りんご縁な男子たち
りんご園で育った男子との、ご縁エピソード2つ。
🍎S君
町の全小学校の全学年に英語を教え回っていた頃。
ある学校の4年生の授業が大変に盛り上がり、クライマックス、な時に
一番前の真ん中に座っていたS君が大声で私に言いました。
「うち、りんご園なの。来て!」
子どもたちに何を投げられても返す、がモットーの私が
2秒ほど固まってしまった。
2秒間の頭の中↓
えーと
りんご大好きでりんご園情報は聞き捨てならない上に
君、りんご並みにスクスク育っててサイコーなんだけど
今、ちょっとお客さんたち待たせてるので、保留でいいかな?
授業後、しっかりりんご園の場所を聞き
その後12年間、ほぼ毎年買いに行っています。
今月、りんごを買った後で
「S君、どうしてますか?」と初めて名乗ったら、お母様エキサイト
彼の名を大声で呼ぶと。りんご畑から、S君が現れまして。
この春からりんご畑で働いているんだって。
スクスクぶりが12年前と変わらない。うれしい。
🍏Y君
さらに昔、幼稚園のお手伝いをしていた頃。
ある日、室内で遊ぶ女子たちを、ただぼーっと眺めていました。
すると誰かに急に手を引っ張られました。
家がりんご園のY君が
「まーぜーてって、言えばいいんだよ」
と、私を彼女たちの方に連れて行こうとしていました。
この時は「Y君優しいなあ」と照れ笑い、でしたが
後からこの事実↓を思い出し、鳥肌がたちました。
40数年前、私が幼稚園に入園した日。
母は去り、教室に残った私は遊具で遊ぶ女子たちに
「まぜて」と言いました。が、返事なく。
大ショック→教室を出て、泣きながら家に向かいました。
途中で園長先生に捕獲され、園長先生の取りなしで
皆と遊ぶことができ。
Y君には、大人の形の中にいる
小さな私が透けて見えたのかな。
あの幼稚園初日、Y君がいてくれてたらよかったのに。
そうだ、そういうことに書き換えよう。
入園初日、もじもじしていた私の手をY君が引っ張り
私は「まーぜーて」と大きな声で言い、皆と遊ぶことができました。
その後の人生でも「ここにいない方が」と逃げそうになるたびY君を思い出し
いたい場所にいたいだけいられる大人にスクスク育ちましたとさ。
泣きながら去った数々、ぜんぶ消去。
過去なんて記憶のフィクションだから書き換えちゃって
まして今や未来は、好きなようにこれから描き放題。
りんご、好きなだけ食べていいんだよ。
なくなったら、また買いに行けばいいんだよ。
まずはそこから。