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2020年コロナの旅14日目:ストックホルム市庁舎の寒風、寂寥
2019/12/30
疲労と寒さからかなり体調が悪く、活動を開始したときには昼を過ぎていた。辺りは既に暗くなりつつあり、せっかく異国の地に来て何をしているのだろうかと焦燥が頭をもたげるが、熱があるのか体がうまく動かなかった。あまり遠くへ行く気はしなかったので、グーグルでストックホルムの見どころを調べると必ず出てくる市庁舎、「Rådhuset(ロードヒューセット)」に行ってみよう。
家を出た時刻は午後3時前。曇り空であるためもあってか、もう夕闇が迫っている。市庁舎に着いた時には3時半になっており、日は殆ど暮れていた。ロードヒューセット駅から出て目に入る市庁舎のたてものは確かに美しく威厳がある。
中に入ってみると、なるほどこれは興味深い建築である。中に入ると言っても、本当の建物の内部に入れるわけではなく、それには予約が必要とのことであった。私が入ったのは建物に囲まれた中庭のような部分であった。赤レンガの建物はコの字型になっており、海に面した一面は渡り廊下のようになっている。
渡り廊下はアーチ状に柱が並んでおり、整然とした印象がある。中庭の一角にはクリスマスツリーも未だ電飾も外されずに置いてある。
渡り廊下を横切って外に出るとちょっとした公園があり、その向こうには暗い海を隔ててストックホルムの街が光る。わずかに残る日の光が曇天を経て青い灰色になったものが濃紺にうねる海を暗く照らしており凄まじい。海からの潮風も吹きすさんでおり、その情景はたいへん物悲しかった。
少し体調が悪いのも手伝ってか、少し感傷的になる。2019年ももうすぐ終わる。私のこの度は、そして人生という旅はどこへ向かうのか。心細さがないと言えばうそになる。
一通り見物をした後、友人のロヴィサが昔教えてくれたエリクソンボールなるものを見て帰ることにした。エリクソンボールは通信会社のエリクソンが建てたドームらしく、球場の建築物では世界最大らしい。
ロヴィサに聞いた通りゴットガタンという通りに来てみたが、どうもエリクソンボールらしきものはない。代わりに、というか、通りの向こうを見遣ると非常に奇妙なことになっている。
遠くの街が舞台の書き割りのように見えるのである。サーチライトのようなものに照らされて、一部が浮かび上がっている。なんじゃあ、こりゃあ。ストックホルムの街は作りものだったのか。私は夢でも見ているような、もしくはトゥルーマンショーの登場人物にでもなったかのような奇妙な感覚を覚え、体調不良のせいだろうと思い一度近くにあったMAXで休憩することにした。
あとで気づいたのだが、というか当時気づかなかったのがバカバカしいのだが、その照らされていた「書き割り」がエリクソンボールだったのだ。それほど巨大な球体だったということである。
お分かりいただけただろうか…
MAXで小腹を見たし、家路につく。
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次回予告
2019年12月17日に始まった私の世界旅行。1年越しに当時の出来事を、当時の日記をベースに公開していきます。
明日は2019年12月31日。スウェーデンで迎える大晦日。スカンセン?花火?いろいろ計画するも忍び寄る病魔(風邪)…
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