【注意喚起】警戒標「高圧ガス」の表示義務【高圧ガス保安法】
街中ではトラック等で「高圧ガス」の表示を付けた車両が走行しているのを見かけるかと思います。
これまで「表示されているな」とは思っていましたが、そのような状況下で表示義務があるのかを知りませんでしたが、今回、消火器やLPガスを積載する機会があったので調べてみました。
高圧ガス保安法
まず根拠法となるのは経済産業省が管轄する「高圧ガス保安法」です。
ここに「移動」についても規定されています。
車輛での運搬時の注意点
根拠法が経済産業省の「高圧ガス保安法」であり、国土交通省の「道路交通法」ではないため、違反した場合、違反者(運転者)が違反切符を切られて終わり等ではなく、刑事事件として取り扱われます。
刑事事件として取り扱われるため、運転者だけでなく、運転使用者も罰せられる可能性があります。
表示義務となる条件
高圧ガス保安法では、以下の状態を高圧ガスと規定されています。
また基本的には高圧ガスを運搬する場合には掲示する必要がありますが、少量であれば掲示義務がなくなります。
消火器はどうなのか
一般的な消火器の圧力は0.7~0.98MPa程度と設定されており、1MPa未満となっており、高圧ガス保安法に定められる圧縮ガスに該当しないため、消火器を積載する際には表示義務はありません。
ただし、可燃性ガスまたは酸素を移動するときには、消火設備を常時積載する必要があります。
LPガスはどうなのか
LPガスはその名の通り、加圧冷却した液化ガスです。
LPガスは該当しますが、20L以下の容器に合計40L以下であれば表示義務が免除されます。
表示方法
高圧ガスボンベは火炎にさらされると、内部圧力が上昇して爆発するおそれがあり、可燃性ガスは漏えいによる爆発・火災の危険性もあります。
また、ボンベに強い衝撃を与えることによる爆発もあり得ます。
そのため、事故等の対応に影響が出るため、車輛に表示義務を課しています。
高圧ガスステッカーは、警戒標といい、蛍光色の黄色による「高圧ガス」の文字が書かれたシールです。
運転者自身が資格等を取得する必要はありませんが、以下の方の同乗が必要で高圧ガスの監視しなければなりません。
掲示場所
掲示場所は車両の前方及び後方から明瞭に見える場所に掲げることとされており、小型の車両にあっては、両面標示のものを運転台の屋根の付近の見やすい場所に掲げても可となっています。
軽トラック等では荷台後部に掲示している方が多いですが、それだと厳密にいえば違法となっている可能性があります。(おそらくいきなり刑事事件とはならない可能性が高いですが、注意を受ける可能性はあります。)
大きさ
警戒標の横寸法は車幅の30%以上、縦寸法を横寸法の20%以上の長方形とし、黒地の金属板に日本工業規格K5673「安全色彩用蛍光塗料」の蛍光黄による文字で「高圧ガス」と記載したものが標準とされています。
正方形又は正方形に近い形状の警戒標を用いる場合には、その面積を600平方cm以上とすることとなっていますが、デザイン的には横書きの方が優れていると思います。
ステッカータイプとマグネットタイプがありますが、必要に応じて別の車輛に付け替えることを考えるとマグネットタイプの方が便利です。
その他
車両用緊急防災工具と携行書面(通称イエローカード)も必要となります。
イエローカードは高圧ガスの移動について、液化石油ガス保安規則第48条18号及び第49条9号の規定により、 移動中の災害防止のための必要な書面(移動中の災害防止のための注意書)を運転者に交付し、移動中携帯させ、 これを遵守させることが義務付けられています。
まとめ
周囲への注意喚起として、高圧ガスを積載している危険性を知らせる意味を持っていました。
「危」や「毒」と掲示しているトラックも街中で見かけますが、それぞれルールと意味があって掲示しています。
一般的な生活をしているとなかなか触れる機会の無い世界ですが、知らなかったことを知ることが出来ると面白いですね。