趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.364 映画 ロバート・アルドリッチ「ワイルド・アパッチ」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 ロバート・アルドリッチの「ワイルド・アパッチ」 (1972/米)についてです。
結構インディアンによる残虐シーンがある西部劇。
ベトナム戦争の頃の1972年に作られたので、今までの善悪でわかりやすい西部劇ではなく、
結構戦争の影響を受けた、残酷な一面が見える作品。
そしてインディアンが絶対悪ではなく、白人とは違う価値観を持った民族という描き方。
それでも物凄く怖い。
そして若き経験の薄い騎兵隊の中尉とベテラン斥候(バート・ランカスター)との対比がドラマを厚くしている。
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アパッチ族の戦士ウルザナが長老が止める中、仲間を連れてインディアン居留地から脱出する。
騎兵隊の基地にウルザナ脱出の知らせが届き、司令官はベテラン斥候マッキントッシュ(バート・ランカスター)に情報収集を命じ、デ・ビュイン少尉に追撃隊の編成をさせる。
ベテラン斥候は居留地に入り、長老からウルザナの話を聞き出し、アパッチ族の協力者ケ・ニ・テイを連れて帰る。
付近の住民にウルザナ脱出の知らせを伝えていた新兵が殺され、基地へ避難しようとしていた母子も途中で襲われ、凌辱される前に護衛に殺され、その護衛も自殺する。
その護衛の心臓を抜き出し、その母子の農場も襲われ夫も拷問されて殺される。
追撃隊はウルザナを追っていくが、次々と残虐な手口を目の当たりにし、敬遠なキリスト教徒のデ・ビュイン少尉も次第に怒りを覚えるようになる。
アパッチ族の協力者はウルザナの動きを予測し、待ち伏せしてウルザナ息子を射殺する。追撃隊はその息子の死体を八つ裂きにして見せしめをと言うが、少尉は丁寧に埋葬するように命令する。
追撃隊は馬を補給するために農場に立ち寄るが、農場主は殺され、奥さんは強姦されたまま放置されていた。
アパッチ族の協力者はウルザナたちの秩序が緩んでいると気づき、追うよりも待ち伏せした方がいいと提案する。
デ・ビュイン少尉はその提案を受け入れ、生き残った夫人をベテラン斥候に基地まで送らせ、自分は協力者とウルザナを追っていく。
2つに分かれた追撃隊、ベテラン斥候をウルザナが襲いかかる。
全滅間際、少尉が駆けつけてウルザナを倒す。
重傷を負ったベテラン斥候は基地へ戻らず、少尉たちは分かれを告げて基地へ帰還する。
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そう、善悪がはっきり分かれた西部劇とは微妙に違う。
主人公のベテラン斥候は奥さんがインディアンだし、協力者のインディアンもいる。
騎兵隊のリーダーも敬遠なキリスト教徒で、インディアンとの戦いに疑問を持っている。
インディアン側も居留地に残る長老たちとそこを脱出して白人と戦うアパッチ族。
インディアンもただ残虐なことをするのではなく、敵を倒しその能力が自分に宿るという文化がある。
そう、黒白別れたわかりやすい西部劇ではないんです。
その当時ベトナム戦争の泥沼にハマっていた頃のアメリカ。
まさにその時代背景がこの西部劇に現れている。
なんとも言えない無常感。
今日はここまで。
「憎むと早く命を落とすが、恐れると長生き出来る。どう対応するかよく考えるからだ。」
/「ワイルド・アパッチ」より