田舎者芸能界に挑む
ニコッ♪
とした笑顔でそこに立っていたのは、事務所の方だろうか?女優さんだろうか?小柄な可愛らしい女性。
女性「オーディションの方ですか?」
私『あ、は、ハイ!』
そう言われて、小さな玄関から奥を見ると、壁際に何人も人が座っている。
奥からは、時折大きな声が聴こえてくる。
一気にソコは緊張の空気が張り詰め、オーディション会場となった。
女性に促され名前を確認し、必要書類に記入を行い待機。その間にも、出入りが行われ
『ありがとうございました!!』
という、大きな声で玄関を跡にする人たちの姿が。そして、こんな時に誰しも陥るアノ
皆凄い人に見える感
(パネー。。。(-_-;) )
これはヤバイぞ。。
何か台詞回しとか聴こえてくる。。
オーディションって言っても、そうか!?皆が素人な訳では無い!演劇部であったり、いくつも受けてる人もいるんだ。所謂『場慣れ』している人がいる感じ。
これは。。。
もしや恥をかきにきたのではないか!?
本来、小心者の田舎者は、集団面接が行われているであろう会場内から出てくる人々を見送りながら、全く動じてない自分を繕い続けた。
そして、その時は来た。。。
「では、○○番から○○番までの方どうぞ。」
キタ━━━(゚∀゚;)━━━ !!!!!
薄々、いや、実をいうとかなりハッキリと少し前から分かっていた。
この組で明らかにトップバッターだと!!
何というアンラッキー。。
前の人の出方を見てとか、前の人の間に考える。などの、孫子の兵法が全くもって通じない!!
目の前に存在するのはまさに
フロンティアスピリットのみ!!!
面接会場の扉を開けるまでのこの間、約一秒(笑)
開き直るのは得意なので腹を決めて突入!!
『失礼します!!!』
と、目に飛び込んできたのは、三人の面接官。
両脇に女性が二人、真ん中に男性が一人。
明らかに真ん中の男性にはオーラがあった。
(あれ?どっかで見たことあるなこの人。。)
芸能事務所のオーディション。役者さんがいても何も不思議なことではない。確かに男性は他の人とは違った空気を纏っていた。
が、そもそもテレビをあまり見てない私にとっては、誰なのかは解っていない(笑)
あっという間に、自己紹介(名前と年齢)をし、席に着く。
そして始まった。
普通に生活していたら味わえない、あのなんとも言えない非現実的な空気。
資料を渡され、目を通す。
【戦場にかける橋】
【免許がない】
何度も言うが、テレビを見ない。なので映画もほとんど知らない。そんな人間が役者になりたいと言って、オーディションを受けに来てる。
滑稽である(* ̄ー ̄)
知る筈がない。
いや、耳にした事ぐらいはあったかもしれない。けれど、内容なんて知ってる人すら知らない。。。
なるほど!これは落ちたな(笑)
早くも逆に吹っ切れた。
「では、まず門田さんから、朗読を行っていただきます。立ってどうぞ。」
資料は、『戦場にかける橋』の中の一文が書かれていた。
読んだ。必死に読んだ。感情を込めて読んだ。感情の裏を読んで読んだ。
小学校の時、宿題で【本読み】があった。毎日母に本読みを聴いてもらった。小さい時は絵本を毎日読んでもらった。
なので、本を読むことは全く苦にならなかった。むしろ好きなぐらいだ。
句点で一呼吸置く事、句読点でふた呼吸置く事を意識し、抑揚もわかる範囲でつけた。
毎日毎日行った経験が、こんな時に【自信】となり現れる。お尻の穴まで汗だらけになったが、読み終えた後に面接官の男性からこう聞かれた。
男性「演技かなんかやった事あるの?」
直感でコレは褒め言葉だと確信した。