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ぐるぐるジェラートインタビュー #01 街と人が混ざり合うコミュニティづくり

「建てない建築家になりたい」「長崎でワイナリーを経営したい」

新卒というアドバンテージを投げ捨て挑んだ、ジェラート屋経営の道。日々迷いながらも、明確に据えた目標の為に試行錯誤する二人のクリエイター達に”原点”を聞いてみました!

鶴元 玲一郎(24):武蔵野美術大学大学院 造形構想学部 修士課程2年 / guruguru株式会社取締役。シェアハウスや古民家活用を考え、「建てない建築家」を目指す。
金光 良太(24):ぐるぐるジェラート店長 早稲田大学人間科学部卒業。飲食を通した人の繋がりに魅了され、鶴元と共にぐるぐるジェラートを開業。

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(左:鶴元 怜一郎 右:金光 良太)

街のジェラート屋さん「ぐるぐるジェラート」のぐるぐるってなに?


ー 何度かジェラート食べさせて頂いて、非常においしく感じたのですが、そのおいしさのためにこだわっている事があれば教えていただきたいです。

金光:
ジェラート全部北海道の釧路の牧場から直送してもらってて、保存料とか増粘剤もあまり入っていないのを使用してるので、めちゃめちゃ新鮮で、それがおいしさの理由かな

鶴元:
ほとんどのアイスクリーム屋さんって、まず常温で牛乳を仕入れて、それを店で混ぜてて、いかに牛乳を0℃以下の状態をどんだけ長く保てるかが勝負になって来ちゃうんですよ。一回でも空気に触れるとどんどん新鮮さが落ちちゃうから。うちはもう牛さんがミルクをお生みになった瞬間から冷凍してこっちに送ってもらってるからすご新鮮で美味しく出来るんです。


ー 素材からこだわっている、ということですね。ぐるぐるジェラートという名前がすごく可愛くてすてきだと感じたのですけど、由来などありますか?

鶴元:
ありますね。由来はさっき言ったんですけど増粘剤っていう、普通アイスクリームにすごい使う、もうその材料だけ入れればやわらか~く人が食べやすく滑らかにする材料があるんですけども、それをあんまり身体によくないからうちは使ってなくて、それってことは、自分で混ぜなきゃいけないんですよね。
ぐるぐる、ぐるぐる。だから、まぜまぜぐるぐるするって意味のぐるぐる、って意味と、あと、せっかく駅前でお店やってるんですけど駅前だからってお客さんを全部牛耳ってみんな買ってくれ、っていうよりは、駅前だからこそ地域のハブになるような店にしたくて。だから、地域をぐるぐる混ぜよう、ってことで地域のいろんな近所の味噌屋さんとか豆腐屋さんからおからもらったりとか、それをジェラートの上にトッピングして提供してるんですけど、地域を混ぜるっていうぐるぐると、ジェラートをぐるぐる混ぜるっていう2つの掛け合わせでぐるぐるジェラートにした、って感じです。


ー 今こう、お話しの中で【地域】というキーワードが出たと思うんですけども、HP拝見したときに、《まちと溶け合うジェラート屋さん》というコンセプトを掲げていらっしゃると伺いました。その《まちと溶けあうジェラート屋さん》に込められた想い、というものを教えてください。

鶴元:
元々、九州ふたりとも出身なんですけど、結構東京出てきたときのギャップとしては、九州ってすごい地域に根ざしたお店作りがベースとしてあって、もう近所の何々さんの家の豆腐がなくなったから持ってってあげよう、とか、もう逆になんか、店があんまり商品売れていないなって地域通った人が気づいたらちょっといつもより多く買ってあげる、とかすごい地域間の繋がりが非常にあって、そういうの当たり前だなと思って育って上京してきた自分達からしたら、東京の店づくりってちょっと違和感があったりして。
だからまあ自分たちは、九州の時に育ったこの街並みにあるようなお店のような作りをしていきたいね、というのがあって、結構…あ、いまジェラート屋さんだけじゃなくてラーメン屋さんとか、今度呑み屋さんもオープンしたりするんですけど全部やって一貫して顔の見える距離感でのコミュニケーションみたいなの大事にして店づくりしてますね。

