田舎者停学(恋愛編)
先程も言ったが、バスケ部が通路で男子と女子で分かれていた。
バス進行方向にて、左は男子、右は女子、通路にワシ。
ベスパの話もそうなのだが、思いのほか普通に話ができる。まあ、お互い知らない訳では無いし、全く会話したことなかったわけでもない。サバサバした感じでとても話しやすい。
初めて長い事話しながら、道中が楽しくてたまらなかった。
そこからか、部活中言葉を交わすことや、挨拶することが増えた。
と言っても、そこで恋愛感情が生まれてたかと言われると、まったくそうではない。
あちらには彼氏がいたし
(いたのか?片思いだったのか?)
その情報は知っていた。自分も自分で恋愛はしばらくいいやと、部活に萌えていた。いや、燃えていた。
そして、三年生が総体で引退し、新キャプテンに指名される。
責任感の強いA型の長男。
意図せず体や心を壊すタイプである。
プレッシャーもあったが、何より部員数も少ない中、新チームは、セッターすら経験者がいなかった。
セッター
主にスパイカーにトスを上げる選手。野球でいえばキャッチャーで、コート上の監督と言われるほど、バレーボールにおいて最も重要な役割を担うポジション。
歴代のチームには、ちゃんとセッターをやってきた先輩方がちゃんといた。けれど、我々の世代には、セッターというポジション専門の人間は皆無であった。
さあ!どーする!!
チームは一から作り直しである。
スポーツというのは、何でもそうだが、見るより10倍も100倍も難しい。
とにかく練習しかなかった。
そして、女子バスケ部は、何故かというか、やはりというか、中途入部でありながら、中学時代と同じく、その子がキャプテンになっていた。
吐きながら、蒸発してしまうのではないかと言う程の、真夏の苦しい練習を乗り越え(当時は練習中の水分はご法度)、九月の新しいチームでの県の新人戦直前、燃えに燃えていたキャプテン門田は
停学を言い渡される。