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プロモデラーの師匠と情けない俺の話 第二話 〜出会うきっかけ~
高校三年の夏、進路を考えなければいけない時期だったが家庭の事情で金銭的に厳しくとてもじゃないが進学する気になれなかった。今では珍しくもないが当時は親が離婚し母と六つ上の兄と三人暮らしで母は精神的な病気もしていたのでその日その日の生活をすることで頭がいっぱいだった。
兄が就職して仕事をしていたので何とかなっていたという状況なので高校卒業後は親父の実家の仕事に就職させてもらうことをある程度考えていた。離婚したあとも親父とは関係は良好だったので頼み込めば進学も出来たと思うが進学の為の情熱も学力も無かったから働いた方がいいと思っていた。
そんなある日バイト先の近くにある町のおもちゃ屋Iに立ち寄った。普段から暇なときはおもちゃ屋、ゲームショップ、本屋、CD店、ゲーセンをぶらぶらしていたのでこの日もそんな感じだった。
ただ、どういうわけかこのときはおもちゃ屋Iのおじさんに話しかけた。正直普段話をするほど仲がいいわけでは無かったから今思うと不思議である。
おもちゃ屋Iのおじさんとの雑談の中で進学の事や身の上話や子どもの頃からずっと続いてる趣味はガンプラで中学生の時にお年玉でエアブラシを買いホビー誌を読み漁り見よう見まねで塗装したり作ったりしているのでそんな仕事で就職先があったらいいのに、なんてことを話した。するとそのおもちゃ屋Iのおじさんが「知り合いにプロモデラーがいるから紹介してやろうか?」といってくれたので頭の中は?でいっぱいで信じられなかった。
俺「東京ですか?それとも地元にいるんですか?」 おじさん「地元だよ!この町にいるよ!」 俺「プロモデラーってどんなもの作ってるんですか?」 おじさん「ガンプラのパッケージ写真の仕事だよ」 俺は他にも色々な質問をたくさんしてたと思う。誰でも知ってる超有名なガンプラのパッケージ写真撮影で使う為のガンプラなんて都内の事務所で制作されてるものだろうと思っていたので田舎町で作られているなんて想像もしてなかったから衝撃的でなんか嬉しかった。こうして後日町のデパートのフードコートでお会いして話をしてもらえる約束をとりつけてもらった。