金光:
やっぱこう助け合いっていうのを、なんだろうなあ、自分たちが育っていく中で学んできたので。学んできたというか、肌で実感してきたので、それを上手くこう自分たちで伝えられるような店に出来たらいいなっていうのは感じてますね。

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街と繋がる体験

ー 街とのつながりをとても大切にされているとのことなんですけども、ジェラート屋さんなど色々やっていく中で、実際に街の人とのつながりを感じた印象に残っているなどありますか?

鶴元:
新型コロナが世の中的にも結構蔓延して、お店営業することをどうするかっていうのを結構社内でも考えて、やっぱ直接ジェラートを提供することになっちゃうし、お客さんも前みたいに前向きに来てくださいって言うのは難しいな、っていうのは自分たちのお店もそうだし、このお店の周辺のエリア、谷根千全体エリアとしては、お客さんはもう例年の10%とか落ち込んでて、これどうにかしたいね、っていうので地域の店長たちみんなで集まって話し合いをしたんですね。
でその時、谷根千宅配便っていうローカルデリバリーサービスを、その会議終わって2日ぐらいで設計してみんなで作って、ローンチして。それは谷根千飲食店10数店舗で、有志で集まって、デリバリープラットフォームをつくろうみたいな取り組みで。それはまあ結構な勢いで、コロナのバタバタの中作ったから本当にちゃんとうまくいくのかとか、やっぱり気にする人はトラブルになるんじゃないかとか、色々心配だったんですけど、やっぱいざやってみると、そのお店ごと、そのお店じゃない人がデリバリーで運んだりするんですけども、みんな受け取ってくれた人もね、ありがとうって言ってくれたりとか。
逆にその、普通に買いに行ける距離だけど、サービスに貢献したいからってことで家でちゃんと待機してくれてそのサービスを使って商品を受け取ってくれる人もいたりして。すごい、やってよかったですね。

かね:
谷根千の強さみたいなのを肌で感じる体験だった。

つる:
ニュースエブリーで取り上げられたんで、見てください。

かね:
でもホント、つるがお店の外向きの活動っていうか、谷根千とかもそっちに入るんだけど、自分としては内側の商品開発とかそっちの方で、地域のつながりを感じることが多くて。例えば、パン屋さんって結構、夏場になるとどんどん売り上げが落ちてくんですね。で、パンが残っていくんで、それをなんかこう、ジェラートにどうにかして活かせないかなってことで、ラスクを使ったラスクサンド、みたいな感じのをお互いで研究しつつ、これいいですね、ってなったときとか、
あと、トッピング自分たちは味噌を使ってたんですけど、その味噌をつけて食べてもらったお客さんが「これどこの味噌?」って言ってその味噌屋さんまで実際に足を運んでくれたりだとか、そういう案内所となってる感じが良かったな。

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湧き出るアイディア、その源は?


ー 味噌味だったり、地元のパン屋さんの食材を使ったり、斬新なメニューなど多いかな、って結構感じたんですけども、そういった新商品の発想の源、みたいなものはありますか?

鶴元:
自分たち以前”根津”って土地に住んでて、でどっちも住む場所と働く場所の距離をあんまり離し過ぎないことを結構意識してて、新しくお店作るときもある程度自分たちのすでにコミュニケーションとれてるエリア内でまた店を作っていこうとどんどん増やしてるんですけども、そうなると店同士行き来するときに、新しい発見がぺろっとこう、店開いてるな、とかこのお店もう週に1回ぐらいしかやってないんだ、とかいろいろ感じるところがあって。だから普通の人よりは自分たちはすごい街歩きをたくさんしているので、発見も日々あって。自分たちの持ってるジェラート屋さんとかラーメン屋さんとか持ってるその武器と、そういう気づいたことがかけあわせれそうだなって思ったらすぐ話しかけ行ったりとかして、コラボする、って感じですね。

