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2020年コロナの旅15日目:ストックホルムの大晦日

2019/12/31

波乱の2019年がいよいよ、終わる。大みそかである。この日も時差ボケと体調不良とで起きたのはすでに昼頃。そうなると高緯度帯の冬のことで、既に日が暮れかけている。起きたとき既に日が傾いているというのは退廃的な気分を煽るものである。

お松はこの日、友達とカウントダウンパーティーをするという。誘ってくれたが、私は具合が悪いので行かないことにした。


しかしクリスマスを移動に費やしてタイでもスウェーデンでも楽しみ損ねたのが心に残っており、せめてヨーロッパの、日本と違う大騒ぎの大みそかを体験してみたいという気持ちがあった。


疲労に身を任せてお松の家のソファに横になりながらグーグルで調べてみると、どうやスカンセンという放し飼い動物園とスウェーデンの古い建物の博物館を合わせた様なところで大規模な年越しパーティが催されるらしい。しかし入場料1700円…


体調を考慮すると長居はできそうにないため、あまりかしこいお金の使い方とは思えない。無料の楽しみ方はないか。


と考えてググってみると、やはり無料のオプションもかなりあるようだった。その中でも、街の中心部で行われるという大規模な花火のショーが興味深く思われた。


ハッシュブラウンとモッツァレラチーズで腹ごしらえをして脂っこさにめまいを覚えつつ、身支度だけは整えて家を出る。


寒中をいつも通りスリュッセンまでバスで参り、花火会場に着いたはいいが、どうも始まるまでまだ数時間あるらしい。MAX(※スウェーデンのハンバーガーチェーン)でそれだけの時間をつぶす気にはなれないし、思い切って家に帰って仮眠をとってから出直すことにした。それだけ体力もなかったし、往復しても1時間ほどの道のり、バスも電車も乗り放題なのでそれが一番体にもお財布にも優しい選択肢に思われた。


お松の家に帰ると、当然ながらお松はいない。疲労、のどの痛み、水っ洟。風邪をひいてしまったことは間違いない様だ。暗い部屋、ソファでブルックリン99というアメリカのコメディをみながらまどろんでいると、いつしか眠りに就く。

目が覚めると、2020年1月1日午前3時であった。花火はとっくに終わっているだろう。静まり返った部屋。病人が一人寝ているにはあまりに広大なその家は、お松によって美しく飾り付けられており、それが却って物寂しい。

せっかくの年越しも寝過ごしてしまった悔恨。人の家に厄介になっておきながら病気でぐったりしているというのも迷惑をかけている気がして心苦しい。とはいえ、できることは少ない。わたしは、せめて寝床を汚染してはならないと思い、ソファで眠り続けることにした。

これが私の2020年の始まりだった。


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次回予告

2019年12月17日に始まった私の世界旅行。1年越しに当時の出来事を、当時の日記をベースに公開していきます。

明日は2019年1月1日。ストックホルムで元日をむかえます。お松の家を去ることになり、辿り着いたホステルは魔窟のごとし。新たな出会いと別れの2021年が始まります。

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