ひとり飯、寿司
寿司が好きだ。
お米が好きで、海鮮も好きだ。
それが合わさる料理の中でも、特に寿司が好きだ。
ただ、ハンバーグ寿司や天ぷら寿司、カリフォルニアロール等の寿司には疎い。
体験したことがほぼないため、不味いとかいう理由ではない。
ただ単に、海鮮寿司の方が好きなだけなのだ。
よって、以後書かれる寿司は海鮮がメインと思っていただけるとありがたい。
ひとり飯が好きだ。
全く苦にならない。
物心が付いた頃より父子家庭で、小学校低学年で『ひとり吉野家』デビューを果たし、以後抵抗感など皆無である。
銀色の五百円玉をしっかりと握りしめ、ちゃんとできるかドキドキしながら店員さんに注文をした日から、私の気ままなひとり飯は趣味であり、『楽しいもの』だ。
ひとり飯のために入るお店にこだわりはない。
ラーメン、焼肉、居酒屋、定食屋、イタリアン、フレンチ、和食に中華。
ホテルのビュッフェにおめかしして行ったこともある。
ただ、アフタヌーンティーにはまだひとり飯に行けていない。自分の境界線が謎である。
そして、ひとり寿司。
独身時代は隔週、結婚してからは月1か隔月に1回程度楽しんでいる。
銀座などの高級店は一年に一度あるかないかで、普段はもっと手軽か、ちょっと背伸びな寿司屋に行く。
なかでも、白の上着に福の神のような満面笑顔で拳を突き上げる、または両手を広げている社長さんの姿が印象深い、あの寿司屋が好きだ。
一番近場のその寿司屋では、カウンターに座る。
時間は夜より昼が多い。
ハイボールかレモンサワー、獺祭をよく頼むがソフトドリンクの時もある。
飲み物は、なるべく一杯までにしている。
寿司を食べにきたからだ。
飲みのアテではなく、食事をするためだからだ。
ただ、大好きなお店の売り上げにも貢献すべく、なるべく飲み物も頼みたいため、一杯は注文する。
最初はその時期のオススメから選ぶ。
3種盛りみたいな感じでまとめてくれているので、頼み易い。
一品物に天ぷらや煮付けがあると、ついつい頼んでしまうが、基本は寿司だ。当たり前かもだが。
オススメ3種盛りを美味しくいただいた後、本日のオススメからまた一貫ずつ注文する。
赤身に白身、青物に軍艦にと見境なく、順序もなく、自由に注文する。
一貫ずつなのでそんなにお腹にはたまらない。
なので、次は常設メニューから注文していく。
鰯や根ネギ、カニ味噌あたりが外せない。
この辺で、先に注文していた天ぷらか煮付けが届く。
大きな頭を豪快に煮付け、沁み沁みのゴボウが添えられた煮付けが、たまらない。
ちょっと甘めなところがまた良い。
サクッとした熱々の衣がついた天ぷらは、冷めない内にと急ぐあまりに舌を火傷しがちだか、かまわない。
その後にいただく冷えたネタとほんのり温かいシャリの寿司が、また最高だ。
〆は、かっぱ巻きと決めている。
玉子焼きも好きなのだが、かっぱ巻きで爽やかに終わるのが一等好きなのだ。
細巻きも捨てがたいが、手巻きの方にいきがちだ。
細く切られたシャキシャキのキュウリの食感のおかげか、満腹のはずのそこへまた一つ寿司が収まっていく。
締めて5千円前後。なかなか思いきっている。
しかし、この楽しみを止められない。
止めないために、今日も明日もしっかり働く。
健康な身体を維持し、美味しい寿司を食べるために。
ごちそう様でした。美味しかったです。