「もっと曖昧につながり続ける街にしたい」街とコミュニティに求める物


ー 街に対して、とても愛着を感じていらっしゃるな、っていうのが話の中からすごい感じ取れたんですけども、二方にとって《街》といったものがどういった存在なのか、を教えてください。

金光:
やっぱり、住むだけじゃつまらないから自分が生きていく中で活かせる場所、実験場みたいなイメージですかね。

鶴元:
いま、役割が明確になりすぎてるんじゃないかな。建築を勉強してるんですけど、公民館とか老人ホームとか、お年を召したら老人ホームに入ってね、とか、本を読みたくなったら図書館にいってね、とかなんか地域で催し事をしたいなら公民館いってねとか。
もう昔ってそういう、”何々な建物”ってそんなに存在しなくて。別に店の前で本を並べたらそこは本屋さんになるし、おじいちゃんおばあちゃんがちょっと体調悪いならどこかの家の軒先で面倒見ればいいし、お父さんお母さん共働きならお子さんは隣の家が面倒見ればいいし、っていうすごいフラットな関係だったのが今ってお金を払わないと体験できなかったり、なにかこう自分のことちゃんと証明しないとそこの施設を受けれなかったり、ってのがすごい感じるので、自分はなんか、街の在り方を元に戻したいわけではないですけど、もうちょっと自由度高く、もう街歩いてても左も右も閉ざされた建物が建ってて壁の間を歩いてるような道みたいな在り方はあまりよくないので。そういう街づくりをしたいから、まあ1つずつ、そういう拠点を作ってみたら街がどう変わるかを見たいから、1つの街で結構コンパクトにやってみてるっていう感じです。

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ー もしこの街にまた新たにひとつ建物を作るとなったとき、いま一番この街にこれを置きたいなどというものがあったら教えてください。

鶴元:
それこそここ(田端)は、まだ先週作ったばっかり、始めたばっかりの拠点で、いま現状は建築事務所が1階に入って頂いて、2階に自分たちの住まいとしてシェアハウス運営してるんですけど、これだけだと地域とは接点がいまのところはない。地域の人が偶然入ったりとか出来ないから、空間の横にあるんですけどいま本棚とかも作ったので、ちょっと地域図書館みたいにして、近所の人が本読みたいときに、ずっとドア開けとくわけにはいかないので予約制にするか何かして、気軽に来れるような家にまずしていきたいなってのは話したりしてます。
他なんか作りたいのある?

金光:
自分は結構料理をするからさ、まあそこで料理教室だったりしても楽しいのかなって

鶴元:
さっきも言ったかもしれないけど、用途が明確な建物作りたいわけでは意外となくて、自由度の高い箱を作りたいので、そこは図書館にもなるし、さっき言ったように料理教室ができる空間でもあるし、なんでもできるっていう結構自由度の高いフリーな空間をどんどん作っていきたいって感じですかね。


ー 自由度の高さって、なんでも出来る反面、自由度が高すぎるから難しさもあると思うんですけど、難しさなど感じられたことありますか?

鶴元:
そうですね、前根津に住んでたんですけどそこでも4人で学生でシェアハウスしてて、1階に元々タバコ屋さんがあった建物なので土間の空間があって、そこをなんか自分たちのただのリビングにするのはもったいないから、地域の色々やってみたいと思ってる主婦とか子どもたちに貸そう、場所を貸して、自分たちも場所を管理するからお金をもらって場所貸しをしよう、レンタルスペースにしようと思って最初の方はやってたんですけど、やっぱそこで貸す側と貸される側ってのを金銭の関係で繋いじゃうと、向こうもある程度お金を稼がないと収益をその、せっかく1時間ナン千円で払うならそれぐらいは儲けないといけないってなると、企画があんまり面白くなくなっちゃうんですよ。結構。それに参加する人の値段ってすごい高かったりとか。

