑)。オープニングじゃグラサンすら外してお店入っちゃってるし!
「極」で般若面を付けて普段と違うスーツを着た男を即座に真島と見抜き、6で服装はそのまま、目出し帽をかぶっただけで敵地潜入をした桐生チャン、本当に杜撰で笑うしかない。

これなら素顔はバレにくいかもしれないが、変すぎて逆に素性が気になる

さらには服装どころか、話を進めるとそもそも「桐生一馬が死んだと思っていない」人が多すぎてさらに笑った。
ア◯◯オにすらそう思っていない子がいるのは爆笑一歩手前であった。笑うシーンじゃないのにね。
ただのバカバカしい話で済むならいいのだが、死の偽装に至る取引の中で人質を取られているも同然なので、身バレは致命的。フィクション的な都合があるとはいえ、果たして正しい判断だったのか疑ってしまう。

今までもわりと判断、というよりか決断ミスというやらかしが多い桐生チャン。そりゃ人間完璧じゃないからね、そんなもんかもしれないね。
フィクション的なバカゲー感とのはざまで、そんな人間臭さを味わえるのが龍が如くの魅力の一つだ。

こちらは「極」のスクリーンショット

これはあくまで僕個人の解釈だが、僕は遥に対して、「1」での澤村由美の最期の言葉に反して「6」で運命に抗わず逃げたと見ている。
そして、そのことが引き起こしたいざこざの結果、死を偽った桐生もまた、満身創痍であろうとはいえ、逃げたのではないかと思っている。
(いくつもシリーズ作を出しながら、十数年の生き様、成長を描いた上、そんな因果を紡いでしまうことはすごいことだ)

一方で、正しい判断だったのか疑ってしまうとは書いたが、今作では結果的には桐生がその問題に打ち勝ったのは事実だ。
棚ぼたな気もするが、これまでも割とそういうことばかりだから野暮というか…それもまた彼の気概と縁のなせることなのだろう。

もっとも、あくまで「今作では」である。
本作の終わりはいつもと違い「続」という一文字で締めくくられる。
8ではどうなるか。楽しみでもあり、もうやめたげて!という気持ちもあるが、どう転ぶだろうか。

春日一座の桐生一馬に期待!

12月には書き始めたこの記事だが、気付けばもう「8」の発売まで一週間を切ってしまった。

今月から復習として「7」を再びプレイし始めたのだが、改めて、桐生一馬の龍が如くとの違いを強く感じている。

「7」は、同じ日本の同一線上の時間を舞台にしていながら、新しい主人公、春日一番の元、世界観がデザインし直されたことで、バカゲー要素すら世界の一員として馴染むようなテイストの作品として成立している。

顔見知りだらけの場所でモジャモジャについて聞く桐生チャン

そこから翻って見ると、桐生一馬の龍が如くは、メインストーリーという芯があり、とくにサブストーリーに顕著なのだが、世界観や桐生一馬のキャラクターとのギャップを楽しむように肉付けされた作品群であると感じる。
これは本作にも言えることで、その点でもまとめの一作であったと思う(「単独主人公最終作」という看板が終わる終わる詐欺でなければだが)。

そんなシリーズを歩んできた桐生一馬が本作を経て、「8」で春日一番と合流する。ダブル主人公ということにはなっているが、RPGスタイルであることを除いても、メンツやシステム、スペシャル体験版の手触りから、実質的には「7」のテイストの上でに桐生一馬が”参戦”するというような構図になるだろう。

脇道中心にユニークさはあったものの、割とシリアス・シビアな物語を突き進んできたからこそ、桐生一馬は、その中でどれだけ有機的に世界に入り、活躍してくれるのかが楽しみだ。

さらには、これまでの情報で「8」では重篤な癌に侵されていることがわかっているが、どういった病態なのか、そして「8」を生きて終えることができるのかも気になるところだ。
そういう意味では、ハンデのない桐生一馬は本作が最後になるだろう(奇跡の寛解なんてウルトラCでもない限りね!)が、それに見合うだけの完成度、爽快感が楽しめる一作だった。
いい作品をありがとう、龍が如くスタジオ、そして桐生一馬!

酒のタバコも罪悪感なくやれるのは今のうちだけ!

この記事はざっくり編というタイトルにしたが、細かく書きたい(ツッコミ入れて笑いたい)ところは他にもいろいろあるので、また書きそうな雰囲気にしておいて、今回は筆を置く。

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