三十代 元処女、婚活を振り返る
コロナ禍直前に始めた婚活は、実に長くも楽しく、一方でとても短くも感じる体験だった。
アラサーになり数年。
一人暮らしも学生時代から10年以上。
年齢を重ね、級友の8割以上は配偶者をみつけては子宝に恵まれ、良きパパとママへとどんどん突き進んでいっていた。
一方の私、三十代にして処女。
恋人はいたこともあるが、色々こじらせた私は気づけば愛するペットのために稼ぐ毎日。
当時は、残業代がちゃんと出る職場で3桁の残業時間を叩きだしていたため、同世代男女の平均年収より上だった。
残業3桁時間。文字通り死ぬ気で働いた。
そして翌年の標準月額報酬による手取り減少に泣いた。稼ぐ程に減る手取り。つらい。
親は悠々自適なセカンドライフを満喫中。
兄弟もいなければ、当然姪も甥もいない。
仕事は大好きだが、数十年先に孤独死が見えてきたので重い腰を上げ、某結婚相談所の門を叩いた。
入会からずっと同じカウンセラーさんにお世話になった。
彼女じゃなければ、途中で心折れ、お一人様人生を爆速する覚悟を決めていた。
彼女は、とにかく肯定し、時にはお相手の相談所と私の間に入り徹底的に守ってくれた。
『私とは合わなかっただけ。』
こんな綺麗な言葉では、正直済まないくらいに多様な方々にお会いした。
幸い、私はお相手への条件のうち、
身長や体重、年収に学歴にこだわりがなかったためかそこそこ入会バブルもあった。
自分からも述べ100人以上の方に申し込みをした。
結果的に30名くらい?の方々とお見合い、仮交際になったが、処女であるが故にか、とにかく私は無意識に断る理由を探しがちであった。
お店選びや手土産などは苦ではなく、むしろ自分から積極的にするのに、いざお相手様から好意を少しでも向けられると全力で逃げ出したくなった。
手なんて、過去の恋人とのトラウマもあり、せっかくお相手様から申し出ていただき、いざ繋いでみても数分と保たず、腕を組む形へなんとか自然になるように変えてもらっていた。
ましてや、キスなんてあわよくば入籍後もしないですむなら······とさえ考えていた。
不誠実だったな、と今では申し訳なく思う。
これでいて挙児希望なので尚更だ。
なかなかお相手様に恋愛的感情は抱けないまでも、真剣交際には2回進んだ。
が、結局は成婚退会には至らなかった。
2回目の真剣交際を終了した翌日、友情結婚の相談所の面談を受けた。
アセクシャルなのではないか、と本気で考えたためだ。
結果として、夫となる人とちゃんと行為をできたので、処女故の恐怖心から男性との性的接触に怯えていたのだと今では思うが、当時は深刻に、真剣に悩んだ。
さて、ここからは上記までのノートを書いてから約半年後に再開した文章である。
間が空いたのは、新生活が目まぐるしく変わったため書く暇がなかったためだが、飽き症なのもあるかもしれない。
夫とは真剣交際からトントン拍子に入籍まで進み、現時点で後悔もなく至極幸せである。
婚活からの結婚ということで、私の周囲では物珍しいのか色々聞かれたが、いつも『幸せです』と本音で答えられるくらいには幸せだ。
後は、この二の腕と腹がこれ以上横に成長しないことを祈るだけ。
お見合いで着ていたワンピースが入らない。
高かったのに。3万円くらいした良い物なのに。
標準月額報酬の時と同じくらい、泣いてる。
幸せ太りと思いたい。