そうするとあんまり貸してる方もお金は入ってくるけど自分たちの空間になんかいいコミュニケーションというか、行動は起こってないなと感じたから、あるときもうハッキリ、タダにしますって言って、もうぜ~~んぶタダで貸しますってして、地域の人に開放したんですけど、そしたら、向こうもタダなのでじゃあタダで子どもたちに茶道を教えてあげるわ、とか、タダで英語の教室をするわとか。なんかお金じゃない関係になったことによって、その更に先の体験するひとたちもそういう関係で繋がってくと、一気にすごい速さで広がるし、たくさん笑顔があふれて。
だからやっぱ、お金ってパッと見関係、契約上簡単そうに見えるんですけど、意外と難しくて。だったら思い切ってタダに、間口は0円にして、でもそこから起こったアクションによって実は最終的にまわりまわってお礼って形でお金頂くこともありましたし、自分たちも得るもの大きかったのでよかったなあ、っていう。最初の方はだから難しかったです運営は。

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コロナ渦だからこそ感じた役割


ー 人と人の契約だけの繋がりじゃなくて、心と心の繋がりをすごい大切にされているなあと感じたんですけども、やっぱりコロナで人と人との繋がりがどうしても希薄になってしまう今だと思うんですけども、そんな中でお二方がこんな時代だからこそ、こういう役割を果たしていきたいとか、そういったものがあれば教えていただきたいです。

鶴元:
コロナになって、リモートとかがすごい進んだじゃないですか。こんなに1日パンツ一丁だけとか、上だけシャツ着れば仕事できる時代が来るなんて思わなかったですけど、多分これから働く時間、いわゆる就業時間ってすごい短くなっていくんじゃないか。週4働いて週3日は休日とか。ってなってくるともう3日も休日あると多分人間1日2日休めば十分なんじゃないかってなってくると、やっぱ副業って言われるものだったり、なんか2つ目の仕事とか2つ目の名刺みたいなのが出てくると思うんです。そうすると住む場所ってすごい大切で、週4日、今までだったら週5日・週6日通ってたオフィスが大事だったんだけど、でももうオフィスに通う時代じゃなくなったってことは住む場所がすごいずっといる場所じゃないですか。だから、もっと暮らし方にみなさんフォーカスするようになってくるかなって思ったときに、自分たちがやってるシェアハウスとか、地域と接しながら地域に自分の価値を持ちながら暮らしてくっていう在り方は結構大切になってくるんじゃないかと思ってるので、もっと自分たちは色々シェアハウスとか、新しい暮らし方の提案とかをやっていきたいなぁって。

で、そっちの今仕事であんまり、本当に100%自分が納得いった職種というか、職業で働けてるかっていうと、なんかこうモヤモヤする、っていう相談を受けることが結構あって、でもいきなり今もう収入としてほとんどを占めている仕事をバッサリ切るのはリスクがあるから、副業をなんかやってみたいんだって話なんですけど、やっぱりでもその副業まで自分で本当にたのしいと思ってる仕事まで成立させていければ、いつかはそっちでずっと働いていけるかもしれないので、そういう、自分たちが地域の人たちに開放してたみたいに、何かやってみたいって何かちょっとモヤモヤ小さく思っていることを、挑戦できるような暮らしの箱を作りたいなって思ってます。

金光:
つるは箱を作る感じなんですけど、自分はそのモデルとしてなってみたいなって。
働き方、仕事も色々かじれば働く場所も変われば住む場所もどんどん変わっていくので、自由に日本中、日本中だけじゃなくても、世界にも柔軟に動いて仕事する。パラレルワーカーじゃないですけど、そういう暮らしのモデルケースにはなりたいなってのは思いますね。

(記事:浜咲大樹)

ぐるぐるジェラート:
https://www.gurugurugelato.com/
https://www.instagram.com/gurugurugelato/

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